読了「破局」
遠野遥さんの「破局」を読んだので、今回はその感想を書きたいと思います。多少、ネタバレするところがありますので、未読の方は読まない方がいいかもしれません。
ご存知とは思いますが、第163回芥川賞の受賞作です。
この作品を読めば読むほど、男の惨めさ、女の強さが際立ってきます。
公務員試験に臨み、高校ラグビーの指導に当たっている傍ら、自由な恋愛を謳歌しているという一見してリア充な主人公。
しかし、別れた女性への未練を完全には断ち切れず、付き合っている女性がいながら関係を結んでしまいます。
その後は……読んでみてください。
それにしても、修羅場ともいえる過程や状況を、ここまで克明に描いて、いいのかと鳥肌が立ちました。
最終盤に、主人公がいろんなことに苛立ちながら、ラグビーからも、今の彼女からもついていけずに、坂を転がるように転落していく様子は前作の「改良」のエンディングと共通するものがあるように思います。
そして、最悪の状況に陥ってから、ほぼやけくそみたいに光を見出すあたりも似ていると思いました。
やはり、芥川賞を受賞する作品だけあって、リアルに迫るものがあるように感じました。
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