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ピアノをお肉で例えると…!?【尾崎有飛さんインタビューVol.1】

本日は、前回の平井千絵さんに続き、5/3『時代を巡る3種の鍵盤』にてモダンピアノを演奏する、本学講師である尾崎有飛先生のインタビューをお届けします!
第1弾では、今回の企画について、そして今回使用するイタリアの最高級ピアノ「ファツィオリ」についてお話ししていただきました。

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―尾崎先生、本日はどうぞよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

―ではさっそく最初の質問に移ります。まず、ピアノを始めたきっかけは?

家に親のアップライトピアノがあったからですね。母親のもので、弾いていたというほどではないですけど、ほとんど置物として置いてあったんです。
大体アップライトピアノって家庭だとカバーがかかっているじゃないですか。そうすると、そこがかくれんぼするのにいい場所だったんですよね。(笑)

―確かにそうですね。(笑)身近にあったものだったということですね。
 初めてピアノを弾いたのは何歳ぐらいでしたか?

5歳から習っていたらしいですね。自分では覚えていないのですが。

―幼稚園生の時ぐらいから始められていたということですね。
今回の公演の企画内容を聞いて、オファーを受けた時の率直な感想を教えてください。

素直に嬉しかったです。
チェンバロとかフォルテピアノって、僕はドイツの大学にいたこともあって一応必修授業で弾いたことはあるんです。履修としては1年ぐらいですけど、その科目の試験では、地域の方たちが聴きに来るような学内のコンサートで、お客さんの前でチェンバロやフォルテピアノで1曲ずつ弾きました。先生が良かったということも相まって、チェンバロもフォルテピアノも興味があって好きなんですよ。

そういう古い時代の楽器と現代のピアノがひとつのコンサートで並んだ時にどう聴こえるかっていうのは、僕もまだ未体験で、そこに加われるのはすごく嬉しかったです。

―こちらとしても、尾崎先生に出演していただけてとても嬉しいです。
次に、プログラム第4部のモダンピアノの演奏曲の中で特に注目してほしい曲や思い入れのある曲はありますか。

(少し考えてから)どれも好きな曲ですね。
やっぱり30年ピアノをやってきて、いろんな年代を経て好きな曲って変わっていくじゃないですか。小学生の頃は『英雄のポロネーズ』を弾きたかったし、美しさと複雑さをあわせ持った『月の光』のような曲を弾きたい時期もあったし。
それぞれの年代で弾きたい曲っていうのは変化してきたから難しいんですけど、ラヴェルはここ最近とくに好きでよくプログラムに入れているので、想い入れはあります。

―ありがとうございます。では次の質問ですが、【ファツィオリ】が新しく昭和音楽大学に導入されると聞いた時の率直な感想と、ファツィオリというピアノについての説明を教えてください。

…そうですね。それがどう答えようか少し迷いました。というのは、この新しいピアノにはあんまりこう、先入観なく、お客さんがそれぞれ聴いて感じてほしいっていうのがあるので、あんまり僕が事細かに説明するのはどうかなって迷いました。
でも一応お話しするので、よろしければ使ってください。

―わかりました!(笑)(ありがたく使わせていただきます!)

僕がファツィオリを初めて弾いたのは2008年、だからもう16年前ですが、オランダのリストコンクールの時です。そのピアノ選びの時の選択肢がスタインウェイとファツィオリで、それが初めてです。でもその時ファツィオリは選ばなかったんですけど。(笑) その時は僕もまだ10代だったので、ファツィオリという楽器そのものがどうかっていうよりは、より弾き慣れているスタインウェイで、という思いで選びました。

それから実は日本で1回だけ本番で弾いたことがあります。サロンだったのでそのときのファツィオリはコンサートグランドじゃなくて一回り小さいもので、その時はとても弾きやすい印象がありましたね。ものすごく大きい楽器と、サロン用の大きさの楽器では弾き心地が全然違います。その2回だけですね、ファツィオリに接触したのは。

それで、この学校にファツィオリが入るって聞いた時も嬉しかったですよね。素直に(笑)それはどちらかと言えば教員の立場として、自分自身がその楽器で演奏会をするかどうかっていう考え方よりは、学生が活用、利用、触る機会がこれからできるんだっていう意味で嬉しかったんですよね。なかなかあちこちで触れる楽器ではないですから。

―なるほど!

それと楽器がどうか、ですよね。この間試し弾きに行ったんです。この例えが分かりやすいかどうか分からないんですが…和牛のしゃぶしゃぶを食べた時の満足感っていうのと、分厚いステーキを食べた時のその満足感っていうのは違うじゃないですか。
個人的にはファツィオリってどっちかと言うと、その分厚い肉を食べて「肉」を食べてるいんだっていう、そういう満足感かな。

―面白い解釈ですね…!

もう少し音楽的な言い方をすると、スタインウェイの方がどっちかって言えば弾き手の繊細な表現っていうか表情を楽しめるかもしれない。だけどファツィオリのほうがピアノっていう楽器そのものの音が、ちゃんと伝わる。

―すごく分かりやすいです。

高級なお店で食べると、このお店ってこうやって食べさせるんだっていう感動があるけど、そうではなくて「肉」を食べたいんだっていう気分の時もあるじゃないですか。
だからそういう意味であれば、今回の弾き比べをするにあたっては、ファツィオリは特によいと思うんですよね。現代ピアノの音ってこうなんだなっていうのが一番わかりやすいんじゃないかな。
聴き比べた時に、例えばフォルテピアノとスタンウェイで聴き比べをするのと、フォルテピアノとファツィオリで聴き比べをするのは全然違う。その差はむしろ広がるんじゃないかと思いますね。

―なんだかスタインウェイとファツィオリの弾き比べも聴いてみたくなりました。(笑)私たちも実際にファツィオリを聴くのが待ち遠しいです!

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次回、第2弾では尾崎先生の留学時代についてのお話をお届けします!
海外での生活や印象的だったコンサートなど、面白いお話が盛りだくさんなのでぜひご覧ください!


〈公演概要〉

「時代を巡る3種の鍵盤~あなたの知らない変遷がここに~」
2024年5月3日(金・祝)
開場 15:30 開演16:00
会場 昭和音楽大学 南校舎5階 ユリホール

〈チケット〉
一般:3,000円 ゆりフレンズ:2,700円 学生:1,500円
チケット購入先:https://www.tosei-showa-music.ac.jp/concert/ticket.html

〈自主企画公式HP〉


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