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ブラック・フォン(ネタバレ)


The Black Phone

公開 2022年 アメリカ

監督 スコット・デリクソン

出演 メイソン・テムズ
   マデリーン・マックグロウ
   ジェレミー・デイヴィス
   イーサン・ホーク
   ジェームズ・ランソン
   ミゲル・カサレス・モーラ
   トリスタン・プラヴォン

イーサン・ホークが殺人鬼を演じたホラーなのかスリラーなのか何なのかわからない青春映画
原作はスティーブン・キングの息子、ジョー・ヒルの短編「黒電話」。
難しいことは考えずに観てほしい映画。以下ネタバレ。



忙しい人のためのあらすじ(ネタバレ)

主人公フィニーは子供ばかりを狙う連続殺人鬼に捕まり、人生オワタと思いきや監禁部屋にあった繋がるはずのない黒電話に着信が。かけてきたのは殺されていった子供たち。彼らにもらったアドバイスで殺人鬼を倒し脱出!


忙しい人のための感想

・「エグい球だな」
・弟かわいそう
・伏線回収気持ちイイ〜


登場人物


フィニー・ブレイク(メイソン・テムズ)
主人公。少年野球のピッチャー。エグい球を投げる。

グウェンドリン・ブレイク(マデリーン・マックグロウ)
めちゃめちゃ度胸の座ったフィニーの妹。警察に啖呵を切るし兄の喧嘩に参戦したりする。母から予知夢的なものを見る能力を受け継ぐ。

テレンス・ブレイク(ジェレミー・デイヴィス)
核兵器工場で働くフィニーたちの酒浸りの父親。母に先立たれて以来子供達に虐待まがいの教育をするようになる。

グラバー(イーサン・ホーク)
子供しか狙わない連続誘拐殺人犯。常に仮面をつけている。外を出歩く時はハットを被りサングラスに白塗りでマジシャンを名乗る。

マックス(ジェームズ・ランソン)
グラバーの弟。推理が趣味の自宅警備員。

ロビン・アレアノ(ミゲル・カサレス・モーラ)
フィニーの友達。喧嘩がめっぽう強い。

ブルース・ヤマダ(トリスタン・プラヴォン)
最初の行方不明者。フィニーのエグい球をフェンスの向こうまで打ち返したエグい選手。


あらすじ(ネタバレ)


1.エグい球だな

映画は野球の試合のシーンから始まる。
主人公フィニーはピッチャーで、あと一人打ちとれば勝ちというところで、ホームランを打たれ負けてしまう。
バッターの名はブルース・ヤマダ。彼はフィニーのピッチングを「エグい球だな。シビれたぜ」と称賛。フィニーは好きぴも見にきていた試合だったので相当悔しかっただろうに、ブルースのその爽やかさには「いい試合だった」と返さざるをえない。

ブルースは街の人気者だったが、ある日行方がわからなくなる。

2.グラバー(人さらい)


その後も行方不明者は増えていった。
人々は誘拐犯をグラバー(人さらい)と呼ぶようになった。
予知夢を見ることができるグウェンは警察関係者でしか知りえない情報を友人に話したことで、刑事2人に事情聴取を受けていた。

ところでフィニーはイケメンなのでいじめっ子たちに目をつけられていたが、喧嘩番長のロビンと友達だったので怖いものなしだった。
しかしある日、ロビンも行方をくらましてしまう。

3.エグい球だな Part.2


ついにフィニーの元にグラバーの魔の手が伸びる。男は黒いバンから現れ、マジシャンを自称した。そして無数の黒い風船に紛れてフィニーは連れ去られる。しかしこのフィニーという少年、警戒心がまるでない。黒いバンで白塗りグラサンの男なんて見るからに怪しい。

フィニーが目を覚ますとそこはどこかの地下室。グラバーはキモい仮面をかぶっている。彼はフィニーをすぐに殺そうとはせず、おしゃべりをして上の階へ去っていった。
あたりを見回すフィニー。部屋にはマットレスと壁にかかった電話、到底届かない高さの格子のついた窓。トイレはちゃんとある。受話器を耳に当ててみたが、繋がっているわけはない。

うとうとしてたら電話が鳴った気がして、もう一度受話器をとってみるが、
もちろん何も聞こえない。何も教えてくれない。
代わりにグラバーが降りてきて、その電話は昔からずっと繋がらないと教えてくれた。部屋は防音になっていていくら叫んでも外には聞こえないことも。グラバーが去り、ふて寝しているとまた電話が鳴る。今回は確実に気のせいじゃない。おそるおそる出てみるが、やはり何の応答もない。もしも〜し?誰?助けて?

