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個人開発におけるデザイナーさんとの協業

昨日リリースしたアプリTOTOCについて、こういうコメントをいただいた:

アプリ紹介画面のスクリーンショットから「プロ感」が伝わる感じ。デザイナーさんとの協業ってどうやってるんだろう

そのスクショはこんな感じ。

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人やペットを認識して自動で動画を撮影開始/停止するアプリ。無料)

個人開発では Chopper, Somato, TOTOCとすべてDai Torii(@daitorii)さんにデザインをお願いしている。

というわけで本記事では、僕と鳥居さんがどんな感じで協業しているか、というのを書いてみる。(※当然、個人開発の一般論ではないし、僕の案件での協業や他のデザイナーさんとの協業の仕方も異なる)

依頼まで: プロトタイプ開発

最初の依頼までに、コアな体験ができる/嬉しさがわかるプロトをつくって、TestFlightで共有する。

TOTOCでは依頼する前に次のようなプロトを用意した:

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(この動画も実際に最初の打診時に送ったもの)

認識したときだけ下の録画ボタンが赤くなっているのは、認識したときだけ録画していることを表している。

つまり「人やペットを認識して自動録画」というコア体験はこの初回プロトの段階で実装していた。

このプロトは自分にとってフィジビリティスタディPoC的意味もある。

実際、このプロトの段階で自分の中でボツにするケースもある。

たとえば音声認識を使うアプリのアイデアがあったのだが、プロトをつくってみて、認識精度と速度が自分が実現したい体験に対して必要な及第点に達しなかったためいったんお蔵入りにした。

ちなみにSomatoは写真を高速表示できて速度変更もできるところまで、

Chopperは動画に対して実際に発話検出を行い、カットしたパートをプレビューしてエクスポートするところまで初回プロトの段階でつくってあった。

初回ミーティング

最初のミーティングでは、「このアプリで僕が実現したい体験の核」みたいなところを伝える/対話の中で精度を高めていく。

たとえばTOTOCの場合、パッと想像するのは監視カメラや見守りカメラ用途だが、一番実現したい体験の核はそこじゃなくて、「置いておいたら良い動画が撮れていた」(撮ろうと思ってカメラを構えるのでは撮れないシーンが撮れる)という点。

ここがずれると落とし所となるUIが違ってくる。

鳥居さんも付き合いが長いので、僕がやりたいことの塩梅を絶妙に理解してくれて、そこを掴むために色々深掘ってくれる。

当初は「24時間カメラ」と呼んでいたのだけど、

(この動画の42:47あたりからそのアイデアについて話している)

「長時間置きっぱなしにできる」というのは僕が実現したいことのなかではそこまで重要じゃないというのもこの初回MTGで鳥居さんと話しているうちに自覚した。

「意匠」に関しては完全おまかせ

意匠(見た目のきれいさ・かっこよさ)については、こちらからはほぼリクエストしない。いや全くしたことがない気がする。

UIコンポーネントの位置や導線等、「体験」に関わる点については要望や意見を言うが、見た目に関しては鳥居さんのデザインはいつも僕の想像を超えてくれるので「最高です!」しか言ったことがない。

デザインと、実装の優先度の話

デザインを依頼して、上がってくるまでの間にこちらでも実装を進めていくわけだが、このフェーズでどの実装タスクを優先するか考える際に、

「プロダクトに必要な機能」という観点よりも、

「デザイナーさんとの認識のすり合わせに必要な機能」を優先する。

たとえばTOTOCの場合でいえば、アプリの性質上、撮影した画像をカメラロールに保存したり共有したりする機能は必須だが、そこについては機能が実装されていなくても認識がずれることはないと思われる。

なのでそこよりも、「撮影画面に撮れた動画のサムネがポンポンと現れてくる」というUIの実装を優先した。

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(このスクショの丸アイコン群の部分)

これは「置いておいたら良い動画が撮れていた」というコア体験をより嬉しくするにはどうしたらいいだろう?と考えて思いついたもの。これは他の動画撮影アプリにはない特殊UIなのでまずつくって見せねば、ということで優先することにした。

ちなみにこのUIに関しては鳥居さんにやりたいことのイメージを軽くテキストで伝えたら、完全に僕の脳内でほしかったUIがデザインとして上がってきてびびった。(つまり結果的には実装を優先する必要は別になかった)

断片リストのやり取り

(その時のMessengerでのやり取り)

デザインはなるはやで反映

僕もデザイン反映作業は完成度がみるみる上がるので楽しいし、デザイナーさんもその方がテンションあがるので、ガーッとなるはやでやる。

10年アプリ開発やってるけど、今も昔もこのフェーズが一番楽しい。

アプリ名とアイコン

ある程度手元で使えるようになってドッグフーディングして、自分の中でも「嬉しさ」が実体験としてつかめたところで、アプリ名を一緒にブレストする。

ちなみに"Somato"も"TOTOC"も鳥居さんが出してきてくれた案🙏

アプリ名が決まったら鳥居さんがアイコンやロゴをデザインしてくれる。完全おまかせ。(本当にいつも想像を超えて素晴らしいものが出来上がってくる)

(追記)デザイナーさんからのコメント

Dai Toriiさん視点からのコメントも寄せられたので追記:

(追記)Twitterで寄せられた質問

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(追記)その他関連ツイート

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