気づいてしまった話
駅から遠い家を選んでしまったばっかりに、くたくたに疲れた日はタクシーに乗ってしまうこともある。
もうこれ以上一歩も歩きたくないと思ったその日、わたしはよろよろとタクシーに乗り込んだ。
「自宅までお願いしたいのですが…」
「あいよ」
「…お姉さん、女医さん?」
「え!いやいや、ただの会社員ですよ…」
賢そうに見えたのかな(嬉)。
明らかなお世辞でも人は喜んでしまうものである。
自慢だが、群馬に住んでいたとき、ただミスドでドーナツを食べていただけなのに、群大生ですか? と聞かれたことがある。
これはもう、わたしから知性が溢れ出てるといっても過言ではない。
しかし、この感じ身に覚えがあるぞ…!
以前、乗せてもらったタクシーの運転手さんとまさかの再会である(夏の終わりのちょっとびっくりした話参照)。
「ああ、あのときの人かあ!」
「へえ、酔っ払ってないと真面目な感じなんだねえ」
最近はひどく酔っ払うことはなかったはずなのに、ずいぶん不安にさせることを言う人だと思った。
まあ、今にして思えば最寄駅のタクシー乗り場でお客さん待ってるんだから、乗り合わせる率も高くて当たり前である。
運命でもなんでもない。この人はわたしの住んでる町の住人を運んでくれる運転手さんなのであった。
わたしは単純なからくりに気づき、なんだかちょっと損した気分になった。
今日はちゃんと歩いて帰りました。
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