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冬霞の巴里はファンが見たい永久輝せあアソートパックだという話

桜が満開の時期ではありますが、
私の脳内は俄然19世紀ベルエポック、冬のパリにおります。

…冬霞の巴里ですよ冬霞の巴里。

https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2022/fuyugasuminopari/index.html


この文章を書いているのはドラマシティ公演千秋楽が終わってブリリアホール公演が始まるのを待っている最中なのですが、公演が終わったというのに、お風呂に入っていてもご飯を食べていても髪を乾かしていても散歩してても仕事してても(仕事はしろ)、心はぼや〜〜っと冬霞の世界に飛んでいってしまっている有り様でして…どうにかこうにかその跡を残しておきたいと思いました。

2時間半ひとときも飽きさせない舞台でありながら、
「結局これって…!?」と考えたくなる余白がある、冬霞の巴里。
物語そのものの感想や解釈だけでもウン万字書けるぐらい見応えのある作品なのですが、未だ私の中では文章としてまとまっておらず…

結果、私に書けるのはどれだけこの作品の永久輝せあさんが好きかということだけだな、という境地に至ったので、その旨を叫びたいだけ叫ぼうと思います。どうかお付き合いいただけたら嬉しいです。

ネタバレも多々あると思いますし、冬霞を見た人を想定して書いておりますのでそこらへんはご容赦ください。

2021年度は復讐の年…集大成としてのオクターヴ

ちょうど一年前に初日を迎えた花組公演「アウグストゥス-尊厳ある者-」でのブルートゥス役でカエサルを暗殺して以来、「元禄バロックロック」では主君タクミノカミの仇討ちを目論むクラノスケ役と、ひとこちゃんは本公演での復讐キャラが続いており、2021年度の終わりに、満を辞しての主演公演で母と叔父への復讐を誓うオクターヴ役…ブルートゥスとカエサルどちらも自慢の三白眼をギラギラとさせて熱演されていたので、あの目つきにまた会える…!と楽しみにしていました。

舞台の幕が上がりプロローグが始まり復讐の女神エリューニスやパリの人々が踊り出したのち、舞台奥から出てきてスポットライトを浴びたオクターヴさんが期待通りの三白眼を携えて放った第一声が

「ただいま。この腐った街 パリ!」

ちゅ、厨二〜〜〜〜〜〜!!!
と半ば笑ってしまいそうになりつつも、そのセリフにすっかり心を掴まれてしまいました。

復讐キャラが続きながらも、どの人物も「なぜ復讐したいか?」という動機が全然違い、演じ方も全然違い。特にオクターヴさんは喧嘩や剣術は強いのかもしれないけど、精神面ではだいぶ弱そうな人だったのでまた新しいひとこちゃんの一面が見られて面白かったです。
また、「アウグストゥス」も「元禄バロックロック」でも「憎しみの連鎖の果てに何があるのか?」ということを繰り返し問いかけられていましたが、今回冬霞の巴里で自分の中で一つ答えが出た気がして良い感じに「復讐の年」の年度末を迎えることができました。笑

永久輝せあ黒目の大きさ自在に操れる説

そんなこんなで愛する父を殺された…と母と叔父に復讐するためパリにやってきたオクターヴさん。
下宿でにぎやかな住人を紹介されても「やれやれ…」ぐらいで全然踊らないし、新聞記者の仕事は「テキトーにやってるよ」程度だし、姉アンブルが今や大資産家になったブノワにすり寄りにいってる時なんて「もう何人か殺してきた?」ぐらい鋭い目してるし(TLで「後方彼氏面」と呼んでいる方がいて笑いました)、とにかく終始死んだ目をしているわけですが、個人的に最高に目が死んでるな!と思ったシーンは聖乃あすかさん演じるヴァランタンに「ギョームに言われて俺を見張ってるな?」と銃を突きつけられたあと、叔父を恨む俺にそんな疑いを掛けるなんて俺への侮辱に等しいとキレ、それでもやりたいなら…と立ち上がり

「さあ、撃つがいい」

と上着を広げるところ。
人ってあんな死んだ目できるんだ…
ヴァランタンと向かい合ってるシーンだし前髪が顔にかかってるので表情をクリアに見られるわけじゃないのですが、むしろそれが死んだ表情を加速させている気がして好きです。

逆に目がキラキラしてる!って思ったのは、華やかなフィナーレ…ではなく、一幕終盤、ブノワとその部下を無事殺して、ゆっくりと銃をおろしたあと。
パッと顔を上げて、にっこり笑って

「父さん…!?見ていましたか…!?」

ですよ。
しかもそれまでずっと死んだ目をしていたのにそこで急にスポットライトが目に入ってキラキラ輝き、下の歯まで見せて笑うんですよ。
こわすぎませんか!?!?!?!?!?!?!?!

よくスターさんがショーとかで銀橋に出てきた時に黒目に光を入れることを意識する…とインタビューなどで聞くのですが、こんな使い方があったとは。
ひとこちゃん、絶対に黒目の大きさ操作できる特殊能力持ってます。

永久輝リボンタイせあ!!!!!!(歓喜)

よくスカステやVISAの毎月のメッセージでもリボンタイをつけているひとこちゃん。
私はリボンタイが好きなのか永久輝せあが好きなのかよくわからなくなってくるレベルでリボンタイ姿の永久輝せあさんが好きで!

