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不要不不要 不急不不急

「不要不急」をめぐって原稿を書いてほしいと、とある出版社からお声がけあり。いろんなお坊さんたちが、この「不要不急」という語をめぐってコラムを書いたものを、一冊の本にまとめて出版するという。

臨済禅では、修行僧が悟りの道を歩むための課題として与えられる「公案(こうあん)」を大切にする。修行僧はさまざまな種類の公案に向き合って智慧を開発していくわけだ。白隠禅師が考えられた公案に、「隻手の声(せきしゅのこえ)」という有名なものがある。「両掌相打って音声あり、隻手に何の音声かある(両手を打ち合わせると音がするが、では片手ではどんな音がするのか)」という問いだ。修行僧は悩むが、それは僧侶として磨かれる大事なプロセス。白隠禅師の意図としては、この質問が、修行僧に人間の分別を超えた境地を体得するよう導くということであったようだ。

今回の企画は「不要不急」という公案をめぐる禅問答集とも言えそうだ。

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2,813字

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