フィニ〜(ダミ声)

慌てて電話を切るフィニー。何だ今のは。
幽霊からの電…着信アリ?この状況で?
今殺人鬼に捕まってんだけど?
電話がまた鳴る。気味が悪いので一瞬だけ受話器を上げてすぐ切る。
また鳴る。今度は電話の鳴り方じゃない。目覚まし時計の鳴り方。途切れない。リリリリリリリリリリリリリリリリリ…

仕方がないので電話に出る。
「切るなよ」と電話口の声。わかった、とフィニー。
誰なのかと聞くと、名前を忘れたという。それを最初に失うのだと。
よくわからんけど、じゃあ何で僕の名前を知ってるんだ。

一回会ったんだ。
エグい球だな。シビれたぜ。

…ブルース!!!!
お前はブルース・ヤマダ!!!!

電話の声の主はブルース・ヤマダであった。

4.死者からのアドバイス


「床のタイルが欠けてるあたりの土の部分を掘れ」とブルースは言った。
ブルースも掘っていたらしいが時間切れだったらしい。どうにかなる前にグラバーに殺されてしまったのだろうか。
とりあえず指示通りに地面を掘ってみる。掘った土はトイレに流した。
大丈夫それ?詰まったりしないの?

その頃、グウェンは夢を見ていた。
ブルースがグラバーにさらわれるシーンと、フィニーがどこかの家屋で「助けて」と叫びながら懸命にドアを押しているシーンだ。
夢の景色を頼りに、自転車でフィニーが閉じ込められている家を探してみるが、そう簡単に見つかるはずはない。

穴掘りにも疲れて「あー…腹減ったな」と思っていたら親切にも朝食を持って降りてきたグラバーが「毒?入ってないよ!まあ疑うなら食べなくてもいいさ!君の自由はもう奪ったからね!」と陽気に煽ってきて、食べる前から胃もたれのフィニー。しかしここで、あることを発見。上に戻ったグラバーは、扉の鍵を閉め忘れたのだ。弘法にも筆の誤り。殺人鬼も凡ミス。逃げるチャンス到来。
と思った瞬間、電話が鳴ってビクッ。

「上には行くな。罠だ」

え〜?どういうこと?ブルース。
…ブルース?君ブルース?声が違うぞ?

ブルース?誰それ?

え〜?色々出てくるパターン?

生前は新聞配達をしてたけど…

あ〜ビリー?ビリー・ショウォーター?

今度はビリーだった。ビリーいわく鍵が開いているのはわざとで、
騙されて上がっていくとベルトを持った上裸のグラバーが待ち伏せしていて、これでもかと叩かれるらしい。何で上裸なんだ。
とりあえずビリーの言うことを信じ上には行かず、朝食を貪り食うことにしよう。
食事も終わって昼寝中のフィニーの元にまた電話が。ビリーだ。なぜかビリーは名前で呼ばれるのを嫌がる。『新聞少年』、わたしの事を呼ぶならそう呼べと言うので、「お、おう…それで?」とフィニー。S・Sということだ。
「壁の床の隙間に、ちぎった電線を隠してあるンゴ」とS・S。
何に使うのか尋ねると、グラバーが持ってきたジュースかなんかの空き瓶が勝手に動き出し、不自然に窓の方に傾く。いや…え?窓に電線を…え?
なんとか頑張って電線を格子に引っ掛け、窓まで登ることに成功。格子の隙間から手を入れて窓を開けようと試みるも、格子がフィニーの重さに耐えきれずに外れてしまう。

一方その頃、保健室で授業をサボっていたグウェンはまた夢を見ている。
今度は新聞配達を頑張っていたビリーが黒いバンでさらわれるところだ。
グラバーの変なマスクにシルクハットの何ともわかりやすい邪悪なビジュアルも出てくる。
夢の話を思い切ってお父さんにしてみたら、お母さんが同じ能力のせいで苦しみ自殺してしまったこともあり渋い顔。でも、フィニーを探す手がかりになるよと言ったら、車を出してくれた。何だいい人ジャーン。


5.こちらマックス探偵事務所

窓からの脱出が失敗してテンションだだ下がりのその夜、夕飯を持ってきたグラバーが名前を聞いてきたので、嘘の名前を言ったら超怒られた。フィニーの名前は新聞に載っていてバレていたらしい。持ってた食事のトレーをサーン!とひっくり返して上に戻っていった。ああー。貴重な栄養源が。あ、また鍵開けたままだ。
(ひっくり返したご飯はフィニーがおいしくいただきました)

夜も更け、なんとなくイヤな感じがしたフィニーが懐中電灯であたりを照らしてみる。すると、喉を裂かれて血まみれの少年が吊るされているという急なガチガチのホラー描写が登場。
血まみれ吊るされ少年が電話の方を指すので、鳴ってはいないが受話器を取ってみるフィニー。すると、ブルースでもS・Sでもない少年の声。

