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宗教コミュニティとアサイラムへの頽廃

未来の住職塾NEXTに参加してくれた東(あずま)陽子さんは、お寺を実家に持ちながら、今現在は臨床心理士として都内の医療機関で働かれています。NEXT R-1東京クラス最終回のチェックアウトで「私はいつも、仕事の現場で、毛糸玉を思い浮かべます。こんがらがった心の毛糸玉をほどくような気持ちで、患者さんに接しています」という趣旨のお話をしてくれました。

毛糸玉。なるほど、いい表現ですね。私の場合は、宗教者の心の中でこんがらがっている毛糸玉がほどけるよう、お手伝いをするのが役目なのかなと思いました。

以前、東さんと立ち話をしていて、心理ケアに関わる現場で感じる様々な矛盾について話題になったことがあります。その時、私がオススメした本が『居るのはつらいよ〜ケアとセラピーについての覚書〜』(東畑開人)です。

東畑さんの本は面白いものが多いのですが、これは著者自身が心理士として精神疾患を持つ人のためのデイケアの現場に身を置きながら見た、ケアとセラピーの思想の差異と、その現場に忍び込む怪物の正体を、明らかにした本です。お寺という場を預かる僧侶、あるいは、様々なコミュニティを預かるあらゆる宗教者にとっても、ものすごく関係があるテーマだし、参考になるオススメの本です。

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