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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? …
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記事一覧

「New Literacy」の提唱: 言語、宗教、そしてAIの視点から

私たちが宗教を分類する際、アブラハム系宗教とそれ以外という枠組みがよく使われます。その中でも、「聖典至上主義」、つまり特定の聖典を絶対視するかどうかという特徴は、宗教を理解するうえで重要なポイントです。アブラハム系宗教、例えばユダヤ教やキリスト教、イスラム教では、聖典が信仰の中心にありますが、他の宗教、特にインドや東アジアにルーツを持つ宗教では、聖典以外の口伝や儀式が重視されることもあります。これを「テキスト絶対主義」と「テキスト相対主義」として捉えることができます。 しかし

社会を動かす faith -信仰- の力

9月26日に開催された「G20 Global land initiative (G20 地球環境に関するセクション)」に参加するため、NYを訪問した。滞在中、創価学会インタナショナル国連事務所(SGI Office for UN Affairs)のHiro Sakuraiさんにお会いして、お話を伺う機会をいただいた。 Sakuraiさんは、語学留学で米国に滞在していた時期に現地で学会に入会し、現在はSGI国連事務所の所長として活動されている。創価学会は、1960年にアメリカ

毎日を、無理なく、機嫌よく

今年のはじめ、淡交社さんより『日常からはじまるサステナビリティ: 日本の風土とSDGs』を出版いただいた。出版にあたってご協力いただいた多くの方に、心から感謝したい。 本書は第一章と第二章に分かれていて、第一章では、以下の方々との対談を通して日本の風土に根付くサステナビリティを探り、第二章では「仏教とみる、私たちのウェルビーイング」をテーマに綴った。 対談させていただいた方々は、それぞれの尊い道を歩まれている。自身を含むこの世の豊かさや幸せを問い、社会のあり方を探る道は等

Latest news 2024.9.20

◉ VOGUE Japan Web掲載 ◉ 朝日新聞デジタル ▼ <期間限定 全文公開>… 〜2024.9.21 12:06 ごちゃまぜ5人組が会社を変えた イノベーションは仲間づくりから:朝日新聞デジタル■アナザーノート 木村裕明記者 創業138年の老舗企業「カクイチ」を7月の本コラムで取り上げた。紙やファクスが飛び交っていdigital.asahi.c

マルクス・ガブリエルとの邂逅

マルクス・ガブリエルさんの来日に合わせて、1年ほど前から探っていた対面・対話の機会がついに実現した。とても気さくな方で、初めて会ったとは思えないほど親しく感じた。結果的に、半日ほど一緒に過ごしたことになるが、とても仲良くなった。共通の友人・知人もたくさんいるし、考え方が近いところもたくさんある。おまけに、今月末、同じ時期にNYCに行くというので、また向こうで会おうということになった。 対談の内容はポッドキャストとして今後リリースされるので、今回の交流で印象的だったことを、忘

AIと共にグッド・アンセスターになっていく未来

2030年の自立/自律社会を見据え、企業の未来がどう変わるか。Futurist/Ancestoristとして、考えてみた。 https://www.omron.com/jp/ja/about/corporate/vision/sinic/theory.html Z世代から未来の方向を読み解く 世界的なトレンドとして、プロダクトブランディングからコーポレートブランディングへのシフトがある。「どんな製品か」よりも「信頼できる企業の製品か」が重要。Z世代に象徴される未来世代は

「私とあなたとは、絆がありますでしょ」

今年のはじめ、淡交社さんより『日常からはじまるサステナビリティ: 日本の風土とSDGs』を出版いただいた。出版にあたってご協力いただいた多くの方に、心から感謝したい。 本書は第一章と第二章に分かれていて、第一章では、以下の方々との対談を通して日本の風土に根付くサステナビリティを探り、第二章では「仏教とみる、私たちのウェルビーイング」をテーマに綴った。 対談させていただいた方々は、それぞれの尊い道を歩まれている。自身を含むこの世の豊かさや幸せを問い、社会のあり方を探る道は等

