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3.11&1.1 東北から能登へ。【後半】

震災から13年経ち、今だから言葉にできる思いを記録しています。過去に私が体験した震災と、今、能登に繋がる思いです。そしてこれからの支援活動を折々にアップします。
(この記事は私の体験に基づく主観ですので、被災地のすべてをお伝えするものではありません。今の思いです)
 
【後半】 繋がりに、繋がる旅路。
   (前半はこちら→東北から能登へ続く思い。)

13年という年月は、記憶を曖昧にさせてくれます。私の場合は、日々の暮らしも整い、楽しみを見つけ、前しか見ずにがむしゃらにきたように思います。
 
能登のニュースを岩手の実家で見ながらも、とても冷静な自分がいました。
もちろん心は痛みますが、自分が関わるべきこと、そのタイミングを待つことにしました。
 
そして3月1日。
縁あって、金沢の恩人に会いに行くことに。
市内でも大変な揺れだったこと、能登を思い大変な心労を抱えていることを、金沢の皆さんの話の端々から感じます。
店舗も、能登の製品をできるだけ並べ、販売で応援しています。
金沢市内ではできるだけ能登の商品を購入し、現地の様子もリサーチしながら歩きました。

能登方面の南部の一部はライフラインが復旧したこと、幹線道路も規制解除されたこと、一部の道の駅が営業再開されたことなどを知り、車で問題なく行けるところまで行き、せっかくなら現地で買い物をして応援することに。
道の駅の住所をナビにいれ、海岸線から半島を目指します。
 
お醤油を買いに、ぶらりと能登へ。
意味や理由を探していては、行けるかわからなかった能登。動機だけを胸に、能登へ向かいます。
そもそも能登に行って良いのか?
他県ナンバーはまずいのでは?? 
様々な思いが頭をよぎります。
 
途中から、道路の亀裂の跡、点在する壊れた家屋のブルーシート、工事中の看板、トラックや重機…。何より、想像以上の被災状態。
1.1の映像と、今ここにいる現実と、複雑な思いが入り交じります。
 
目的の道の駅に着くと、小雪の中、のぼりが立ち営業中の看板が。私はちょうど欲しかったお醤油、地元の手作り饅頭、海苔の乾物なとを購入。地元で焙煎しているというコーヒー豆も、後日購入できることに。

能登のものを少しずつ購入
正式名称は、いがら万頭。素朴で美味

特別な言葉をたくさん交わすこともなく、普通にお話をしながら買い物を済ませます。
能登の方々が気丈で明るく、笑顔で迎えてくれたから、私はいつものように買い物をすることができました。
当たり前のやり取りなのに、相手の気遣いに触れ、ありがたい気持ちでいっぱいになります。
 
〇△⊡
その日はそれ以上何もできず、お店ですすめられた、エメラルドグリーンの謎のお餅を食べながら帰ることに。
気がつけばお昼がまだでお腹が空いていました。謎のお餅をすぐに開けて食べてみると…美味しい。
お醤油の次は、このお餅を買いに来ようと心に決めて帰路に着きます。
もちろんもっと、やるべき支援活動も現地で実現しながら。


記憶の扉が開くまで。
ナビが能登から離れる度、静かに沸々と波のように感情が込み上げてきました。
先ほどまで元気に、普通に、その場に立ち言葉を交わしていたのに、帰りの車の中では涙が溢れて止まりません。
 
石川~富山~新潟~長野を経由して、山梨の自宅についても泣き通しです。涙が枯れるまで泣いたのは、気がつけば311以来です。
金沢&能登での数日間が、何年も過ごしたような、不思議な時空間に漂っていたように思います。
それから数日、こうして言葉を書き出すうちに、溢れる感情の意味がわかってきました。

"Thank You"
書画/ハートのつばさ 竹内香織さん

思い出した言葉は、「ありがとう」
今だから、ありがとうをお返ししたい。
311では、全国、世界から支援や励ましを頂き、東北は再建し、少しずつ復興に進むことができました。
能登の方々にもどれだけの応援をしてもらったか、想像することが出来ます。
金品や作業だけでなく、心を寄せてもらった見えない支援もです。
 
〇△⊡
私が現地に届けたい言葉は、まずは最初に、ありがとうです。
皆さんのおかげで、私は今、普通に暮らし、金沢や能登へも行って来られただけ。

和=平・禾・口

いつかありがとうを伝えたいと思っていたはずなのに、今の自分は、震災のことさえあまり口にもせず、感謝を伝えることもしなくなっていたことに、今回やっと気がつきました。恐ろしい記憶と一緒に長年しまい込みすぎて、無意識の中に放置していたようです。 
今だから、また思い出せたありがとうの言葉やその形を、これから自分なりに恩返ししていきたいと思っています。

できることから少しずつ。山奥から、応援してます。
まだ、衣(医)食住の目的も達成できていませんが、山奥で小さな貸しコテージをやりながら、能登の商品をゲスト用に利用させてもらっています。宿としても能登の皆さんにいつでも使ってもらえるように、少しずつ情報を伝えています(橙屋Instagram)。
私自身も現地でのボランティア活動へ参加するため、日々情報を探しています。

白州橙屋
一棟貸しの小さなコテージです。静かな里山にあり、気楽に気取らずに過ごせます
南アルプスの大自然、夏の白州・尾白川渓谷です。すぐ先には美しい滝も

○△□
まさに、「明日は我が身」。天災はいつも隣り合わせです。そのときに何ができるのか、そこから何を学ぶのか。たくさんの疑問と課題を与えられた、3.11と1.1。それは見えないところで繋がっているという確信と共に、今、能登が思い出させてくれた気づきが、この先への大きな布石となりました。感謝。
私の行動はまだ、これからです。

“鳳凰”
パステルアート・書画/ハートのつばさ 竹内香織さん

 <3.11&1.1東北から能登へ。前半→東北から能登へ続く思い。

〇これからの支援活動やレポートを、折々にこちらのサイトで伝えていきます。
白州橙屋 オーナー・しゅうこ
Photo by SHU.OGAWA

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