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演奏家のプライベートって…?【出演者インタビューVol.3】フォルテピアノ奏者 平井千絵さん

本日は『時代を巡る3種の鍵盤』にご出演いただくフォルテピアノ奏者の平井千絵さんへのインタビュー第3弾をお届けします! 


―公演のことをたっぷりお聞きしたので、ここからは少し離れたプライベートなことについても聞かせていただきます。では早速1つ目の質問になりますが、最近平井さんが感動した芸術作品、あるいはコンサートはありますか?

…最近ではないのですが、ちょうど1年くらい前でしょうか。フランスのピアニストであるアンヌ・ケフェレックさんが日本にいらして、埼玉でのリサイタルを聴いたのですが、素晴らしかったです。気品があって、ひとつ芯があるような…。演奏解釈も、彼女自身が磨きあげた考えがあって。それがね、排他的でなく温かいんですよね。本当に感激しました。

―それはすごいですね。

あとはそうですね、アマチュアの演劇を観る機会が立て続けにありました。去年の秋から冬にかけてなんですけれど、あれは全て良かったですね。ミュージカルも観ました。音楽よりも演劇を観ることが多い1年でした。

―演劇についてとても共感します。私も色んな種類の舞台芸術を観に行くんですが、音楽はもちろん色んなものが伝わってくるし、言葉が無いからこそ伝わってくるものもあると思うんですけど。でもやはり演劇はとてもダイレクトだし、言葉で伝えてくるし、その熱だったりが伝わってきますよね。私が昔観た作品で覚えているのは、その舞台の出演者の方が熱が入りすぎてしまった結果、最後のシーンで鼻血を出しながらも演技をしてるっていう。客席は100人規模くらいの劇場で、私は舞台の真正面の席に座っていました。でもそれくらい熱を込めてるっていうのは演劇だからこそなのかなって思いました。

生の舞台というのは本当に魂の中の魂という感じがありますよね。

―分かります。(笑)

言葉のシャワーみたいな、そういうのが垣根無しに来る感じが面白いですね。先程のアンヌ・ケフェレックさんの公演も、彼女とはもちろんお話ししたことは無いし、演奏を聴いた際も舞台から遠めの席だったんですけど、でも彼女の話を聴いた気になりました。「すごく素敵な話を聴かせてもらえたな」みたいな。そういう気になりとても不思議でしたし、「こういう音楽がしたいな」と思いました。

―なるほど、ありがとうございます。ちなみに、平井さんが公演に足を運ぶ際にその公演を選ぶきっかけを教えていただけますか?

音楽の場合は、演奏曲目で決めることが多いですね。こういう曲を弾いてくださる方だったら素敵に違いないというような。曲のチョイスで、今、その方が思っていることが伝わってくるような気がします。あとは前に聴いて素敵だったからもう一回聴きたいときとか。音楽以外であれば、単純にテーマに惹かれたら行きます。観てみたいな、経験してみたいなと思ったら。あとは「これは今経験しないとダメかも」と心が動けば、観に行こうと思います。

―平井さんがこれまでコンサートで行った土地の中で、印象に残っている場所はありますか?

日本だと、新潟です。

―あら!(笑)(企画者である澤田の出身地であり担当教員のゆかりのある土地であったため大盛り上がり)

私、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館で二回公演をしていますが、それが本当に忘れられなくて。音響が素晴らしかったし、あとは当時まだ若かったんですけど、こちらが緊張しないようにリハーサルから本番まですごくスムーズに、フレンドリーに運んでくださって。本当に忘れられないですね。それだけの理由で、また新潟に行きたいと思うくらい。(笑)

 コンサートホール、劇場、能楽堂を備えた、緑と音楽溢れる新潟市民の憩いの場 【写真提供】りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
360°ぐるっと囲む、交響楽に最も適した約1,900席のコンサートホール 【写真提供】りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館

―それは先生もガッツポーズしていると思います。(笑)

もちろん、先生が昭和音大にいらっしゃらなくても「新潟です」って言いますよ。
(笑)あとは海外ですと北フランスに行った時が楽しかったですね。酪農で有名なんですよね、ブルターニュ地方っていう、牛さんがいっぱいいて。モン・サン=ミッシェルとか。オペラ公演の「フィガロの結婚」で一か月くらいフォルテピアノをずっと弾いていたんですけど、楽しかったです。

―印象に残ったという新潟と北フランスですが、観光として印象に残ったことはありますか?

