見出し画像

これは、見た目はともかく、栄養的にはなかなか優れた「料理」なんだそうです。

「ニュートラローフ(Nutraloaf)」というのは、「Nutrition:栄養」と肉料理の「Meat Loaf:ミートローフ」を掛け合わせた造語のようなものですが、さまざまな別名があります。

ミールローフ (Meal Loaf)、ディサプリナリーローフ (Disciplinary Loaf)、フードローフ (Food Loaf)、コンファインメントローフ (Confinement Loaf)、セグローフ (Seg Loaf)、グルー (Grue)、特別管理食 (Special Management Meal)、そして、ロックアップローフ (Lockup Loaf)、プリズンローフ (Prison Loaf)。その別名(特に最後のほう)からもおおよそ察しがつくと思いますが、いわゆる「刑務所メシ」ですね。

ちなみに日本の刑務所メシはこんな感じ。
ごはんは麦飯なので、色み的には何ですが、よく言われる「くさいめし」というほど、まずそうではないですね。

画像1

アメリカの刑務所で懲罰食として提供されています。

この「ニュートラローフ」は、アメリカや、かつてのカナダの刑務所で供された料理ですが、刑務官や他の囚人に対する暴行など、不正行為を行った受刑者に対する「懲罰」として供されたものでもあります。言うなれば「罰食」。受刑者を健康に保つのに十分な栄養を提供することのできる完全食に近いものだそうですが、お味のほうは相当にやばいもののようです。家でも簡単に作れそうですので、そのうち作って、感想でも投稿したいと思います。

多様な材料から作られる、といえば聞こえはいいですが…。

一見したところ四角いハンバーグのように見えます。食感はミートローフに似ていなくもないそうですが、多様な材料から作られる点が異なっています。

その材料は、野菜、果物、肉、パン、穀類など実にさまざまで、数多くのレシピがあるそうです。これらの材料は、すべてが混ぜ合わされ、ひとかたまりのパン状に焼き固められます。
使用材料は、各州によって異なり、例えばイリノイ州の刑務所で出されるニュートラローフには、ほうれん草と人参、豆にアップルソース、トマトペーストとポテトフレーク、パン粉とガーリックパウダーが使われているのだそうです。

まぁ、材料を聞いただけでは、それほどまずい食べ物に変身するとは思えないのですが、「罰食」というだけのことはあるお味という話です。

ニュートラローフを巡っては、裁判にも発展しました。

ニュートラローフは、アメリカの多くの刑務所で見られるものですが、その使用については多くの議論があります。

「こんな物を食べさせられるのは、残酷で異常な罰則だ」ということで、受刑者側から訴訟も起こされています(そんなにまずいんですねぇ)。こうしたニュートラローフに関する訴訟は、イリノイ州、メリーランド州、ネブラスカ州、ニューヨーク州、ペンシルベニア州、ワシントン州、ウェストバージニア州などの州で行われています。

2008年3月、受刑者たちはバーモント州の最高裁判所に訴訟を起こし、バーモント州法では食品を罰として使用することが許されていないため、ニュートラローフをメニューから削除すべきだと主張しました。
バーモント州最高裁判所は、「ニュートラローフと水という食事は、あえて食欲をそそらないように設計されており、懲罰行為に相当する」と結論づけました 。

2010年4月、アリゾナ州マリコパ郡の保安官は、ニュートラローフの合憲性を支持する連邦判決を勝ち取りました。

2015年12月、ニューヨーク州は「州内のすべての刑務所で、ニュートラローフの提供を中止する」ことを決定しました 。

後に、ワシントン州西地区連邦地方裁判所は、「それは残酷な仕打ちでも珍しいことでもないが、ニュートラローフを食べさせられることは懲罰であり、受刑者はそれを受ける前に正当なプロセスによる聴聞を受ける権利がある」と裁定しました。

この食べ物といい、訴訟といい、なんかこういう話を聞くと「アメリカだなぁ」とは思っちゃいますねぇ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?