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アメリカで4年間過ごした私が考える英語学習の方法と心構え

英語は世界中で標準言語として利用され、日本でもその需要が高まっています。そこで、私が英語学習についての経験を共有し、おすすめの学習方法と心構えをまとめてみたいと思います。


私の英語力の推移

私の英語学習の歴史を振り返ります。学生時代、私は自身の英語力を評価するために TOEIC スコアを頼りにしていました。そのため、前半部分では TOEIC スコアを主要な指標として取り上げます。

中学・高専

私は普通の公立中学校、国立高専に通いましたが、特に英語が得意ということはありませんでした。18 才のころに英検 2 級、TOEIC 450 点くらいでした。私の環境だと、周りの同級生より少しはできたかな?くらいです。高専からの進学を考えていたので、ここから 2 年くらいは DUO という単語帳をベースにだらだらと英語を勉強してました。TOEIC は 600 点くらいになってたと思います。20 才の時に授業やインターンシップで外国人と英語は話す機会が多くあり、これをきっかけにスピーキングに重きを置いて英語学習をするようになりました。オンラインの英会話サービスを使って、毎日 30 分講師の方と会話することを 1 年くらい続けました。このレッスンは楽しく、日常で英語のことを考えている時間がかなり増えました。この 1, 2 年が人生で一番英語を勉強していた時期だと思います。結果、TOEIC の点が 800 点後半になりました。ちなみに、この頃に受けた英検 1 級は不合格でした。この記事の執筆をきっかけに 1 級の模擬問題を覗いてみましたが、今でもパート 1 の選択肢に出てくる単語は半分もわかりません。

大学院修士課程

22 才で大学院に進学しました。研究室で英語を話す機会はそこそこありましたが、まあ 1 日に 30 分も話すことはなかったと思います。ただ、論文や技術文書をたくさん読んだのでリーディング力は鍛えられました。あと、この時期にオンラインの外国語学習コミュニティで妻と会話するようになりました。研究室での時間も含め、週に 3 時間くらいは英語を話している時間があったと思います。修士時代はコンピュータのことで頭がいっぱいで、英語はあまり勉強してませんでした。アメリカやインド、シンガポールに行く機会がありましたが、人によっては意思疎通が難しいこともありました。TOEIC は就活用に一回受けて、900 点前半だったと思います。

会社員

24 才で楽天に入ってすぐに会社で TOEIC を受けられる機会があったので受けてみたら満点でした。7 年くらい前です。当時の実力からすると、まあまぐれだったと思います。同時期に受けた Versant と呼ばれるスピーキングのテストは 60 点台だったと思います。これは「大きな負担を感じさせずに、情報や視点を明確に述べることができる」レベルみたいです。だいたい当時の実感とあっています。修士時代と同じく、積極的に英語を勉強はしていませんでしたが、社内公用語が英語だったこと、妻が日本に語学留学で長期滞在してたことで日常的に英語を話す環境はありました。

渡米後

アメリカに来て最初のころは妻の家族が気を使ってくれてやっと会話が成立する感じでした。レストランで注文はできるものの、聞きなれない表現が聞き取れないことは何度もありました(Soup or salad? 等。 Super salad ってなんだよって思いながら Yes って言ってました)。渡米後半年たった頃にした就職活動では電話面接は英語が聞き取れるかでドキドキでしたが、なんとか問題なく就職できました。この頃にはだいぶ自然に会話ができるようになっていたと思います。これは慣れの問題だったと思います。

現在

それから 4 年ほどソフトウェアエンジニアとして生活しました。今ではチームでプロジェクトをリードすることも多いです。チームメンバーとはもちろん、非エンジニアの方や目上の方々との会話や議論の機会も多くありますが、英語力が問題になったことはないと思います。ただ、たまに単語や表現が出てこなかったり、簡単な単語を知らなかったりということはあります。また、ドキュメントも結構書いてますが、文法や言い回しのミスは多くあり、Grammarly というサービスで添削してから共有するようにしています。書いたドキュメントについてはわかりやすいと言われることが多いですが、これは英語力というよりは文章の構成だと思います。アメリカのソフトウェアエンジニア職について興味がある方はぜひこちらの記事も読んでみてください。

また、妻がネイティブなのでネイティブの人との交流も多いですが、会話についていけないということはほとんどありませんし、会話をするときに気を使われていると感じることもないです。難解な映画はそこそこわからない単語や表現が出てきますが、字幕がなくても内容が理解できないことはありません。ポッドキャストやニュース、YouTube 等のコンテンツは聞きなれない単語や表現がかなり少なく、ほとんどの内容を理解できます。

何が重要か

アメリカに長く住んでいる方や留学経験のある方でも英語があまり話せないというケースを、日本人に限らず、多く見てきました。英語学習に恵まれた環境にいる方でも、努力なしでは英語力は伸びません。自身の英語学習を振り返ってみて、私がおすすめする英語学習方法についてまとめます。これは 3 段階にわかれています。

