サツヤマ

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激闘!! 思想の強すぎるおかき屋vs俺

とんでもないおかき屋があるらしい。 お盆休みに風邪を引き、すべての予定をキャンセルした後、ふと私は思い出した。 「ーーとんでもなく思想が強いんですけど、本当においしいおかき屋さんがあるんですよ」 さかのぼること数週間前。 並んで出かけた真夏の街で――そのように語った友人を、私はまじまじと見た。 日差しが強いあまり、白っぽく見える大通りの真ん中。「とんでもなく思想が強いおかき屋」とは何なのか、しばらく理解が追いつかずに閉口していると―― 「この近くにあるんですよ、よかっ

    • オレとお前とザ・ファースト・スラムダンク

      ―――いい音のする映画だな、と思った。  三月のなかば、仲良くしてくださっているフォロワーさんと「えらく評判がいいスラムダンクの映画を見に行こう」という話になり、私はミニシアターの一席でスクリーンを見上げていた。  「ザ・ファースト・スラムダンク」は、あたたかそうな海辺のバスケットコートで、ボールが跳ねる音から始まる。  この時点ではなにもわからない。ただ、十代のなかばと思わしき精悍な少年が「怖いか、リョータ」と、慈愛に満ちた声で、小柄な少年に語りかけるシーンを見て「この

      • 湯煎温子という才能/――「凸凹シュガーデイズ・もう1回!」に寄せて

        生きていると疲れる。 マスク越しの不自由な呼吸に慣れないことや、「閉店しました」というそっけない紙が貼られた飲食店のシャッターを見るたび、とみにそう思う。 水の中で息を止めていると、一分、二分と時間が経過するごとに少しずつ苦しくなることに、今の状況はとても似ている。 ずっしり重い単三電池がだんだん軽くなっていくのと同じで、疲労というのは肉体そのものを削り取る。だからこういうふうな、ささやかな摩耗が岩に穴を開けていくような疲労を感じている人は多いのではないかと思う。 そん

        • 世界いち優しい喪失/―――「死んだ息子の遺品に息子の嫁が入っていた話」に寄せて

          フォロワーがコミックスを出した。 ふさふさの尾に、三角形の耳がかわいい二匹の家族と暮らしている、仲のいいフォロワーがコミックスを出した。 (画像をクリックするとAmazonのページに繋がる) めでたい。一介の小市民にすぎない私には想像もつかない世界だが、絶え間ない努力の果てに自分の作品が書店に並ぶというのはこのうえなくめでたいことだと思う。 未知の感染症の流行に、目の前を流れていく悪いニュース。ずっと続いているように思える景気の低迷と、釈然としない社会情勢。ここ最近ずっ

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