なんでそんなに好きなのか?と言われると、お顔に三白眼とキュッと上がった口角が同居してることもあって、クールと可愛いを両方兼ね備えたところが魅力のひとこちゃんが、男役のジャケット姿にリボンタイを着けることによってその魅力が増幅しているように思えるからかなあと…。
シンプルにリボンが好きというのもありますが。
とにかく、先行画像やポスターでゆるゆるにはだけたシャツとストール姿だったオクターヴさんが、プログラムでは私の愛してやまないリボンタイ姿になっていた時には「神に感謝だわ〜〜〜!!!!」(by ナイスワーク五峰さん)と天を仰ぎました。
しかも、二幕で体調を崩したオクターヴさんはシャツにベスト、先行画像と同じゆるゆるリボン状態で登場、どうするん〜!?と思いきや、星空美咲に結んでもらうんですよね…姉役の、しかも8期も下の娘役さんに結んでもらうリボンタイ…格別でございました。(しかもその前にボタンは自分で留めるっていう)
また幼少期のオクターヴとアンブルが話している時、暗がりでこっそり大人の二人がポーズ変えたりベッドに足を乗っけたりするのも…ズルいですよね…

俗物の私はただただリボンタイ!!ということに興奮してしまっていたのですが、別の方の感想で「リボンを縛るっていうことは束縛してるってことだよね」というのを見かけてやっぱりアンブルは冥界へ誘うセイレーンだったのか…とハッとしました。
星空美咲に束縛される永久輝せあ…良い…
(役名で言え)

武器ジェンヌと飲み物ジェンヌ

日本物の雪組出身ということもあり、日本刀に始まってドンジュアンでは剣、哀しみのコルドバでは銃で決闘したりと、とにかく毎度物騒なひとこちゃんですが、今回も例に漏れず銃とフェンシング!しかも素手でも殴る!と安定の武器ジェンヌっぷりを発揮しておりました。

その中でも叔父ギョームに手合わせを申し入れ、髪振り乱して本気で挑んだ最後の左手を上げて右手の剣は叔父に向けているあのポーズ。
あれが本当に好きすぎて…背筋が凍るほど目がイっていて…どうかあのシーン舞台写真で出してください…

またひとこちゃんは飲み物ジェンヌ(お芝居中によく飲み物を飲んでいる人を勝手にそう呼んでいます、ちなみに望海さんは薔薇ジェンヌ)でもありまして。特に花組にきてからは

はいからさん:園遊会で環さんとワインで乾杯
ナイスワーク:昼食会でレモネード
アウグストゥス:カエサルの凱旋式後のパーティ(ワイン?)
コルドバ:フェリーぺを呼びつける前にワイン
元禄:賭場ラッキーこいこいと自宅で日本酒

と本公演別箱合わせて5作連続で飲み物を飲んでいるのですが、今回はカフェ・コンセールでのアブサンと昼食会での赤ワイン、2種類も飲んでいて飲み物ジェンヌの本領発揮。
しかも、赤ワインの飲み方に妙〜〜〜〜〜にリアリティがあって…笑
中の人のお酒好きな一面が垣間見えるのも、好きです。

この世で一番好きな「ごめん」の言い方

数ある永久輝せあさんの魅力の中でも、私は特に声が好きでして。
なんというんでしょう、少しハスキーでもあり、でもクリアで、甘くもあり、役によって出す声色が全く違って「こういう人だからこういう喋り方になる」というのがすごく納得がいくところが、とっても好きです。
とりわけ今回は、姉アンブルに話しかける声、父さんへの声、ヴァランタン、母や叔父への声、全部向ける感情が違うから声も全然違っていて、表現力が豊かなんだなあと惚れ惚れしてしまいます。
なので、好きなセリフはいっぱいあるんですけど、もしかしたら一番は

「ごめん」

かもしれない…!
冒頭、全然連絡をよこさなかった姉アンブルに少し拗ねたら「私が本当にこの馬鹿騒ぎに興じていると思う!?」と諌められたときの「ごめん」。
こんなシンプルな一言で心を掴まれるとは思っておりませんでした。
というかシンプルだからこそ、ごまかしがきかず、言い方や演技力が物を言うのかもしれません。
「うん」とか「あぁ」とかが多い正塚先生の作品に出てるひとこちゃんもまた見たいなぁという気持ちになります。

「それで、いいの?」とかも最高ですよね…

永久輝せあ×青木朝子=好きの二乗

その声の魅力は、歌にも存分に発揮されていて。
今回の曲は、ひとこちゃんが歌ってないのも含めて一曲残らず全部好きなんですが、それもそのはず、作曲を青木朝子先生が手がけているから…!