注意:中学英語程度の基礎があることと会話が嫌いでないことを前提としています。

単語と例文の暗記

最低限の単語がわからないと会話になりません。大学受験用または TOEIC 用の単語帳を自分の好みで 1 つ選んでください。単語帳には例文がついています。単語と例文の両方を覚えてください。ここで覚えた例文は英会話を始める上での基礎になります。 会話の中でどう使うかを意識しながら覚えましょう。音読するのが効率がよいと思います。なるべく短期間、理想的には 1-2 ヶ月程度で駆け抜けてください。そうしないと忘れちゃいます。広く浅くで何週かするのが良いと思います。例文中にわからない文法がでてきたらその都度調べてください。文法はこれで十分です。ネイティブの人で私より文法知識がない人なんてたくさんいますが、その人達は映画は理解できるしビジネス文書も書けます。そんなものです。8 割程度覚えたら、英会話をはじめましょう。資格試験がモチベーションになるのであれば、この段階で英検や TOEIC 等と受けてみるのも良いかもしれません。

英会話

オンライン英会話サービスを利用しましょう。毎日 30 分でも 8,000 円程度です。理想は毎日、最低週 3 回程度はレッスンを受けましょう。最初の数回は準備に時間がかかると思うので、週 1, 2 回でも OK です。初めのうちは便利フレーズ集を手元に用意しておきましょう。これに加えて、事前に話したいトピックについて計画を立てます。たとえば家族、仕事、旅行等です。自分が関心のあることから順に選んでいけば良いです。各トピックについて、3 回程度は違う人と話したほうが良いです。初めてのトピックについては特に事前準備が大事で、 30 分から 1 時間程度話したいことを日本語で考え、英訳します。時間がかかりますが、そういうものです。そのうち準備に使う時間が少なくなってきます。レッスン中は伝わらなかった表現や理解できなかった表現を簡単にメモし、レッスン後に復習します。これの繰り返しです。トピックは 1 つ 1 つマスターしていくものだと考えてください。あなたがもし過去に一度も音楽の話をしたことがなければ、音楽についてスムーズな会話をすることは不可能です。これはそのトピック特有でよく出てくる単語や表現について十分な理解がないためです。いろんな人といろんなトピックについて話しましょう。めんどくさいと思われるかもしれませんが、英語力の向上とはそういった地道なものだと思います。でもあまり心配しないでください。最初の 1 ヶ月程度を乗り越えれば楽しくなります。楽しんでいるうちにどんどん英語力が上がります。半年もすれば TOEIC 800 点、英検準一級くらいは取れると思います。また、英会話力の向上に伴って自分の周りの英語コミュニティも大きくなっていくものです。このレベルに到達するころには何人かの外国人の友達もいることでしょう。

英語コンテンツからの学習

ある程度英会話に慣れてきたら、英語のコンテンツから新しい単語や表現を学びます。僕は主に TV ドラマとソフトウェアエンジニア関連の技術文書から学びました。これはポッドキャストでも良いですし、YouTube や映画、本でも良いと思います。単語の意味がわからなければ内容が全くわからないという場合を除き、その単語の意味を調べる必要はありません。ただ、わからない単語に出会った際は意識的に意味を推測して頭に留めるようにしましょう。その単語が頻出するのであればそのうち覚えます。

以上が私がおすすめする英語学習です。英会話に偏った勉強法のように感じるかも知れませんが、この方法で十分なリーディングやライティング力も身につくと思います。ポイントは、英会話が楽しい(これは主観的ですが、多くの人にあてはまるのでは?)ことと、英会話力の向上に従って自然と日常生活で英語に触れる機会が増えることです。

英語学習の心構え

前のセクションで学習方法についてまとめました。ここでは、その学習を支える精神面についてまとめます。

学習初期は辛いもの

これは何を勉強するにしても同じだと思いますが、学習初期は辛いです。途方もなく長い道があるように思え、やる気を失ってしまいます。自分がやってる方法に不安を覚え、いろいろな教材に手をだしてしまいがちです。ちょっと勉強してはやる気をなくす、を長い間繰り返されてる人も多いのではないでしょうか。残念ながらこれでは劇的な上達は望めません。学習初期は辛いものと受け入れ、上記の方法を信じ、単語帳の暗記と英会話への慣れまでを数か月で一気に駆け抜けましょう。この時期は毎日最低 1 - 2 時間は英語を勉強する覚悟が必要です。しかし、ここを乗り越えてしまえば勝ちです。次第に自分の周りに英語コミュニティができ、英語学習が楽しくなり、勉強という感覚が薄れていきます。

資格試験を目標にしない

日本社会において英語資格試験が重要なのは重々承知していますが、最終目標が英語力の向上であるならば、資格試験を目標にすべきではないと思います。資格試験を目標にしてしまうと、その資格特化の勉強をすることになり、これは全体的な英語力向上という観点からは望ましくないと考えるからです。中学英語程度の基礎がある方にとっては、単語帳と英会話こそが英語力の基礎を固めるのに最も効率的な方法だと考えます。資格試験は、自分の英語力の成長を測る目安として利用していくのが良いと思います。しかし、例えば TOEIC X 点が昇進条件であって、 1 ヶ月以内に 100 点上げなければいけないというようなケースであれば、一時的に試験対策を行うことには反対しません。


まとめ

私がおすすめする英語学習は以下の 3 段階から構成されています。

  1. 単語と例文の暗記( 1, 2 ヶ月)

  2. 英会話(半年 ~ 一年)

  3. 英語コンテンツからの学習

英語学習初期は強い意志を持って、短期間で駆け抜けましょう。その後は英語を楽しんで学ぶことができます。また、資格試験は目標ではなく、自己成長の指標として活用しましょう。

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