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滅びた新ジャンル日本画【06】-日本画の全盛(その1)-


土田麦僊(ばくせん)『大原女(おはらめ)』

きれいでしょ。
実物は宝石を砕いた粉で描かれてるので物凄くきれいだよ。

さて、明治の文明開化と共に爆誕した新ジャンル『日本画』。
この日本画を一気に育てるために偉い人が上手い人をたくさん引き抜いてきて立派な大学で研究させたり、教鞭をとらせたりしました。

ヨーロッパに派遣したりしもしたので世界の流行も知る事となり、またヨーロッパ伝統技法も研究されました。

そして日本画は、現代アート、ヨーロッパの古典、日本の古典をどうにかなんとかしてスゴイやつ描けないか。
という方向へ向かいます。

普通に現代アートの文脈に乗らなかったのはなぜなんだろう?
それは洋画の奴らがやればいい。
とか思ってたのかな。

草上の昼食  エドゥアール・マネ

昔の有名な偉い画家の描いたみたことある絵。
今見たらクラシックな感じの絵よね。
だけどコレ発表時はメタメタに叩かれた絵だよ。
だって裸だもん。
とても公の場に掛けれれるもんじゃなかったの。

昔の絵なんて裸だらけじゃん。


古代はね。
古代を題材にしたのもね。
だけどリアルタイムの人間を裸で描くのはまだタブー。
そんな時代だったので、そこを更新しようとしたこの絵は現代アートなんですね。

現在のように、更新部分だけを見せるのでは無くてどこかが更新されているというやり方なのでクラシックにも見えます。
当時でもそう見た人が居る。

全く同じとは言えないけど、この構図は影響を受けていると言われてます。
その上この日本画はルネサンスの香もします。
現代アート+ヨーロッパ伝統美術+日本伝統美術
これをなんとか昇華して新しい日本画を示したい!
示せていると思います。

この頃の名作日本画は鮮度が落ちません。
不思議なことに賞味期限が切れないようです。

普通の絵じゃん


速水御舟 鍋島の皿に柘榴

絹本(絹)に岩絵具で描かれている超絶技法
特に現代アートな感じでもないですよねえ。
普通の絵じゃん。
ところがそうでも無いんですよ。
超絶技法で奇をてらわない現代アートといえば


サルバドール・ダリ パン

シュールレアリスムの鬼才で天才、サルバドール・ダリの作品です。
普通の油絵にみえますけど、もちろん現代アート。
あらゆるヘンテコな形や構図を見事な腕前で描ききってたダリ。
まだCGの無い時代にCGを油彩で描いてた天才。
その奇才で天才がたどり着いた一つの頂点がこのなんてことないパンです。
なんてことないのに現実離れしてます。

「私の絵画は具体的非合理のイメージの潜在的で絶妙、奇抜で超審美的な手製のカラー写真である。」

現実こそが超現実であると言ってるようなもん。
これはアートを更新させる見方なので現代アートの文脈と言って良いと思う。

ならば速水御舟はどうか。

速すぎたんじゃないか日本画

日本画の生みの親、アーネスト・フェノロサの唱えた日本画ではなくなっています。
これは新しい分野であった「日本画」もまた更新を続けていたからに他なりません。

ダリよりも早く現実に超現実を見ていた可能性も感じます。
そうです、この頃の日本画は本家ヨーロッパの現代アートを凌駕していたかもしれません。
バカにできないです。
バカにしてないけど。

疲れたから続きはまたね


つゆとをちつゆときへにしわがみかな
なにわの事もゆめの又ゆめ

-豊臣秀吉-

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