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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? …
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記事一覧

声聞(しょうもん)

ポーリン・オリヴェロス(Pauline Oliveros)という前衛音楽家の存在を知り、彼女の書いた『ソニック・メディテーション(音の瞑想)』という本を読んだ。 本書は、1970年代初頭に作曲家でありアコーディオン奏者でもある著者、ポーリン・オリヴェロスによって開発された、一連の即興的で参加型の音楽実践の解説書だ。オリヴェロスは音楽を通じたコミュニケーションと意識の拡大への興味から「ソニック・メディテーション」を考案した。このメディテーションは、参加者が音を通じて内的および

森田さんと春山さんの対話メモ

森田真生さんと春山慶彦さんの対談に参加してきた。 自然と人間の関係、エネルギーと生命の本質、地域社会の在り方についての深い洞察に満ちたものであった。以下、内容についてメモから思い起こした(再構成した)ものを、シェアしたい。

仏教の視点からJust War Theoryを考える

Ethics of Warという学問分野について Ethics of War(戦争倫理学)は、戦争の正当性や戦争中の行動の倫理的側面を評価・分析する学問分野であり、戦争の開始から戦闘行為、戦後の処理に至るまでの全ての段階での倫理的基準を提供する。この分野は、哲学、政治学、法学、宗教学など多岐にわたる学問領域からの視点を統合し、歴史的な伝統と現代の課題の双方を反映しつつ、戦争に関する倫理的な問題を検討するものである。

武道と仏道

先日、『武道と仏道』をテーマに執筆の依頼をいただきました。私にとって「道」といえば仏道で、武道についてはまったくの門外漢です。武道を語れる身ではないものの、武道と仏道には多くの共通点がるように思います。 ーー系譜を重んじ、師から弟子へ面授で受け継がれること。流派の型が確立されており、エコシステムが回っていること。身体性・精神性を伴う人間形成を大切にし、その過程に段階はあっても、目的は比較や勝負を超えていること。人が集い、道を深める鍛錬の道場があり、場や道具は神聖なものとして、

クリスチャン・マスビアウ氏との対談からの考察

世界でベストセラーとなった『センスメイキング』の著者であり研究者かつ起業家のクリスチャン・マスビアウ氏にお会いした。 ビッグデータが導き出すアルゴリズムは、大きなスケールの傾向を捉えることは出来たとしても、体験的に展開される多くの真実を取りこぼす。AIが人間の生命活動・社会活動を支える時代こそ、地道な観察から読み取る人文科学の知見が必要であるとマスビアウ氏は提唱する。彼は日本の民間シンクタンク日本医療政策機構 のシニアフェローでもあり、今回、マスビアウ氏の来日にあわせて、同

法然と親鸞〜パロールとエクリチュール〜

人が扱う言語について、パロールとエクリチュールという概念がある。 近代の哲学者ジャック・デリダは、音声言語(話しことば・聞きことば=パロール)と記述言語(書きことば・読みことば=エクリチュール)について議論した。 念仏(声)による仏道を示した法然と、師匠 法然の教えをテキストによって説いて残した親鸞の関係性も、パロールとエクリチュールで説明できそうだ。 Voicy でしゃべってみたので、ここはパロールのままシェアしよう。

流域民

私が尊敬する経営者であり友人の、YAMAPの春山慶彦さんが、「流域地図」をリリースした。 YAMAPは「登山アプリ」の会社として急成長を続けているが、春山さんの思いはアプリの先の山や森にある。そのビジョンを誰の目にも見えるように具現化したものが、この流域地図なのだろう。 私はコロナ禍の時期に縁あって、滋賀県のメンバーを中心としたクローズドな少人数の勉強会に参加させていただき、たくさんの有識者のお話を聞いたが、その時にも何度も出てきたのが「これからは、水が大切になるし、人為

武蔵野大学 百周年記念「カンファ・ツリー・プロジェクト」のpodcast番組が始まりました

ここ数年関わってきた、武蔵野大学 100周年記念「カンファ・ツリー・ヴィレッジ・プロジェクト」のポッドキャスト番組が始まりました。 パーソン(person)という言葉の語源は、「声の主(master of voice)」とも言われるそうです。 人それぞれに放つ、それぞれの声。 この世の誰もが、今ここに響く person です。 本プロジェクトの中心にある「対話」では、世界の多様なパーソンとの交流に生まれる響きをお届けします。対話に立ち会う自分は、"聞き手(host)"

お寺を超えて、仏の智恵を-掲載記事より-

昨年、アメリカ西海岸バークレーにある「浄土真宗センター(Buddhist Churches of America)」で開かれた僧侶向け研修会で、講演のご縁をいただいた。 研修に参加されていたKen Yamadaさんから後日取材依頼をいただいて、先日「Higashi Honganji Buddhist Temples」に記事が公開されたので紹介したい。 今回、取材・執筆下さったKenさんは、浄土真宗東本願寺の教育・出版部門「Shinshu Center of America

方丈庵 Latest News!|2024.4.26

◉ 朝日新聞デジタル連載「松本紹圭の抜苦与楽」(第6回)掲載のお知らせ ▼ 期間限定 無料公開ページ(〜4月27日AM 08:05) ▼ 有料ページ ◉ 4/30 トークイベント|SHIBAURA HOUSE × Pakhuis de Zwijger ◉ 5/10 トークイベント|在日スイス領事館

私がみる循環葬 <後編>

<前編はこちら> 世界の動きと、ヒューマン・コンポスティングという選択肢今から6年前、金沢21世紀美術館で「DeathLAB:死を民主化せよ」(期間:2018年7月7日-2019年3月24日)が開催された。建築家のカーラ・マリア・ロススタインは、2013年に米国コロンビア大学大学院に「DeathLAB(死の研究所)」を創設。宗教や民族を超えた新たな葬送について、建築、宗教学、地球環境工学、生物学といった多分野から横断的に研究し、死の扱い方について、人々の意識を足元から掘り起

私がみる循環葬 <前編>

人のヒストリーやアイデンティティを支える基盤には、国、民族、地域コミュニティー、職業といった所属先とも言える拠り所がある。私たちは生まれて間もなく、何処の誰であるかの属性と、依るべきところ、帰るべきところを、生まれた土地の社会から授かっている。その最小単位に「家」がある。 家や家系は、唯一無二の縁に他ならない。けれど、人の一生を支える無数の縁を思えば、その強さや深さは、一生を振り返って初めて浮かび上がるようなものかもしれない。始まりも終わりもなく、結ばれほどけ、交わり離れを

方丈庵 Latest News!|2024.4.19

◉ トークイベントのお知らせ|SHIBAURA HOUSE × Pakhuis de Zwijger ◉ Web掲載のお知らせ

NY短期出張メモ

大学の仕事でNYCに短時間行ってきた。短時間の滞在のために飛行機で太平洋を横断するのは地球にも自分の身体にも負担が大きいので、このような出張スケジュールになってしまったことはとても残念で、反省しているのだが、だからこそなるべく役に立てたいと思い、印象に残ったことをランダムにメモしてみたい。