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東京と地方は対立ではなく、一蓮托生の構造。経済と財政によるもたれ合い。【2】

前回から続きになります。

いつの時代からでしょうかね。

東京vs地方といったような非常に歪んだ対立構造を国内で作り出してしまうようになったのは。いつの日からか東京はずるいといったような話になり、財政的な移転をもって均衡化を図ることになったわけです。

地方公務員などの給与を引き上げ、さらにインフラ投資を推進した田中角栄をはじめ、地方での公共的分配による所得格差是正は一定の効果をもたらしたが、むしろその内需拡大によって得をしたのは地方というよりは、これまた東京だったとも言えます。というのも、地方での所得拡大とインフラ整備の契機をもって、ロードサイドをはじめとする東京資本のチェーンストアなどが各地に展開されるようになり、地方消費市場の拡大した分をこれまた東京が食っていくということになった。そして、そのような消費行動の選択肢が多角化することを地方の人たちの多くも歓迎したわけです。

商店街活性化などをやってきていると分かるのは、むかしの中心市街地における商業は選択肢がそれほど多くありません。しかし皆が移動できない時代にはそれで仕方ないわけですが、所得が拡大してマイカーを購入できるようになり、さらに公共投資である道路整備は郊外への人々の行動を拡大させたわけです。商店街にわざわざバスや自転車でいかなくても、マイカーで郊外にいけるようになった時、そこにロードサイドの東京資本型のチェーンストアがどんどん出ていったわけです。その後ににはショッピングモールも整備されるようになるわけですが、それは従来型の地域商業と比較すれば、地方の人々にとって先進的で魅力的に映ったのは消費者視点でいえば理解できますね。

しかしながら、財政の仕組みで東京の財源を分配するからこそ地方の個人所得は拡大し、インフラも高度化した地方なわけですが、一方で拡大した所得とロートサイドなど新たに生まれた土地に東京資本企業が続々と出店したことで、これまた個人消費は東京に戻ってくるという構造が民間によって形成されることにもなっていったわけです。逆にそのあたりは地方企業があまり過去の中心部とかにこだわりすぎたところもあり、市場としてとりにいかなかった、いけなかったというのも悲しいところ。というのも、やはり地方企業はますますもって財政的移転によって生まれるビジネスなどのほうに集中することになってしまい、田舎にいけばいくほどに公共絡みの仕事が「最も効率のよいビジネス」になってしまったことで、一般市場ビジネスでの競争力がどんどん失われて、ますますもって人々の生活が東京依存になったということでもあります。

つまり東京vs地方なんて簡単な話ではなく、そもそもとして東京と地方は、行政による財政システム、民間による経済システムが相互依存的に成立しているわけなのです。

今回はそのあたりを数字をもとに解説していきます。

東京と地方の一蓮托生構造

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