ありました。でも新潟は観光する時間はありませんでしたね…。それに公演日が大雪になてしまい「早く帰った方がいい!」みたいな感じで世話しなくホールを後にしました。
楽器を乗せた車は、雪の影響で一泊の予定が二泊することになりました。

―それは大変でしたね。

またフランスでは、すごくガレットが美味しかったです。(笑)

―そうなんですね(笑)

塩バターが美味しかった。あとはオペラ公演だったのでリハーサルとリハーサルの間が長いんですけど、昼休みには海で泳いでいました。朝にリハーサルをして、外でごはんを食べて、泳いで、シャワー入って、昼以降のリハーサル。

―すごく充実したスケジュールですね。とても楽しそうです!

楽しかったですね。そんな一か月もありましたね!

―では最後の質問になります。今回、公演のタイトルに「時代が巡る」とありますが、平井さんが昔から愛用していたり大切にしたりしているものはありますか?

私の祖母が洋服を作る人でした。その祖母が使用していた洋裁用の大きい裁ちばさみがあって、それは今でも使っています。一番古くて愛用しているものといったらそれくらいですかね。あとは小さい頃に習っていたピアノの先生から、発表会でペンダントをいただいたんです。小さいペンダントですが、それは今でも大切にしています。

―そうなんですね。裁ちばさみとペンダント。

ピアノの先生からいただいたものは、すごく自分にとっては大事で。色んな理由で先生が変わっていますが、それぞれの先生からいただいたものは大人になった今でもとってありますね。

―人から頂いたものって捨てられないですよね。しかも想いがこもっているからエネルギーが入っている気もします。身に着けられるものだったら身に着けて本番の日に臨んだりも出来ますし。私もリスペクトする先生から「よかったらネクタイあげるよ」といただいて。大切な日に使用しています。

良いですね。私の小さいネックレスは子供用の小さいものなので着けることはできませんが、でも大切にしまってあります。娘にもあげてないです。(笑)

(幼稚園の頃習っていた、由美先生からいただいた小物入れ)

―今日は演奏のことからプライベートなことのお話いただき、本当にありがとうございます。では最後になりますが、改めてコンサートへの意気込みやお客様へのメッセージをお願いいたします。

3種の鍵盤楽器が聴ける機会はなかなか無いですし、山下実季奈さん、尾崎有飛さんという素晴らしい方々とご一緒できることが私にとってはとても有難く、楽しみです。3種の鍵盤楽器が集まり、3人の異なる奏者「三者三様」という形でお客様にも楽しんでいただけたら嬉しいです。

―私たちも、よりよい公演になるように学生一同頑張ります。平井さん、貴重なお時間をありがとうございました。



私たち自身も初めてのインタビューで、とても緊張しましたが、平井さんの優しいお人柄に緊張もほぐれ、和やかな中、貴重なお話を伺うことができました。
皆様、平井さんのフォルテピアノをぜひじっくりとお聴きください!!

〈公演概要〉
「時代を巡る3種の鍵盤~あなたの知らない変遷がここに~」
2024年5月3日(金・祝)
開場 15:30 開演16:00
会場 昭和音楽大学 南校舎5階 ユリホール

〈チケット〉
一般:3,000円 ゆりフレンズ:2,700円 学生:1,500円
チケット購入先:https://www.tosei-showa-music.ac.jp/concert/ticket.html

〈自主企画公式HP〉
https://sites.google.com/view/artmanagement-hp?usp=sharing

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