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マーケティング書としての「お金で幸せを買う5つの授業」

『「お金で幸せを買う」5つの授業」』エリザベス・ダン、マイケル・ノートン著 古川奈々子訳 を読みました。この本は

「お金を稼ぐことで増大する幸福量が期待より少ないなら、使い方を工夫することで幸福量を上げることはできないか?」

という発想で書かれている本です。この本は幸せになりたいと思っている給与所得者なら誰が読んでも損をしない本だとは思いますが、今回はこの本をマーケティングに関する本として紹介します。

流れは、

1.「お金で幸せを買う5つの授業」の概要。2.なぜマーケティングか?3.具体的なアイディアと進めていきます。

概要

この本はタイトルで明示してある通り5つの要素で構成されています。それぞれが「経験を買う」「ご褒美にする」「時間を買う」「先に払って、あとで消費する」「他人に投資する」とタイトルされています。
著者は心理学者とマーケティング学者で、決してスピリチュアルな内容ではないので安心して手に取ってもらえればと思います。

詳しい内容は実際に本を読んでもらうとして、全ての項目でマーケティングに応用できそうなアイディアが散りばめられているように感じました。

なぜ、マーケティングなのか

幸福量を最大化するようなお金の使い方がなぜ、マーケティングなのでしょうか?

この本の中では、お金の使い方に関してのグレーゾーン、つまり気持ち1つで幸福量をそこまで上げないか大きく上げるのかが分かれる消費が多く例示されています。
 例えば、「経験を買う」(物を買うより経験を買う方が幸福は長続きする)では本や音楽を経験的な買い物とするか、物質的な買い物をするかが気持ち次第であると書かれています。

消費者の気持ち1つで商品への満足度が大きく変わるのなら、商品の見せ方で消費者の満足度を上げることも当然可能です。実際、例の中には紹介されている方法を使ってマーケティングを成功させている企業が多く存在します。

僕はマーケティングの専門家ではないので、書かれている方法論がマーケティングの世界では常識かもしれません。だとしたら教えてください。

具体的なアイディア

ここからは、本書の中からいくつかの文を引用してどのようにマーケティングに応用できるかを考えていきます。

お金の写真を見ただけで、孤独な活動を好むようになり、友人との夕食よりも、料理の個人レッスンを選ぶようになる

パーティーなどを企画するときは可能な限り金銭を意識させない工夫をすると成功しそうです。

素晴らしいものがいつも身近にあると、人間というものはそれを大切に思わなくなるものです。

良いものを敢えて限定品にするという手法は言われるまでもなくよく行われています。

それよりもよい品物が手に入ることを知らなければ、手元にあるもので十分幸せを感じられるのです。

顧客が一旦買うものを決めたら上位ランクの存在を匂わせないように振る舞った方が満足度が高まりそうです。

以上で挙げたものはほんの一部です。マーケティング以外にも政府の政策としての幸福度向上のアイディアも書いてありました。

今回はマーケティングの本として紹介しましたが、本来は個人がおカネの使い方を通じて幸福度を最大化する方法について書かれた本です。
あと、どことなく行動経済学に似た雰囲気も感じたのでその辺に興味がある人にもお勧めです。(心理学xマーケティングと心理学x経済学なので似ていて当然ですが)

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