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堂々そして「1」と「3」

1000日超え

 中曾根康弘(1806日)、小泉純一郎(1980日)、安倍晋三(2822日*)の3名の総理は、なぜ1000日を超える、いわゆる長期政権をなしえたのか?
 (* 安倍元総理は、第2次政権以降の日数。第1次政権の366日は含まず)
 戦後、連続して1000日を超えた総理は、この3名の他には吉田茂、岸信介、池田勇人、佐藤栄作しかいない。ロスジェネ世代含め記憶に残っているであろう長期政権をなしえた3名にフォーカスを当ててみます。
 ここでは、実際の政権としての実績ではなく、長期政権をできた要因の自分なりの考察であることを予めご了承ください。

要因は様々であるが

 確かに、政敵の動向、景気の動向、国民の支持率があった等々いろんな要因があっての結果であろうが、まず総理大臣として最重要な事項は国民の支持、それを明確に表しているのは、「選挙」

選挙に強く、勝ち続けた

 ここは、政敵も何も言えない要因になる。多くの方もそうだなと理解されるのではないか。中曾根康弘総理時代も衆参同日選挙に打って出て、圧倒的な勝利を収めた、小泉純一郎総理時代も郵政選挙で圧倒的な勝利、安倍晋三総理も、在任中の選挙は勝ち続けた、いわば、この結果は国民の支持があったからということとなり、政権の推進力になる。

「1」フレーズと「3」

 自分は、この3名に共通しているのはコミュニケーション能力が優れていたことではないかと思う。特に、自身が取り組みたい事や時世を捉えての課題を、見事なまでにワーディングとして発し、記憶を残し波及させること、具体性を示すことだと思う。やり方は、個性あるものの底流に流れることとしてのコミュ力の高さ、自分の言葉として発する力強さは抜きん出ていたと思う。

 中曾根康弘:「戦後政治の総決算」を掲げ、国鉄・電電公社・専売公社の”3”公社の民営化を実施。
 小泉純一郎:「聖域なき構造改革」を掲げ、郵政、道路公団の民営化、国と地方の関係を見直す「”三”位一体の改革」を実施。
 安倍晋三:「アベノミクス」を掲げ、”3”本の矢として「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を推進

共通しているのは、代表的な1フレーズに自身の姿勢と取り組むべき事項を凝縮したワードを用いて、そのワードに紐づく代表的な政策を「3」つ、ないしは「3」に関わる内容でまとめて訴求していたこと。端的明瞭で3つまでにポイントをまとめ具体的にイメージしやすくすることで、コミュニケーションを図っていたのかなと思う。

余談であるが、橋本龍太郎総理は、”6”大改革として、行政改革、財政改革、社会保障改革、金融システム改革、経済構造改革、教育改革の方針を掲げていた。どれも重要な事項であるけど、あったかもしれないがやりたいことを凝縮した「明快な1フレーズ」の記憶がない。加えて、6つも改革を掲げていては、パッと印象と記憶には残りにくい多さであったと思う。仮に、明快な1フレーズと、6大改革の中で最優先事項を3つにしてメッセージを発して進めていたら、932日の政権の期間ものびて1000日も超えていたかもしれない。

竹下登総理も、”3”%の消費税導入や「ふるさと創生」と1フレーズと3にまつわることがあったものの、「言語明瞭意味不明」と言われるわかりにくさが1000日を超えられない一つの要因だったかもしれない。(いろいろスキャンダルがあったことが主たる要因だとは思うが)

こうしたわかりやすいメッセージと訴求力は、コミュニケーションの重要な要素であり、ビジネスの世界でも通じるなと思います。ビジネスの世界でも、トップがわかりにくい話と沢山の事項を並べたりしていたら…翌日には覚えていないのではないでしょうか。そりゃ伝わりませんよね。

堂々とした役者

 もう一つの要素として、堂々としていたことも共通しているように思う。威張ってるのではなく、どっしりとした風格を醸し出し、諸外国の要人相手にも物怖じしない落ち着きと関係性を築き上げる力。

 中曾根康弘:レーガン大統領との関係。そして、ウィリアムバーグサミットでの写真撮影で真ん中に座る。座っても背格好も引けをとらないだけでなく、堂々していたので、自然とおさまっていた。
 小泉純一郎:ブッシュ大統領との関係。たまに動画であがっている過去の映像を見ると、小泉純一郎総理のお茶目な対応は、ブッシュ大統領と若い頃からじゃれあっていたのか、竹馬の友かと思うくらい。
 北朝鮮訪問時の退路を断って臨み、毅然とした態度は、堂々とを超えた姿であったとして明確に脳裏に焼き付いている。
 安倍晋三:トランプ大統領との関係。トランプ大統領が安倍晋三総理を頼りにしていることが、映像からも感じ取れるくらいの信頼関係。外交でも隅にいるのではなく、中心にいて周りを巻き込んでいる雰囲気が伝わってきていた。

 こうした「堂々」とした姿勢は、安心感を与える重要な要素であり、長期政権構築の要因であるかなと思う。ビジネスの世界でも、トップがなんか弱々しく、卑屈な雰囲気だしていたら、なんか心細いというかヤバいなと思ってしまいますよね。

 こうしてみると、コミュニケーションにまつわるメッセージの工夫と堂々とした態度というのが重要なのだなと思ってしまいますし、学び取る要素多いなと感じています。


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