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2020年:俳優目当てで観た映画

かなり時間が空いてしまいましたが、懲りずになんとか続けなければと地味に書き続けている。
気づけば新年度を迎え、働いている会社にも新入社員が入ってきた。
覇気300%くらいの勢いで絶賛研修を受けている最中だが、果たして来年 何人くらいが残るだろうか。

さて、前回までは割とヘビーな内容になってしまったので、今回はライトな、文字通り「軽い」俗にいう「ミーハーな」視点でまとめてみようと思う。

映画を観ることは“現実逃避”であり、昨年はそのために年間100本程度の映画を観た。
個人で観る分量としては、個人的には多い方だったと思うのだが、100本なんてものは世界中の映画の量と比べれば塵程度である。
実際、昨年 日本で公開された映画だけでも、洋画・邦画を合わせて1,000本を超える。

そんな中、どの映画を選択するか。個人的には以下の通り。
①劇場で予告を観て興味を持った作品
②雑誌やテレビなどのレコメンドを見て興味を持った作品
③映画館へ行ってちょうど良い時間だったもの
④観たい映画が混んでいたので、適当にすいていたもの
⑤配信一覧を見てジャケット(?)が良さそうだったもの
上記が“現実逃避”としての作品の選び方である。

そして、上記の理由以外で、“現実逃避”目的ではない映画の選び方がある。
「好きな映画監督の新作」そして「好きな俳優が出ている」というものである。

好きな監督の新作というのは、あまり映画を観ない人からするとマニアックな選択だと言われることもある。
しかし、一方の「俳優目当て」というのは、俳優至上主義的な映画の作り方や広告が(特に日本では)多いこともあり、観る映画の選択方法としては一般的なのではないかと思う。
そして、私も例に漏れず、俳優目的で映画を観ることも少なくはない。
ということで、今回のまとめは、出ている俳優目的で観た映画「あなたに会いたくて編」です。

わたくし、自他共に認める面食いであり、特にわりかし王道の、今をときめくイケメン好きである。
以下、そんな私が俳優目当てで観た主な映画である。

竹内涼真「センセイ君主」
吉沢亮「青くて痛くて脆い」
山﨑賢人「キングダム」「ヲタクに恋は難しい」
宮沢氷魚「his」
中村倫也「水曜日が消えた」「サイレント・トーキョー」「私をくいとめて」
ティモシー・シャラメ「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」
アダム・ドライバー「マリッジ・ストーリー」「STAR WARS:スカイウォーカーの夜明け」「ザ・レポート」「もしも君に恋したら」

ざっとこんな感じである。
そもそも「俳優目当て」というのは私の場合、「推しの顔を拝みに行く」という意味合いになっているので、正直 映画の内容については若干目を瞑っている部分もある。
しかし、そんな中でも、面白い映画というものも確実に存在する。
そこで上記の映画から、3本抜粋して記録しておこうかと思う。

吉沢亮 「青くて痛くて脆い」2020年/日本/狩山俊輔/118分

吉沢亮を知ったのは、LEGO BIG MORLというバンドのMVである。
元々私はレゴのファンであり、高校生の時なんかはライブを観に、今は無き心斎橋クアトロへ足繁く通ったものである。
先日、久しぶりに彼らのライブを、初めてBLUE NOTE TOKYOで観たのだが、それも素晴らしかった。
そして、そんなレゴの2017年に発表された「あなたがいればいいのに」という曲のMVに出演していたのが、吉沢亮である。
当時は「綺麗な顔した俳優さんやな」くらいの印象で、あまり興味がなかったうえ、“王子様系”というイメージが強く、私が観るような映画やドラマとは縁遠い存在であった。

そんな私に転機が訪れたのは、2019年公開の「キングダム」である。
キングダムは山﨑賢人目当てで観に行ったのだが、観終わった後ガッツリ心を奪われていたのは賢人ではなく、お亮であった。

この作品において、彼は一人二役、顔が瓜二つの別人という役所であった。しかも一方が影武者であるため、髪型や服装といった道具に頼ることなく二役を演じなければならなかった。
そんな中、私が度肝を抜かれたのは、その二人が交互に映るシーン。
セリフもなく、薄暗い空間の中で、眼や口といった表情、所作のみで、それぞれが纏うオーラまでをも演じ分け、完全に二人の別人物として表現していたのである。
私はこのシーンをみた瞬間、吉沢亮から目が離せなくなった。

そして昨年、今回の本題である「青くて痛くて脆い」が公開された。
原作は未読、予告を見る限り 謎解きサスペンス系なのかと思って、なんの気負いなくわくわく感だけを持って劇場に足を運んだ。
しかし結果としては、吉沢亮云々より内容が個人的に刺さりすぎて、観終わった時にはメンタル大出血の重症を負ってしまったのである。

