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事例病の人たち〜なぜ事例を聞いても分かった気になるだけで、何も分かっていないことに気づけないのか〜

まぁこういう立場におりますと、よく「うちのまちに参考になる事例教えて下さい」みたいなことをよく言われるのです。しかしながら「そもそも考え方が間違っている」ということを整理したのが新著・まちづくり幻想だったりします。

それにしても事例をすぐに求める人が多くいて、事例を多数出すと「わかりやすい」と喜ばれることが多くありますが、ただそれは「分かった気になっているだけ」であり、正確に分かっているわけではありません。

それは足し算において 1+1=2 における「2」という答えをみていて、2+3=5 5+5=10というあたりを沢山教えてくれるのが事例盛りだくさんの説明です。が、それだけでは何も分かっていません。つまり足し算の基本ルールというものを理解できていなければ、それぞれの例題がわかるだけで、そこの共通する抽象的な法則を理解できなければ、地元で発生する10+30=??? みたいな問題に対して自ら答えを出していくことはできないのです。

つまりは例題をみてるだけで、結局答えを教えてもらわないと解けない状況と変わらず、結局は自ら実践を通じて他の地域におけることなくては、自分の取組みにおける共通性を見出せるようにはならないんですよね。他の地域の取り組みを本当に参考にできるのは、自分でやってみるからできるのであり、なんの取り組みもせずして参考になんかできないのです。ましては補助金もらうネタに他の地域の事例をそのままパクるみたいな適当な事例活用では全くもって血肉にはなりません。

本質的に有効な事例をもとに検討すると、つまりはケーススタディという方法は自分たちである程度の場数を踏んでいって軸を作り、その上で「式」の違いを考えたり、式の組み立て方の違いを発想したりするというところに醍醐味があるのです。

事例事例と簡単に求める人はアンチョコもって問題をとこうとしているというよりは、そのままの変数とかも考慮せずにそのままパクればいいと思っている場合が少なく有りません。それでは全くもってその地域における取り組みとしては成果はでないのです。毎度毎度自分も異なる分野の事業に携わらせて頂く際には、この過去の自分なりの式の組み立て直しをトライしているというのが実際なのです。

事例を何かの答えだと勘違いして、その答え探しばかりしているような事例依存症の人は一旦事例探しばかりせずに、まずは自分で分からないなりにでもトライを続けて軸を作ることが大切です。

○事例とは「静的答え」であり、まちの取り組みは「動的」

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