時間がない。
グラバーは寝てない。
覚悟してる。
彼が真実を暴くとね。

ここで真打の登場。
グラバーには弟がいた。
名前はマックスで、引きこもり。引きこもりだが大の推理オタクで、少年たちの失踪事件も勝手に調べている。
声の主が言うには、マックスが真実に辿り着くと。ていうか、一緒に住んでるのだ。グラバーと。こうしている今もこの地下室の上にマックスいるんだけど。気づいてくれ〜
そう、マックスはポンコツなのである。

ちなみに声の主はグリフィン・スタッグだった。
まったくもって誰かは知らんが、笑い方が特徴的だったらしい。

グリフィンは続ける。グラバーが君を殺さないのは、君がゲームをしないからだと。ゲームの名前は“イタズラ少年”。あの、逃げようとして階段を上がったらグラバーがいて、お尻百叩きされるゲームである。
いや、ゲームであると言われても。何だそのゲームは。
そして、マックスにバレそうなので、グラバーは寝ていないらしい。
地下室の鍵がわざと開けられているということは、グラバーは上でフィニーを上がってくるのを待っているわけだが、ろくに寝ていないのでうとうとしちゃってると。てか、まさに今、寝落ちしたと。

つまり、この隙に逃げろと言っているわけだ。グリフィンは。
さらに玄関のドアにはダイヤル錠が付いていて、それは僕の自転車についていたやつだから、番号を壁に刻んでおいたという。
グリフィン、しごでき。

そんなわけで、恐る恐る階段をのぼり、確かにベルトを手に椅子に座りながら眠りこけているグラバーを横目に、玄関にたどり着くフィニー。
なんとか鍵を開け家の外に出るものの、犬がバカみたいに吠えてグラバーの目を覚ましてしまう。大声を出して走るフィニーだが、逃げ切れず捕まり、GAME OVER。


6.そこが似てたから

グラバーにぶん殴られて気絶して目覚めると朝だった。
そしてまた電話が鳴る。ふざけんな全然役に立たねえじゃねえかアドバイスが。もっとまともなやつないのか。キレ気味で電話に出ると、相手もキレていた。

クソみてえな質問だな
お前こそ誰だ

ここで終わる
何が?
お前の哀れな人生の最後だ

ホーリーシット…
彼は町で一番の不良、ヴァンス・ホッパーだ。(誰だ)

俺を信じろ
天罰に震え上がるぞ
今日が その日だ!

頼もしすぎんだろ。映画のジャイアンか?

ホッパーは壁の向こうにある冷凍庫の背面パネルがネジ式だと教えてくれた。あっという間に壁を掘り、背面パネルのネジを外し、冷凍庫の中に入る。凍った食肉をかき分けて内側から扉を押すも、外からロックがかかっていて開かない。まじか…いつもあと一歩のところで逃げれらないのだ。毎回ちょっといけそうなのやめてくれ。

万策尽きてついに泣き出したフィニー。そこへまた一本の電話が。
もう当たり前のように電話に出ると、「フィン、調子は?」と、親友の声。
ロビンだ。

君はファイターだ
そこが似てたから友達だった

さすがロビンというべきか、彼は戦えといった。逃げるのでなく。
中に土を詰めた受話器を構え、素早く下がる、ステップでかわし、振れ!
受話器でグラバーを倒す練習をさせたあと、俺の仇を討て、ここから出ろとロビンは言った。わかったとフィンは言った。


7.バットを振れメリル

同じ頃、グウェンはヴァンス・ホッパーの夢を見ていた。
枯れた木と、7741と書かれた家。フィニーとホッパーの会話。
夢を頼りに、自転車でその家を探すグウェン。立ち並ぶ家屋を交互に、神に祈りながら見ていると、目の前に血まみれ5人衆(ブルース、S・S、グリフィン、ヴァンス、ロビン)が急に登場。驚いたグウェンはバランスを崩し転倒。慌てて起き上がるともう彼らは消えていて、そこは夢で見たのと同じ家の前。
もうこんなん確定でここにフィニーおるやんけ!警察だ警察!

グラバーが降りてくるのを今か今かと砂の詰まった電話を手に待ち構えるフィニーに、ついにその時がやってくる。
静かにドアが開く緊張の一瞬。
顔を覗かせたのはなんとマックスだった。
うっかり真実にたどり着いてしまったマックス。いや、たどり着いたというか…普通に家の地下室に子供がいるんだから気づいてほしいんだけど。「何か隠していると思っていたが」じゃないよ。
事件を解決した気になったマックスのテンションはMAX状態。通報するよう求めるフィニーだが、しれっと帰宅していたグラバーがマックスの脳天を斧でザーン!!!

