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プライドウィークに、朝井リョウ著「正欲」を読んで、"繋がり"に生かされていると思った話

Twitterのタイムラインにレインボーカラーの投稿が混じってきたここ数日。
今年の東京プライドパレードのテーマは「繋がる、見える、変わる」らしい。

東京プライドパレード(TRP)はLGBTQをはじめとするセクシュアル・マイノリティの存在を社会に広め、「”性”と”生”の多様性」を祝福することを目的としたイベントだ。

私たちは様々なつながりの中で生きている

ニューノーマルな世界で
つながり方は多様になった
つながる自由
つながらない自由も手に入れた
物理的につながらなくても
想いを分かち合えるようになった

会えないことで見えてきた
大切なこと
変化を求めても
変わらない現実

良いことも悪いことも見えてきた今だからこそ
自分の未来のために意思を示そう

声をあげること
発信すること
あゆみを止めないこと

私たちの未来は繋がることで動き出す
(TRP2022公式サイトより引用)

そして、ゴールデンウィークは「プライドウィーク」としても知られるようになったらしい。
そんなプライドウィークの最中に、何だかすごい本を読んでしまった。


朝井リョウ著「正欲」である。


---ややネタバレを含みます。---

世の中のあらゆるものが、
"明日死なないこと"に繋がる設計をされていて、
みんな"明日死にたくない"という前提のもとに作られている世界で、
さかんに「多様性」という言葉が使われているけど、
ある程度可視化されて繋がりが増えて認知度も上がったLGBTQよりも
もっとマイノリティな世界を生きている人たちの物語に
なんだか横からぶん殴られたような衝撃を受けた。

Lに生まれても、先人たちの戦いの恩恵を受けられたことで世間の風潮の変化、掲示板、mixi、Twitter、アプリ、コミュニティ、二丁目、イベント…etc のセーフティネットがあったことで、"繋がり"が生まれてどうにか生き延びることができたけれども、何もなかったらどうしていただろうかと怖くなった。

それが、一時的な危うい繋がりだったとしても、気休めにしかならない根本的な問題が解決できなかったとしても、離脱する人がいたとしても、それでも繋ぎ止められたと感じる人がいるならそこに価値はあると思う。

他でもない私はそれにとても救われたのだから。

自分はマジョリティ(多数派)派だと自覚している人たちでも、
「多数派側にいたい」と俗世間にうまく迎合しながら生きている事についての指摘にも考えさせられた。

「マイノリティ」「マジョリティ」「多様性」と便利な言葉で大きく括ってしまうことは簡単だけど、各々にグラデーションがあって、そこに上も下もないということ。
想像の外側にいる人たち、カテゴライズされていない存在も含めて、うまく誰かと手を取り合って生き延びられますようにと思った。

すべての人が、生まれながらにして尊い。

100分de名著シリーズの「法華経」の回を、もう一度見たくなった。