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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? … もっと読む
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記事一覧

仏教はOSか

人の行動や意識を司るような、身体や精神に染みついたあり方、考え方、行為など、よく、コンピューターのOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションになぞらえて語られる。考え方をあらためることを「OSを入れ替える」と表現したり、人生の転機を迎えて「これまでの価値観をアンインストールして、新たにインストールし直す」ーーといった具合に。   宗教もまた、その人の世界観や死生観にダイレクトに紐づくことから、人が生きていく根底で稼働を続けるOSに喩えて説かれるシーンも度々ある。  

はざまにあることの苦しみ

 「上から/下から」「会社から/現場から」。そんなはざまにあって、どうしていいかわからない――。  産業僧として、さまざまな企業のいろいろな職業、ポジションの方をオンラインで訪ねていると、そんな解消できないジレンマを多くの人が抱えているのがよくわかる。  上からは逐次、指示や達成目標が降りてくる一方で、下からは「そうはいっても……」と実情に即したリアルな要望が寄せられる。  同じ立場の同僚に、飲みの席やたばこ部屋で苦痛をこぼせても、立ち止まっている時間もない。腑(ふ)に

スティーブン・バチェラーさんをお迎えして

11月、仏教思想家のスティーブン・バチェラーさんが来日をされ、週末には築地本願寺で行われた対談の機に立ち合わせていただいた。 彼は「セキュラー・ブディズム(世俗的仏教)」の提唱者で、チベット仏教や韓国の禅仏教の僧侶として10年以上にわたり修行を重ねて来られた方だ。現在は僧侶としての活動はされていないが、宗教を超え、世界各地の人々に仏教の考え方や世界観を伝えている。 「セキュラー(secular)」とは「世俗の」と訳されることが多いものの、「世俗」という言葉自体、その意味す

方丈庵 Latest News!|2023.11.27

◉ 朝日新聞デジタル 連載「松本紹圭の抜苦与楽」|期間限定無料公開のお知らせ 朝日新聞デジタル『Re:Ron』の連載「松本紹圭の抜苦与楽(第4回)」が、11月28日AM9:00まで期間限定で無料公開されています。ぜひこの機会にご覧ください。 朝日新聞デジタル 『Re:Ron』連載「松本紹圭の抜苦与楽」 【第4回】「はざまにあることの苦しみ」産業僧・松本紹圭さんの中間管理職論 ▼ 無料公開期間限定ページ(〜11月28日AM9:00まで有効) ▼ 有料ページ

2023 ヤング・グローバル・リーダーズ フォーラム Alumni Community <番外編>

以前、ドバイに暮らすパキスタン人の女性から連絡をもらい、人生相談にのったことがある。せっかくの機会なので、連絡を取りお会いした。彼女の話からは、UAEの現実が垣間見られた。 ドバイという国はご存知の通り、ここ20年で世界中の投資を集めてすさまじい勢いで発展した都市である。そうした都市が成り立つに背景には、そこに世界のマネーが集まってくる仕組みや構造がある。裏話といえばそうなるのかもしれないが、そういう構造で成り立ち動く世界があるという、現実でもある。 アラブ首長国連邦(U

2023 ヤング・グローバル・リーダーズ フォーラム Alumni Community <後編>

期間中、数々のワークショップが開かれていて、Wellbeingをテーマにしたワークショップでは個性豊かなメンバーが議論を行っていた。 Alexis bonte スウェーデンを拠点にゲーム開発会社 Stillfrontを起業し、経営者としても数々の成功を収める。エンジェル投資家でもあり、スタートアップ企業への投資や起業家支援を促進する非営利団体も創設。 Phanindra Sama インドの社会インフラともなっている、世界最大のバスチケットの予約販売ポータルサイト「redB

2023 ヤング・グローバル・リーダーズ フォーラム Alumni Community <前編>

世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーズ(YGLs)のコミュニティが生まれて、来年で20年になるそうだ。 毎年選出されるYGLたちは、5−6年の任期を終えると、その一部は "Alumni(卒業生)" としてその後も世界経済フォーラムに関わっていく。過去20年のあいだに輩出された Alumni たちは総勢600人を超え、今では「YGL Alumni Community」と呼ばれる卒業生コミュニティも存在する。 かつてはヤングと呼ばれるも、年齢と人生経験を重ねて少し

