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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? … もっと読む
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#新型コロナウイルス

ホテル療養日誌(1)

東京のお寺に出張滞在中、発熱。もしやこれはと思い、近くのクリニックで新型コロナウィルスのPCR検査を受けたところ、結果は陽性。さて、どうするか。 その時点では、お寺の境内にある独立棟の個室に滞在していた。隔離という点では、そこに籠り続けても良かったのだけど、出張先で一週間も隔離を保ちながら食事をやりくりするのが大変そうなこと、自主療養より健康管理のケアやサポート体制が整っていそうなことから、東京都福祉保健局が提供しているホテル療養を選択した。 ちょうど今、入所から丸2日が

不要不不要 不急不不急

「不要不急」をめぐって原稿を書いてほしいと、とある出版社からお声がけあり。いろんなお坊さんたちが、この「不要不急」という語をめぐってコラムを書いたものを、一冊の本にまとめて出版するという。 臨済禅では、修行僧が悟りの道を歩むための課題として与えられる「公案(こうあん)」を大切にする。修行僧はさまざまな種類の公案に向き合って智慧を開発していくわけだ。白隠禅師が考えられた公案に、「隻手の声(せきしゅのこえ)」という有名なものがある。「両掌相打って音声あり、隻手に何の音声かある(

世界がそのまま“お寺“になる日が来る

NYC在住の日本人僧侶、中垣顕実さんと近況交換をしました。NYCといえば超高層ビルが立ち並ぶマンハッタンが有名ですが、中垣さんはクイーンズという郊外のエリアの中でもさらに奥の方に住んでいるので、NYCとはいえ比較的のんびりとした環境です。「ひたすら家に居るので、周囲の状況もよくわからない。NYCのコロナに関するニュース情報としては、日本から知れることと、そう違いはないですよ」と言いますが、ロックダウンすると皆が完全に引きこもるので、「その土地でみんなが共有している空気感」のよ

「家にいるのに帰りたい」人へ

ホームがブラック化する悪夢 オルデンバーグのサードプレイス議論によると、第一の場所がホーム(家庭)、第二の場所がワークプレイス(職場)、そして第三の場所として挙げられるのが、教会、カフェ、クラブ、図書館、本屋、公園など、とされている。 しかし今、何が起こっているかというと、第一の場所であるホームに、第二の場所であるワークプレイスが、雪崩れ込んでくるという事態だ。 「家にいるのに帰りたい」 方丈庵でのMTGで、いくつか話を聞いた。都心のオフィスで働く友人は「在宅にテレワー