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フリーランスが小規模企業共済を活用して賢く資金繰りを改善する方法

こんにちは、公認会計士兼税理士の田中将太郎です。今回は、「小規模企業共済」を活用して手元資金を一時的に増やす方法について解説します。「小規模企業共済」と聞くと、単に退職金を積み立てる制度だと思いがちですが、実はそれ以上に効果的な「裏ワザ」があります。特に、資金繰りに困りがちな個人事業主や中小企業の経営者にとって非常に有益な制度なので、最後までご覧いただければと思います。

Youtube動画でも詳しく解説しています。

1. 小規模企業共済とは?

小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する、公的な退職金積立制度です。対象となるのは、以下の条件を満たす事業者です。

  • 商業・サービス業の場合は、従業員5名以下の企業または個人事業主

  • その他の業種の場合は、従業員20名以下

個人事業主や小規模法人の経営者は将来の退職金制度を自前で準備する必要があります。この制度を活用すれば、計画的に退職金を積み立てられるだけでなく、所得控除による節税効果も得られます。掛金は、月額1,000円から7万円の範囲で自由に設定でき、年間最大で84万円まで積み立て可能です。

節税効果とは?

例えば、年間84万円の掛金を積み立てた場合、この金額は所得控除として認められます。所得控除とは、課税対象となる所得から差し引くことができる金額のことです。

仮に、課税所得が1,200万円で所得税率が33%、住民税率が10%の場合、
節税効果=84万円 ×(33% + 10%)=約36万円

このように、掛金を支払っただけで36万円もの節税効果が得られるわけです。

2. 手元資金を増やす裏ワザとは?

「小規模企業共済を積み立てると手元資金が減ってしまうのでは?」と考える方も多いですが、実はそうではありません。この制度には貸付制度という仕組みがあり、これを活用することで一時的に手元資金を増やすことができます。

具体的には、積み立てた掛金を担保にして、掛金の7割から9割の範囲で借り入れを行うことができます。この貸付制度を利用することで、掛金を積み立てながらも手元資金を確保することが可能です。

3. 貸付制度の仕組みと活用方法

貸付の金利と借入可能額

貸付制度の金利は、現在**1.5%程度と非常に低く設定されています。また、借入可能額は積み立てた掛金の70%から90%**です。この金利水準ならば、仮に借り入れを行っても大きな負担にはならないでしょう。

さらに、小規模企業共済の掛金は運用されており、年間約1%程度の利回りが期待できます。つまり、貸付制度を利用しても利息負担は運用益である程度相殺されるため、実質的な負担は少なく済むのです。

4. 実際のシミュレーション

ここで、具体的なシミュレーションを見てみましょう。

前提条件

  • 年収:1,200万円

  • 月額掛金:7万円(年間84万円)

  • 所得税率:33%、住民税率:10%

この条件で掛金を積み立て、貸付制度を活用した場合、以下のような効果が期待できます。

1年目に掛金84万円を積み立てた場合、約36万円の節税効果があります。さらに、掛金の70%である約59万円を借り入れ可能です。ここで1.5%の金利を考慮すると、約1万円の利息負担が発生します。結果として、1年目は10万円程度の手元資金を増やすことが可能です。

2年目以降も同様に積み立てと借り入れを行った場合、以下のような手元資金の増加が見込めます。

  • 2年目:約5万円

  • 3年目:約8万円

  • 4年目:約7万円

  • 5年目:約7万円

5. 小規模企業共済を利用する際の注意点

1. 長期利用を前提とする

小規模企業共済は20年以上の長期積立を前提として設計されています。20年未満で解約すると元本割れする可能性があるため、短期間での利用は避けましょう。特に、12ヶ月未満で解約すると掛金は1円も戻らないので注意が必要です。

2. 5年目以降は慎重に見直す

貸付制度を活用している場合、年数が経つごとに借入金が増え、金利負担も大きくなります。そのため、5年目以降は掛金を減額するなどの見直しが必要です。

6. まとめ

小規模企業共済は、単なる退職金積立制度としてだけでなく、貸付制度を活用することで一時的に手元資金を増やす有効な手段になります。ただし、長期的な視点で利用し、定期的に見直すことが重要です。

資金繰りに悩む経営者の方は、ぜひこの制度をうまく活用してみてください。適切な運用によって、節税効果を享受しながら資金繰りを改善することができます。

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