生成AI時代における人間の仕事とは

生成AIの発展によって、今後「残る仕事」と「消える仕事」があると言われる。 <残る仕事> 創造性や芸術性を必要とする仕事 a. アート、音楽、デザインなど、独自の感性や想像力を必要とする仕事 b. 映画監督、作家、漫画家、建築家など   人間関係や共感を必要とする仕事 a. カウンセリング、セラピスト、ソーシャルワーカーなど、対人支援を行う仕事 b. 教師、看護師、介護士など、人間関係の構築が重要な仕事   高度な専門知識と判断力を必要とする仕事 a. 医師、弁護士、

限界芸術としての掃除

大蓮寺の秋田光軌さんが「生命の革新」としての限界芸術について論じた論文が、涙骨賞を受賞していたことを、大変遅ればせながら、最近知った。いかに自分が仏教界の話題から遠ざかっているか、思い知らされた。ともあれ、このタイミングで知ることになったのも何かの縁ということで、ありがたいことに全文公開されている論文を中外日報ウェブサイトで拝読した。 大蓮寺は大阪で有数の有名なパドマ幼稚園を経営しているが、秋田光軌さんは、その幼稚園での子どもたちの遊びの姿を通じて「生命が輝く」瞬間を紹介し

Latest news 2024.7.29

◉ UNDP『Signals Spotlight 2024』 掲載 ◉ 朝日新聞デジタル連載「松本紹圭の抜苦与楽」(第7回) 掲載 ▼ 期間限定 無料公開ページ(〜7月30日AM 9:01) ◉ イベント登壇|都市と循環@京都 ◉ Speakin社 冊子掲載 インド・スクール・オブ・ビジネス(Indian School of Business)の卒業生仲間でもある、起業家 Deepshikha氏 が Speakin社を日本に展開するにあたって、Speakin社の発行

"民藝"という、ものと、こころと

今年のはじめ、淡交社さんより『日常からはじまるサステナビリティ: 日本の風土とSDGs』を出版いただいた。出版にあたってご協力いただいた多くの方に、心から感謝したい。 本書は第一章と第二章に分かれていて、第一章では、以下の方々との対談を通して日本の風土に根付くサステナビリティを探り、第二章では「仏教とみる、私たちのウェルビーイング」をテーマに綴った。 対談させていただいた方々は、それぞれの尊い道を歩まれている。自身を含むこの世の豊かさや幸せを問い、社会のあり方を探る道は等

バルセロナより

先日、スペイン バルセロナで開催された「The Festival of Consciousness」(2024.7.12-7.14)に、光栄にも、スピーカー参加するご縁をいただきました。参加して思い立ったことを Linkedin に投稿しています。ここでは日本語を添えて、シェアしたいと思います。 2024.7.15   “How can business people contribute to the world peace?”   I have an idea. I h

仏教的対話論

武蔵野大学で関わっているカンファ・ツリー・ヴィレッジでは、2年間、計4回の、対話の場を開いてきた。今もまだ、囲んだ焚き火の跡が生々しく残っているような、そんな気配がキャンパスのそこここに残っている。この場で重ねられた対話を振り返ってみた時、未来世代に何を渡すことができるだろうか。二つ、あると思う。それは、「どのような対話がなされたか」と、「どのように対話がなされたか」だ。今ここで、一旦、振り返って考えてみたい。 1つ目、どのような対話がなされたか。それは、なされた対話の中身

声聞(しょうもん)

ポーリン・オリヴェロス(Pauline Oliveros)という前衛音楽家の存在を知り、彼女の書いた『ソニック・メディテーション(音の瞑想)』という本を読んだ。 本書は、1970年代初頭に作曲家でありアコーディオン奏者でもある著者、ポーリン・オリヴェロスによって開発された、一連の即興的で参加型の音楽実践の解説書だ。オリヴェロスは音楽を通じたコミュニケーションと意識の拡大への興味から「ソニック・メディテーション」を考案した。このメディテーションは、参加者が音を通じて内的および