ってことで…


🔥🔥FINAL ROUND🔥🔥

黒電話のフィニー

VS 

手斧のグラバー
 with 獰猛なでっかい犬サムソン

まずはグラバーの先制攻撃!
ついさっき「たっぷり痛めつけてやる」と言っていたその舌の根も乾かぬうちに、即死しそうな勢いで豪快に斧を振り下ろす!
斬撃をロビン直伝のステップで華麗にかわし、トイレの方へ逃げるフィニー!

そして追ってきたグラバーを、S・Sの電線で足を引っ掛け、ブルースの落とし穴に落とすことに成功!落とし穴に外れた格子を斜めに仕掛けておくことにより、グラバーは足をヘビーにくじく!かなり効いている!!

落とし穴の中でうまく身動きがとれないグラバー。彼の顔を砂の詰まった受話器で痛烈に殴打!殴打に次ぐ殴打!
殴りかかる腕を掴まれ一瞬羽交締めにされるが、フィニーが咄嗟にマスクを剥がすと、恥ずかしがって顔を覆うグラバー。
その隙に電話線で首を絞めるフィニー。苦しむグラバー。
そして電話が鳴る。
フィニーは受話器をグラバーの耳にあて「あんたにだ」と一言。
すごいアドリブである。

「お前の哀れな人生の最後だ」
「(笑い声)お前には もう時間がない」
「今日がその日だ!」
「俺の代わりにフィンが殺す」
「エグい球だな!」

各々が各々のお気に入りのセリフを披露するコーナー!
に、ぐったりするグラバー。
ささ、早くここから逃げないと。あ、でもまだ獰猛なでっかい犬サムソンがいる。いるけど、俺にはホッパーの冷凍庫の肉がある。自然解凍しておいた肉を投げつけ、サムソンが肉に喰らいつくのを尻目に、涼しい顔で階段を上がるフィニーであった。大勝利である。

警察というと、家に到着し中を調べたがそこは空き家だった。
しかし地下室があって、どうやら死体が埋まってるっぽい。グウェンが見たのは、血まみれ5人衆が埋まっている方の家だったのだ。監禁されてる方の家は別にあって…とか何とか言っているうちに向かいの家からフィニーが普通に出てくる。
警察に保護された兄妹に父テレンスが駆け寄り、「悪かった。許してくれ」とフィニーを抱きしめる。二人は何とも言えない顔。

グラバーを殺した男として超絶有名人になったフィニー。
好きぴにフィニーと呼ばれて、「フィンでいい」と返して物語はFin。


感想

なかなか良かったんじゃな〜い?
個人的には面白かったですが、映画通とかには酷評されそうな雰囲気があります。個人的には85点くらいのレベルで良かったです。

フィニーがさらわれるまでが地味に長いので前半部分は洗濯物でもたたみながら軽く流し見するとして、
フィニーと被害者たちの電話でのやりとり、意味わかんなくて好き。やっぱこの世とあの世で通信してるからちょっと話噛み合ってない感じとか、そいつの人生のパワーワード連呼するのとかキングっぽくて良い。

というか、めっちゃスティーブン・キングっぽい世界観だな〜と、やっぱ息子だと作風も似てるくるんかなとか思ってたんですが。
なんか青春映画っぽい感じとか、死(殺人・自殺・殺人鬼)とか、超能力(予知夢)と超現実(死者からの電話)とか。
でも前半の学校とか家庭のくだりはないらしいです。原作には。母親も生きてるし、電話もブルース・ヤマダとしか話さないらしいし。

あと最後のみんなの助言が伏線回収される感じは、M・ナイト・シャマラン監督の「サイン」を思い出しました。
「バットを振れメリル」って台詞めっちゃ好きです。

ただまあ〜ツッコミどころ満載ではありますよ。そりゃ。
てかそもそも予知夢と着信アリと連続児童殺人犯(しかも弟は引きこもり推理オタク)が同時に存在する世界なんやねんっていう話ですから。
整合性求めちゃダメよ。
地面掘るスピード早すぎるとか、あんだけの土流して詰まらないトイレとか、マックスがアホすぎるとか、超目立つ真っ黒なバンで白昼堂々人さらいして捕まらないグラバーとか、フィニーのメンタル強すぎるとか、そもそも頭が良すぎるのに警戒心がまるでないとか。思っちゃダメよ。
何も考えずに観んと。こういうのは。

そして、「ブラック・フォン」、なんと謎に続編が決まってるらしいです。
しかもキャストほぼ続投。イーサン・ホークも。
どういうこと?グラバー死んでなかったってこと?
あ、なんか原作では、生還から3年後が描かれてるらしくて(無駄に長くなるのが嫌で削除されたらしいですが)、そこでは16歳になったフィニーが携帯を持ってるとのことで。
そこにかかってくるんですかね。キッズたちから。知りませんけど。
楽しみにしておきましょう。

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