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日米戦争は歴史であって歴史じゃない問題
日本は日米戦争に敗れた。
日本人が日米戦争に敗れた、といってもいいだろう。
もっと言えば、日本人の考え方や行動様式、組織体質が、敗れるような戦争を招いてしまった。
あの戦争は当時の日本政府と軍部が全部やったことであり、その責任(開戦責任も敗戦責任も全部)もすべて当時の指導者たちにある。そう今の日本人は考える。責任問題は確かにそうだが、「負けると分かった戦争」をあえてやると決めた判断を形成したもの、有史以来こんなひどい負けっぷりはないとまで言われる異形な負けよう、これらは日本人の気質がもたらしたものであり、今の日本人が抱える問題でもある。
「場の空気に流される」「責任追及を恐れて過ちを認めない」「外部の敵を前に内輪同士で足の引っ張り合いを演じる」「一度方針を定めると状況や前提が変わっても方向転換できなくなる」
これらはすべて今の日本人にもある“国民病”といっていい。
厄介なことにこの病は、日本政府や官僚機構といった大規模で大きな責任がともなう組織ほど、発症しやすい。
日本は確かにこの76年間、一度も戦争を経験していない。が、有事や国難に見舞われてこなかったわけじゃない。大震災や未曾有の経済不況、そして現在のコロナ禍も有事といえば有事である。先の大戦ほどではないにしても、被害の甚大さを過小評価してはならない。これらの国難を前に、日本の指導者はいったいどんな振る舞いをしてきたか。「場の空気に流される」「責任追及を恐れて過ちを認めない」「外部の敵を前に内輪同士で足の引っ張り合いを演じる」「一度方針を定めると状況や前提が変わっても方向転換できなくなる」あのときの日本政府や日本軍と、まんま同じではないか。
戦争してない? そんなの時代に恵まれているだけの話。憲法9条があろうがなかろうが、日本人は「戦争やむなし」という空気が醸成されれば、普通に戦争をおっぱじめる。そんな危うさをはらんでいる。
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