マガジンのカバー画像

ショートショート

7
運営しているクリエイター

#創作

ふりかえるとよみがえる

ふりかえるとよみがえる

僕は友達が飼っていたカエルをこっそり逃した。
友達は怒って僕に飛びつき、大喧嘩になった。
でも、悪いのはあのカエルに針を刺していじめてたアイツの方だ。
仲直り出来ず、僕は喧嘩のことを頭の中でぐるぐる考えながら家に帰る。

ゲコッ

足に変な感触がした。
足を上げてみると潰れたあのカエルがいた。

「やっちまった…」

視線を感じ後ろを振り返るとそのカエルがじーっとこっちを見ている。

ゲコッ

もっとみる
正しさの味方

正しさの味方

今にも飲み込まれてしまいそうな暗闇の中、ぼんやりと薄ら明るい街灯が立っている。
等間隔に立てられたその街灯の中には、今にも消えそうに点滅しているモノもあり、不気味さを増している。

そんな場所に似つかわしくない10代くらいの少女が街灯の灯りを頼りに歩いていた。
少女は自身と同じくらいのサイズをしたバックパックを背負い暗い夜道を街灯を頼りに進む。
恐怖をグッと堪えるその表情は眉間にしわをよせ歯を食い

もっとみる
カミングアウトコンビニ

カミングアウトコンビニ

「かかかか金をだせ!ごゅ、強盗だ!」

黒のパーカーに黒のズボンを履いた30代の男はコンビニに入るとパーカーに隠した銃を見せびらかし大声で叫び出した。

レジ前には数人の客とアルバイトのレジ係だけ。強盗の充血した目はアルバイトのレジ係に向けられる。

「おい、レジだろ!?お前ぇ!そこの金をぉ全部だせやがれ!お前らも妙な事したら…うう打つからなァ!」

「…う、うぁあああ!すみませぇぇえん!」

もっとみる

涙鉛筆(毎週ショートショート作品)

最近では仕事も出会いも芸術も、なんでもかんでもデジタル化だ。

カミさえ居れば、現実に出てくる事もできる。

最近知ったが、自分がデジタル化されたものが普及しているようで、この世の中にはもう自分しか居ないようだ。

独りぼっちになっても、自分のできる事はその身を削る事でしか力を発揮しない。

ただ削られ消えていくのを待つだけが僕の人生だ。

抗えない運命と孤独感の波にさらわれてしまう前に、いっその

もっとみる