この作品、レビューを見ると「予告詐欺」などと言われていることもある。まぁその点に関して異論はないのだが、実際のところ私が予告編を作ることになったとしても同じように作ると思う。
なぜなら、その「予告に反する」ことそこがこの物語の肝じゃないか!と思うからである。

主人公は吉沢亮演じる 人と関わることを拒み、人に不用意に近づかないことを信条に過ごす楓。
そんな信条を胸に大学に入学、そこでもひっそりと過ごそうとしていたところに、「みんなが望めば戦争はなくなる、世界は変えられる」と本気で発言するような、“イタいやつ”である秋好と出会う。
何よりも人との距離感を重んじている楓に対して、秋好はズケズケと楓の心の陣地に乗り込んできては彼を振り回す。
しかしながら結局のところ、秋好の真っ直ぐさに動かされ、楓と秋好は何かと行動を共にするように。
そしてついには二人で世界を変えるべく、秘密結社「モアイ」を結成することとなる。
はじめは二人でボランティアなどをしている程度だったが、次第にモアイは俗に言う“意識高い系”が集まるイケイケサークルへと変貌してしまう。
そんなモアイを遠巻きから見るようになった楓は、“死んでしまった”秋好と結成した「理想のモアイ」を取り戻すために、親友と共にモアイを潰す作戦に出る…といった内容である。

さて、この映画の何がキツいかというと、主人公の楓という存在の他ならない。
そして、私が重傷を負ってしまった原因というのも、この楓である。
私は、この映画を観ながら、あまりにも楓の感覚に共感してしまい、もはや楓とは私なのではないかという錯覚に陥った。
楓の行動に関してはやりすぎな部分もあるが、暴走する思考回路には心当たりが多過ぎて、自分の過去、そして現在にも続く歪んだ性分を見ているようて発狂しそうであった。

私も友人は少ない方であるし、あまり私に関わってくれるなと思いながら過ごしている。
それにも関わらず、白状してしまうとグイグイ距離を詰めてくる人は、自分に気があるのではないかなどと思ってしまう節がある。
そして、勝手に人に期待しては、勝手に裏切られた気になり、勝手にふてくされ、勝手にひとり閉じこもってしまうのである。
楓は物語の中の実際には存在しない人物ではあるが、決して“こんな人間いない”などと思うことはなく、ラストの展開も含めて自戒の念を抱かずにはいられなかった。

そんな感じで、吉沢亮目当ての軽い気持ちで観に行ったら、とんでもない傷を負って帰還することになった大変な映画だったというオチ。
私は完全に楓の目線で観てしまったのだが、登場人物もそれぞれ個性的で、人によっては刺さる部分が違って面白いかもしれないなと思う。
ただ、よくよく考えてみると、このように映画の世界にのめり込み、吉沢亮としてではなく田端楓という主人公に感情移入できるというのは、圧倒的な説得力を持った吉沢亮という俳優の演技があるからこそなのだと思う。(突然のフォロー)
イケメンなだけとは言わせない、素晴らしい俳優さんだと思う。
そして言わずもがな、チャーミングな人柄も好きだ…!!


中村倫也 「私をくいとめて」2020年/日本/大九明子/133分

この多数の推し俳優の中で、唯一 実際に対面したことがあるのがこの中村倫也である。
街で遭遇したというのではなく、写真集のお渡し会というものに生まれて初めて行って、握手してもらった記憶は今でも鮮明である。
率直にいうとお金を払って会いに行ったわけであるが、画面で見るよりも華奢で、画面で見るのと同じくらい柔らかな物腰で私はめちゃめちゃ感動した。

そして、そんな中村倫也を取り上げるにあたって、なぜ主演映画をほっぽり出してこの映画なのか。
実際、「水曜日が消えた」という映画は、もはや中村倫也のためにある映画といっても過言ではないくらい、様々な表情の中村倫也が見ることができた。
「サイレントトーキョー」は、ストーリーもむちゃくちゃ面白かったし、俳優陣も豪華、中村倫也の役も効いていた。
そんな中で私が特記しておきたいのは、この「私をくいとめて」である。

なぜこんな言い方をしているかというと、実際この映画、まさかの中村倫也、画面には出てこない。
どういうことかというと、主人公の脳内の相談役「A」として声だけの出演となっている。
アラジンの実写版映画の吹き替えとして抜擢されたことも記憶に新しいかと思うが、つまりこの男、声だけで演技をすることもできるのである。
映画館で予告を見て、脳内の声が中村倫也なのか〜贅沢やな、と思っていたのだが、「A」の声が中村倫也であるということは、公開日くらいまでは公式的に発表されていなかったようだ。
しかし、この特徴的な語り口、声の質感、言わずともバレバレである。

