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アリエルに微塵も思い入れの無い自分が黒人アリエルを見た感想。結論は良かった

※ネタバレを含みます

まず自己紹介。

自分は30歳くらいの男性、アリエルに微塵も思い入れが無い人間だ。
ディズニーランドも10年前に行ったきり。
ディズニー作品はマーベルとスターウォーズを見たくらい。

赤毛の白人で下半身が魚のクリーチャーのことは、ミッキーマウスの世界に居る、海に住んでいるキャラ(あと小学生の時に女子がクリアファイルを持っていた)という認識だった。

つまり、ディズニープリンセスの知識がほぼ無い人間である。

そんな自分がひょんなことからアリエルを見に行くことになった。
ひょんなことと言うより、彼女が前々から見たいと熱望していたからだ。
乗り気ではなかったが、最近の騒動で「アリエル」の存在を知った自分は社会勉強も兼ねて見に行くことにした。

そんな自分がアリエルを見た結論は、「楽しい映画で、自分の中ではアリエルはドレッドヘアの黒人で定着したよ」ということだ。

Twitterを見ると、「アリエルが黒人はちょっと違うんだよなぁ」という意見が結構多く見られた。
でも恐らく一生涯で黒人アリエルを見た時間の方が長い自分は「アリエルと言えば肌が濃い」のイメージで、アニメの画像を見ると逆に違和感を覚える。

なので、初めてアリエルを見た女児は別にショックを受けないだろうし、一部のおばさんのようにディズニーの世界観を壊されて泣いてしまった、なんてことも無いだろう。
アリエルについても、童顔で魅力のある顔だよねという感想。

ただ性格に関しては、好奇心旺盛(危険運転過失致死未遂)で親切心も押し付けがましい(勝手に他人の物を壊して発掘作業)と、古臭い「自由な女」のロールモデルでやめて欲しいなと思ったり。
それ若くて可愛いから許されているだけだからな。

ストーリーも正直スカスカで、ロマンスシーンで引き延ばしている感じ。
マーベル作品なら15分で終わる話だ。

それを映像の美しさと時折入る「ビックリシーン(物を落として大きな音を出したり、意図的に退屈さを無くそうとしてるよね?)」で誤魔化していたのは、視聴者に対して不誠実だなと思った。

あと歌うなよ、蟹が喋んな、頭の中でミュージカルすな、アリエルの母が人間に殺されたり、王子が王家の出身でなかったり色々裏設定がありそうだけど、映画では説明しないのね。

深い葛藤もないし、バトルシーンも船を突撃させて死亡。巨大化したら弱点もデカくなってましたってどうなのよ。

とここまで見たらわかるように、これらは全て女児向けかつ女性向け作品、ミュージカル映画への文句であって、女児でも女でもミュージカルが好きな自分向けではなかったという話だ。お前は一生アイアンマン1を見てろって話である。

目線を変えてみれば、美しい海の情景、色彩の自由な使い方と感情表現、中世舞台で行われるラップや幻想的なロマンスシーン。

要所要所は抑えられていて、心の中の女児が喜んでる感じがして良かった。楽しい作品だったと思う。個人的には好きだ。

他にも、最初の航海の船は真っ白のロープで「何回も舟壊れてるんすよ」って背景を示唆させたり、アリエルを探す船旅ではロープが汚くなっていて「何回も探しているんですよ」ってことを示唆させたり、画の作りは非常に細かいし美しい。

複雑で重みのある面白さではないので、良かった部分の解説は薄くなりがちだが、「見て良かった」とは思った。

でも気になる部分もあって、アリエルの「家や制度に閉じ込められていて自由に動けない」という辛さは男児にもある。
映画もジェンダーレスが進む中で、これを見た男児がアリエルをロールモデルとして生きることを考えていたのかな、と感じた。


たとえば家に閉じ込められてるが、海外に憧れている男がこれを見て勇気付けられるのかなって。

結局「若さと女であることを武器に、新天地で男をゲットして人生を楽しくする」話で、これから男女共に主体性が武器となる世界でこれは誰に向けていたのかなと。

逆に主人公が黒人と言う挑戦を抜きにしたら、ただの擬古作品で終わってしまってた気がする。主人公黒人にして救われたんじゃない?

最後の多種多様なマイノリティの集まるアッセンブル、じゃなくて集合シーンは新しいディズニーを感じさせて感動をした。
黒人は喜ぶし、白人はアニメ見てればいいし、アジア人や男性は次回作に期待だな。

ディズニーの良さは保守的キリスト教の価値観とリベラルという矛盾を昇華させた先にあると思っているので、頑張ってください。

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