見出し画像

【イントレプレナー】求められる報告資料のソレジャナイ感

これは特に新設部署の新規事業の現場、イントレプレナーによくある気がしますが、四半期や半期に、実績報告と活動予定をパワポ1枚にまとめて提出しなさい、という指示を受けることがあります。


というか絶対あります。


それ自体は別に悪いことではないですが、何を報告させるのか、四半期に一度というタイミングで何が知りたいのか、ということを分かっていて指示を出しているわけではないことに問題があります。

PMF達成していたり間近の事業であれば、追っているKPIもハッキリしているし、ROI的な視点で報告を求められても、事業進捗の実態と相違が生まれることは少ないですが、それ以前のステージの事業の場合は気をつけなければなりません。


事業オーナー側は、顧客数や案件規模、事業を通して顧客側に提出するアウトプットの質を高めるということに執着している訳ではなく、仮説検証の結果を重視しています。


例えば、アーリーアダプターに対しての訴求軸となるトリガーはAだけど、レイトマジョリティーとなる人に対してはBというトリガーが効きそうだという仮説に対して、そのトリガーは正しいのか?といった洞察。

また、Xという状態の顧客に対して、Cというトリガーを引くとYという変化を促すことが出来る。そしてそれは再現可能である。といった仮説に対しての洞察やFact。

これらをかき集めることで市場動向変化の兆しや事業仮説の確度が上がっていくのが一般的ですが、普段新規事業のマネジメントをしていない役員や上長は、「そんな細かい話は眠くなるし興味ないから、数字出して。顧客名教えて」となりがちです。

なぜなら、基本的には既存事業の評価やマネジメントを案件規模と顧客名、顧客数などで判断することが多く、価値創造における仮説検証の重要性が抜けがちだからです。


百歩譲って報告を求めるだけで、それ以上興味を示さず、口も出さないのであればまだ、良心的で理解があります。

部門の責任者であれば、選択と集中においてどのリソースをどこにどれだけ割り当てるべきか、という判断材料は常に必要となりますが、それでもコミュニケーションがしっかり取れていない場合、資料作成のほとんどの時間が無駄になることは多いと感じます。

ひどい例でありがちなのは「どうしてこっちの顧客に対して営業しないんだ」とか「顧客数が足りないから次までに何社契約しろ」とか「3ヶ月先に予定しているスケジュールを前倒ししろ」なんて指示を出してしまった日には、どんなにいいアイディアでも事業を殺しかねないセリフであることを自覚しなければなりません。

なぜいまそのセグメントの顧客に対してアプローチしていて、それ以外にはしていないのかなんて、明確な理由があります。そもそもそれすらわかっていない段階は、ただのインプット不足に過ぎません。


数字だけを追うことを目標にするのはナンセンスですし、事業の初期段階は1スプリントの仮説検証で得られる学びや次に立てる仮説も頻繁に変わります。

3ヶ月先の予定を見通せるのは結果的な"まぐれ"か予言者だけであって、仮にその期間、予定調和な進捗をしているなと思ったら全く学びが得られておらず、バイアスの罠にかかっている可能性が非常に高いです。


本来、事業立ち上げに向かうフェーズに断片的な情報だけで何かを判断しようとするのは無用な誤解を生み、事業進捗のボトルネックになりかねないだけなので、時間を割くべきとは思えないです。

ただ、そこはイントレプレナー。さらに部門長や役員の立場を理解するならば、仮に報告を求められた時は何が知りたいのかということと、今何を知っておくべきなのかをあらかじめすりあわせた状態で、意見は聞いても指示をされる環境にはしないことが、事業オーナーがやるべきアクションだと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?