生活しやすくて、生きづらい国。

インドへ行ってきた。10年前、留学の時に1年間住んで以来だ。この10年、インドの経済は成長し、人口は中国を抜き、目覚ましい発展を遂げているというニュースを見ることが多かったので、その変貌を目の当たりにすることを楽しみにしていた。 私がかつて留学していた都市ハイデラバードは、デリー、ムンバイ、バンガロールほど有名ではないが、インド国内のみならず、世界の都市の中でもトップと言われる成長率を誇る。インドの変化を見るには最適な再訪場所だ。 確かに、10年の変化は大きかった。当時、

方丈庵 Latest News!|2023.10.27

◉ 朝日新聞デジタル 連載「松本紹圭の抜苦与楽」|期間限定無料公開のお知らせ 朝日新聞デジタル『Re:Ron』の連載「松本紹圭の抜苦与楽(第3回)」が、10月28日AM10:23まで期間限定で無料公開されています。ぜひこの機会にご覧ください。 朝日新聞デジタル 『Re:Ron』連載「松本紹圭の抜苦与楽」 【第3回】企業巡礼の産業僧、急成長のインドを再訪 日本の生きづらさを考えた ▼ 無料公開期間限定ページ(〜10月28日AM10:23まで有効) ▼ 有料ページ

NENの仏道を世界へ、試論〜4章

ずっと書こうと思っていた本に、ついに手を付け始めてみたら、出てきたのは、法然・親鸞の念仏道を世界に、まったくあたらしい言葉で伝えることはできないか、というテーマ。 英語版の出版を目指しているので、言葉づかいが完全に、英語に翻訳することを意識したものになっていて、読みにくいかもしれないけれど、だからこその面白さもあるかも? ぜひ、読者のみなさんからのコメントをいただきたく、執筆中の草稿を、いくつかnoteでシェアしていこうと思います。感想やご意見など、どんなものでもコメント

NENの仏道を世界へ、試論〜3章

ずっと書こうと思っていた本に、ついに手を付け始めてみたら、出てきたのは、法然・親鸞の念仏道を世界に、まったくあたらしい言葉で伝えることはできないか、というテーマ。 英語版の出版を目指しているので、言葉づかいが完全に、英語に翻訳することを意識したものになっていて、読みにくいかもしれないけれど、だからこその面白さもあるかも? ぜひ、読者のみなさんからのコメントをいただきたく、執筆中の草稿を、いくつかnoteでシェアしていこうと思います。感想やご意見など、どんなものでもコメント

NENの仏道を世界へ、試論〜2章

ずっと書こうと思っていた本に、ついに手を付け始めてみたら、出てきたのは、法然・親鸞の念仏道を世界に、まったくあたらしい言葉で伝えることはできないか、というテーマ。 英語版の出版を目指しているので、言葉づかいが完全に、英語に翻訳することを意識したものになっていて、読みにくいかもしれないけれど、だからこその面白さもあるかも? ぜひ、読者のみなさんからのコメントをいただきたく、執筆中の草稿を、いくつかnoteでシェアしていこうと思います。感想やご意見など、どんなものでもコメント

NENの仏道を世界へ、試論〜1章

ずっと書こうと思っていた本に、ついに手を付け始めてみたら、出てきたのは、法然・親鸞の念仏道を世界に、まったくあたらしい言葉で伝えることはできないか、というテーマ。 英語版の出版を目指しているので、言葉づかいが完全に、英語に翻訳することを意識したものになっていて、読みにくいかもしれないけれど、だからこその面白さもあるかも? ぜひ、読者のみなさんからのコメントをいただきたく、執筆中の草稿を、いくつかnoteでシェアしていこうと思います。感想やご意見など、どんなものでもコメント

NENの仏道を世界へ、試論〜はじめに

ずっと書こうと思っていた本に、ついに手を付け始めてみたら、出てきたのは、法然・親鸞の念仏道を世界に、まったくあたらしい言葉で伝えることはできないか、というテーマ。 英語版の出版を目指しているので、言葉づかいが完全に、英語に翻訳することを意識したものになっていて、読みにくいかもしれないけれど、だからこその面白さもあるかも? ぜひ、読者のみなさんからのコメントをいただきたく、執筆中の草稿を、いくつかnoteでシェアしていこうと思います。感想やご意見など、どんなものでもコメント