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のめり込んで傷ついて

昨年までアイドルのファンクラブに入会していた。
テレビ出演情報もチェックしていたし、
ラジオも欠かさず聞いて癒されていた。

情報量が多すぎて、ついていけないわ~と思いながら、
ラジオから流れてくる新曲は、とても良い曲。
CDも初回盤・通常盤を予約して、予約特典をもらわなきゃと必死。

Twitterで同じファンの人をフォロー。共感できて楽しかった。
10年ほど前に舞台関係の人を追っかけしてた頃に
SNSで嫌な思いをしたので、
アイドルのファンとは交流しなかったけど、見ているだけで幸せだった。

ある日、好きなアイドルの名前を検索したときに、出てきた謎のツイート。
「〇〇くん、やっぱり彼女いるんだ~」
えっ!文春砲にでも撃たれたか!
慌てて検索するも、そのような情報は見当たらない。
つぶやいた人は、彼の何なんだろう?
その一言だけが気になって、数日間寝込むようになった。

そうだよ、彼だって健全な若い男子。
彼女がいたっておかしくないじゃないか…。
アロマ・アセクに近しい私には
恋愛をしない状態が通常なのだが、
一般的には恋愛をしたい(してしまう)ものなのだろうし。

リアコしていたわけではない。
彼は私より10歳年下で、直接関わる機会もない。
彼みたいな男性が現実にいたら、結婚したいよな~と
テレビやラジオから伝わる彼の人間性に好意を持っていた。
でもそれは、表面的というか、仕事上の彼の姿が見えているだけであって、
本当はどうかわからない。

あれから少しずつ距離をとっていった。


先ほども少し触れたが
舞台関係の人を追いかけていたことがあった。
彼のために、仕事も頑張れたし、
彼の舞台を見ることで、”非日常”を感じられて楽しかった。

SNSで応援メッセージを送ると、たま~に返事が来た。
短い言葉でも、わざわざ返事をしてくれることが嬉しかった。
バレンタインには、ドキドキしながら、チョコを受付の人に渡して、
まるで思春期みたいだな、と盛り上がっていた。

あの頃SNSで知り合った、いわゆる”同担”の人とは、気が合わなかった。
誰よりも彼の舞台を見ていたかったので、
自分が見ていない回の話を、楽し気にされると気に障った。
「彼が通路にいて、握手してくれたよ!」、
「喫煙ルームでたまたま会って、数分話した!」と
自慢されたときは、はらわたが煮えくり返った。

今思えば、すごく執着していたと思う。
誰よりも彼を見ていたかった。
誰よりも彼のファン、支えでいたかった。


あの執着気質が、まだ今でも残っていたのか。
アイドルを好きになって、CDやDVDはすべて集め、
テレビやラジオも逃さないようにしていた。
でも、うっすら熱愛の噂が入ってくるだけで、
自分の中心軸のようなものが揺さぶられ、ボロボロになってしまう。

適度な距離感は、難しい。
でも、のめり込めるだけ、のめり込むのも良いと思う。

10年前のことは、自分の中では黒歴史になっていたけど、
ようやく「あの頃の私、頑張っていたな。楽しかったな」と思えるようになってきた。


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