ただ、中村倫也だから!というだけで、何でもかんでも観るということはしない。
私がこの映画を観たのは結局のところ、話が面白そうだったという点である。
前述の通り、私はゴリゴリのこじらせ系人間である。人が当たり前のように経験していることを、良くも悪くもタイミングを逃して経験せずに生きているように思う。
そんな中、「31歳おひとりさま」が主人公の映画となれば、今後の予習として観に行くこともアリなのではないか。
もしかしたら私の中のAなる存在も、中村倫也の声で覚醒するかもしれない…!などという同期に話したらドン引きされた理由をもとに仕事帰りに映画館へ。

映画は「蹴りたい背中」や「勝手にふるえてろ」の綿谷りさの同名小説が原作。
主人公みつ子は31歳恋人なし、迷いや悩みはあれど、いつでも優しい返答をしてくれる脳内の相談役「A」とともに、おひとりさま生活を謳歌している。
そんな中、仕事で付き合いのある他社の年下営業マンに出会い、うっかり恋をしてしまう。
相手が年下であるという先入観が邪魔をしつつも、Aという味方とともに邁進していくという感じである。
ただ、純粋に恋愛だけに夢中になれるかというと、そういうわけにもいかないのが30代なのだろうか。
というより、30代に片足突っ込んでいる私であってもそう感じざるを得ないというのが正直なところである。

ハツラツと思いを寄せる相手とやりとりをする主人公を観ていると、はじめはコメディたっぷりの笑える映画かと思っていたが、一転するのは芸人の吉住が出てきたところ。
撮影自体はおそらくw1の優勝前だと思うのだけど、「女芸人」という存在が引き金となり、そこからドバドバと膿が出てくるのだが、それがなかなか辛辣なのである。
「こじらせ」などと一括りにされがちであるが、そうなってしまったにはそれぞれ理由がある。
他人に言うほどでもないと感じる孤独や、比べたって仕方ないことに対する劣等感、隠してきたトラウマなど。
それが諸々こんがらがってこじらせと言われる存在が実態をもっていくのである。

いくらこじらせようとも生きていかねばならないし、好きになってしまったからには逃げていてもしょうがない。
誰かに背中を推してほしいがために、Aという存在まで生み出してしまった主人公。
孤独とは、永遠に続くかのように思える、果てがない自問自答である。
そんな主人公が文字通りもがきながらも恋愛に向き合っていく模様に、大滝詠一の「君は天然色」がキラキラと響き渡るのである。

主人公を演じるのんの迫力の演技もさることながら、片桐はいりや臼田あさ美など、脇を固める俳優も一癖あるキャラクターで良かった。
特に臼田あさ美演じる先輩は、物語が重くなり過ぎないよう、絶妙な笑いを挟み込んでくれて癒された。
そして余談ではあるが、私は片桐さんも結構好きである。
エッセイを読んだり、一度「片桐はいりの出張もぎりショウ」というのに行ったことがあり、お話を聞いたことがある。よく喋る人だったなぁ。
そして肝心の中村倫也演じるAであるが、なかなか衝撃的な最期を迎えるので、全国の中村倫也ファンは爆笑 or 絶句だったのではないだろうか。
なぜこうなってしまったのか、今となっても謎である。

せっかくなので「君は天然色」もどうぞ。


アダム・ドライバー 「ザ・レポート」2019年/アメリカ/ダニエル・J・ジョーンズ/119分

さて、この流れからの突然変異、最後はアダム・ドライバーである。

好きな俳優といえば、殆どが日本で活躍する俳優で、洋画を多く観るわりに海外で活躍する俳優でこの人!というのが少ない。
洋画は内容重視で観ることが多く、さらに顔と名前が一致しないことが多いからである。
私が顔を見て名前が言えるのは、パッと言える範囲でティモシー・シャラメ、ライアン・ゴズリング、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ジョゼフ・ゴードン・レヴィットぐらいなのではないかと思う。いかんせん偏っている。
そんな中、抜きん出て好きなのが、このアダム・ドライバーという俳優である。

一番初めに彼のことを知ったのは、「パターソン」という映画だ。
もともとジム・ジャームッシュ監督の映画が大好きで、新作が出るというので観に行ったこの映画。
そこで主人公パターソンを演じていたのが、このアダム・ドライバーである。
海外の俳優さんらしからぬモフモフした喋り方、ガタイの良い高身長、照れるように笑う感じ、イケメンとは形容し難い個性的な顔がとても魅力的で、なんだか良いなぁ〜と気になる存在として記憶に残った。