青木朝子先生といえば、大介ショーやウエクミ作品にもよく曲を書かれている言わずと知れた宝塚の宝なわけですが、私は本当に青木先生が書かれる曲が大好きで!
1度聴いたら忘れないのに100回聴いても飽きない、そんな魅力を持つ青木先生の曲でいつか贔屓の主演作が見れたら…と夢見ていた私ですが、今回その念願が叶いまして。
結果はもう、最高!!!!!!!!!!!!といったところでございます。

一番好きなのは「光なきワルツ」という冒頭にエリューニスの咲乃深音ちゃんが歌って、二幕でひとこちゃんが歌う曲なのですが、これは

悲しみの始まりはどこ?
罪の始まりはどこ?

という歌詞もある通り、このお話の主題とも言える曲。
ぽつりぽつりと歌い始めて「悲しみの始まりはどこ?」と問いかけていくこの曲は、自分の本心がずっと見えなかったオクターヴの切実な願いが刺さるぐらいに伝わってきて、切ないけど大好きです。
他にも一幕、傘の場面のあとに父オーギュストが死ぬ場面の回想と共に歌い上げる曲も好きですね…観劇を終えて家に帰ってきても、下宿の歌やらクロエとギョームのデュエットやらが脳内をエンドレスリピートしていて物騒で仕方ないのだけが、玉にキズといったところでしょうか。

指田先生の性癖を感じるフィナーレ

ひとこちゃんとほのかちゃんがニヤニヤしながら
「指田先生がやらせたかったんだろうねえ」
とNOW ON STAGEで話していた男役×男役のタンゴ…

そりゃ、オタクは好きですよ!!!!!!!

お芝居中は全然笑わないひとこちゃんが楽しそうにそれぞれと視線を交わしながら踊っているのは、見ている側も嬉しくなります。

その前の美咲ちゃんとのデュエットダンスも…!

一度めに肩を叩いた時は逃げられてしまうけれど、
もう一度肩を叩いたら振り向いてくれる美咲ちゃん。
アンブルとオクターヴのその後を匂わせるような振り付けで、とっても好きです。

そしてなんといってもラストのソロ…!

個人的には手に入れられなかった「恋人としてのアンブル」の幻影と踊っているのかな?と解釈していますが、もう一挙手一投足が好き。
特に黒燕尾のテール蹴るみたいな振りと右足バーンと上げる振りが好きです。平澤先生ありがとうございます。

あとフィナーレちょいちょいウィンクしてんの?してないの?どっちなの?みたいな片目つぶるやつこっちの心臓が保たないので本当にやめてください。(もっとやってください)
劇中ずっとウィッグなので地毛で踊ってくれるのも、二度美味しいです。

おまけ:花娘とのファーストキスは成らずでしたが…

私の記憶するかぎり、ひとこちゃんが花組に組替えしてからキスした相手は
聖乃あすか(DANCE OLYMPIA)
瀬戸かずや(NICE WORK IF YOU CAN GET IT)
柚香光(Cool Beast!!)
というまさかの全員男役でして…
今回もヒロイン星空美咲ちゃんは姉役ということだったので恋愛要素はないのかな?と期待せずに臨んだのですが、物語としてはかなり愛の話でしたね…!
いやはや次の「巡礼の年」ではショパンの恋人ジョルジュサンド役ということで、永久輝せあキスのお相手リストに水美舞斗の名前が加わりそうな予感しかない。
いつか花娘とチューできるといいね…

結論:指田珠子先生にハムを贈りたい

長々と語ってきましたが、言いたいことはただ一つ。

指田珠子先生ほんとにありがとうございます!!!!

ハム贈りたいしビール贈りたいし揖保乃糸贈りたい。
というか口座番号教えてほしい。

歌劇での冬霞座談会にて、「前回の作品(竜の宮物語)があまり明るくなかったから次は明るい作品にしようと思ったけど、主演が永久輝さんと伺っておとめを見たら心中する役とか書いてあったのでこういう作品にしようと思った」とお話しされていた指田先生…プログラムでは「永久輝の秘めたる凶暴性を見たくてなりません」と書いていた指田先生…

おかげさまで、「こんな永久輝せあが見たかった!」が1000個ぐらい詰まった素敵な作品に巡り会うことができました。

毎年何本も何本も新作が上演される宝塚の中にあっても、演出家、そして作品との出会いはその時の運によるものも大きいと思います。そんな中で、贔屓の主演作でこんなにも好き!と思える作品に出会えて私は本当に幸せなファンです。

ひとこちゃん、おとめに「心中する役」とか書き続けてくれてありがとう(そこ)

指田先生の次回作は天寿光希ミュージックパフォーマンス「ten∞ten TIME」ということで、竜の宮と冬霞で溜め込んだ何かがどう爆発するのか、それも非常に楽しみです!

さて、こんなに長い文章を最後までお読みくださりありがとうございました。

冬霞については、他にもほのかちゃんヴァランタンやら美咲アンブルやら絶妙ミッシェルエルミーヌ、アダルトなクロエとギョーム、得体しれなさすぎしい様オーギュストやら下宿やエリューニスと語りたいことがたくさんありすぎるのですが、それはまたいつか…。
今はただ、とにかくブリリアホール公演の幕が無事上がり、誰一人欠けることなく千秋楽を迎えられることを祈うばかりです。

ひとこちゃん、東上主演本当におめでとうございます!


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