アダム・ドライバーと言っても通じないことも多いが、STAR WARSのカイロ・レンと言えば通じる人も多いかもしれない。
(と言いつつ、わりとSTAR WARS観ていないと言われることも多いのだが…)
昨年、映画館で初めに見た映画STAR WARSだった。
そして、このSTAR WARSもまさに俳優目当て、アダム・ドライバーを見るために観始めた映画である。
もともと作品のファンであったわけでないので、STAR WARS好きにこれまでの流れを教えてもらったり、Wikipediaでおさらいしながら鑑賞。
アダム・ドライバーが観たいという下心の方が勝っているのでSTAR WARSについては内容には触れないのだが、一つ言えることは「スカイウォーカーの夜明け」に関してはアダム・ドライバーのラストシーンを見るためだけに2回観に行った。

また、昨年のアカデミー賞にて「マリッジ・ストーリー」で主演男優賞にノミネートされていたアダム・ドライバー。
父親、そして夫という役で様々な表情が見れて私得で最高であった。
しかし、映画として良かったと思うのは「ザ・レポート」という映画である。
この映画、日本では劇場公開されないまま2019年からAmazonで配信されている。

アダム・ドライバー演じる上院の職員(議員ではない)ダン・ジョーンズが、「9.11後のテロ調査の際、CIAが拷問を行っていたか」という調査を行うという、実話をベースにしたゴリゴリの社会派映画。
この調査というのが当たり前ですが世界最強の情報機関CIA相手にサクッとできるわけではなく、窓もない、鉛でできた壁に囲われた部屋の中で、5年の歳月を費やし、メールや報告書など約630万ページにも及ぶ文書を調査することとなる。
主に調査の軸となったのは、CIAがテロに関わりがあると思われ逮捕された囚人に行なったとされる「強化尋問プログラム(EIT)」という存在である。
膨大な資料の中に残されたその記録は、囚人を裸にさせ手足を拘束、強い光を当てられたり、爆音で音楽が鳴る部屋に監禁、そして、濡れたタオルで覆った顔に水をかけ続けるといった内容であった。
そしてこれは、“強化”された“尋問”に過ぎず、囚人が“耐え難き”苦痛ではないので、“拷問”ではないと、長らく続けられていることが判明する。
「米国内にいる工作員の名前」「次のテロの標的となるのはどこか」を聞き出すためだけに。
調査自体は数々の妨害、仲間の離脱、上院からの冷たい対応など、何年も果てが見えない過酷な状況に置かれたが、ダンは真摯に調査を進めていく。そして、ダンは6000ページを超える報告書を作り上げるが…といった内容である。

このような事情に疎いため、情報量が多くて理解するのが大変なのだが、この映画、ラストまでむちゃくちゃ骨太で、見応えも満点で素晴らしかった。
主演のアダム・ドライバーも、パターソンのぶっきら棒の感じでも、カイロ・レンの怒りの傍若無人でもない、内で燃える魂のようなものが見える熱っぽい感じがとても良かった。
アダム・ドライバーの何が良いって、言葉にしにくいのだが、やはり表情や行動の機微といったところだろうか。
基本的には仏頂面でドンと構えて無骨な感じなのだが、端々に見えるコミカルさや、言葉に出さない悲しみや怒りを伝える能力がすごい。

てな感じで、真面目に書いてみたものの、この映画で私が好きだったのは、ランニング途中に調査機関に関わるきっかけになった議員と再開したところ。
ずっと仕事中のシーンなので、髪もしっかりセットしてスーツ姿なのも良いのだが、セットしてない黒髪がふぁさふぁさしてる感じが個人的には好きでしたね。
突然ファンの知能レベル0意見になってしまうのだが、アダム・ドライバーは、もはやもう存在しているだけで良い。喋り方も良い。歩き方も良いのである。

普通にむちゃくちゃ面白いから観て欲しい。
そして実際のニュース(←ネタバレ)も残っているので、比べてみるのもありかなと思う。

アダム・ドライバー、次作はグッチの映画で殺されるのか…。しかもレディ・ガガの夫か…。
推しが死ぬ映画、やだなぁ〜。観るけど。


さて、長くなってしまいましたがこの辺で。
宮沢氷魚の「his」についても記録しておきたいのだが、これは次回のまとめに入れようかと思います。

気づけば3度目の緊急事態宣言が発令され、休業・時短営業が相変わらず続いている。
近所の映画館は今のところレイトショーまでしっかりやってくれているが、今後 またどうなるかわからない。
映画、これ以上公開延期にならないで欲しいというのが切実な願いである。

それでは、また。

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