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”Netflix(ネットフリックス)株を買うべきか” 公認会計士が本気で分析

NETFLIXとは?

NETFLIXは、1997年に設立されたカリフォルニア州に本社を置く動画配信、映像コンテンツの製作の会社です。創業当初は、オンラインでのDVDレンタルサービス事業で定額で借り放題のサービスを売りにしており、2002年にNASDAQへの株式上場しました。2007年から動画ストリーミング配信事業を開始し、190カ国以上で事業を展開するメディア企業へと成長しました。

NETFLIXの株価は上昇傾向

NETFLIXの株価は、直近2~3年で倍以上に上昇しています。

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売上と利益は急速に増加

まずは、年次PLを見て、全体像を掴んでいきます。

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直近の1年間(2019年度)は、売上高が28%増加して約2兆円に到達し、営業利益は54%増の約1,900億円となっています。

直近5年間で売上が3倍(約7,000億円⇒約2兆円)、営業利益率も倍以上(5%⇒13%)になっており、安定的に成長していることがわかります。

売上が伸びれば、利益率も伸びるモデル

NETFLIXは、売上が伸びれば、それだけ利益率が伸びます。その理由は、「サブスクリプションモデル」であり、「サービス提供コストがほぼ固定」だからです。

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①顧客が蓄積していくサブスクリプションモデル

サブスクリプションのサービスとは、「定額料金を支払うことで、一定期間のサービスが受けられることを保証するサービス」です。

そのため、顧客を一度獲得すると、その後、数か月~数年にわたって毎月一定額を支払い続けてくれます。そのため、マーケティングコストは、新規顧客を獲得するために投入すればよく、既存顧客への支出促進のためのコストはかかりません。そのため、利用者が増えてもマーケティングコストを増やす必要がなく、顧客が徐々に蓄積し、売上が上がっていきます。

②サービス提供コストは、ほぼ固定

NETFLIXの場合、プラットフォーム上の動画コンテンツを制作、維持するためにコストがかかりますが、利用者が1人でも、1億人でも、大部分のコストは一定です。そのため、売上が増えたとしてもそれほどコストが増えず、利益率は上がり続けます。

上記2点より、NETFLIXが今後どれだけ成長していくかは、利用者をどれだけ増やせるかに焦点をあてれば良いということがわかります。

利用者が拡大することで、独自コンテンツ制作に多くの予算を費やすことができ、競合他社とサービスの差別化を行い、さらなる利用者の増加へとつなげることができます。

NETFLIXの売上の50%は北米、アジアは10%未満

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2019年の地域別売上割合を見ると、北米(米国とカナダ):50%、欧州・アフリカ:28%、南米:14%、アジア:8%となります。

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これらの数値から、NETFLIXは今後まだまだグローバル化の余地があることがわかります。

今後のアジアでの市場浸透が成長のカギ

次の地域別人口を見ると、アジアが圧倒的に人口が多いことがわかります。一方で、最もNetflixの売上高が低いのがアジアです。

人口1人あたりのNetflixの売上高を見ると、北米では人口1人あたりに対して17ドルの売上がありますが、アジアは0.3ドルと5分の1以下です。

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アジアの多くの地域では、動画を見るためのネット環境がまだ整っておらず、長時間の動画を見ることができない状況です。今後、ネットインフラが整備されていった時に、圧倒的に大きいアジア市場でシェアを獲れるかが今後のNetflixの業績を左右しそうです。

今後もストリーミング動画市場は伸びる

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Statista社の予測によると、現在のストリーミング動画の市場は、約5兆円ですが、今後5年でおよそ1.5倍の約8.6兆円へと拡大すると予想されています。利用者数も約8.8億人から13億人へと増加します。

しかし、2025年でも世界のストリーミング動画の利用者割合は、17.2%にとどまると予想されています。2025年には、欧米などの先進国では、5Gなどの高速ネットワークにより動画視聴環境がさらに改善されるでしょうが、東南アジアやアフリカなどでは、動画を見るためのネットインフラの整備が追い付かず、限定的な利用にとどまると考えられます。

<利用者数の推移(Statista社の予測)>

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<利用者の市場浸透度(Statista社の予測)>

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2020年2Q(6月末)の業績も好調

Netflixの四半期ごとの売上は順調に増加し、コロナ環境下での2020年第二四半期の売上高(Revenue)は、過去最高の60億ドル超えを記録しました。利益率(Operating Margin)も20%を超えています。

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まとめ

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● Netflixの業績は、コロナ環境下でも、予想通り堅調

● 市場環境は安定して伸びる(世界のストリーミング動画市場は伸びる)

● Netflixの将来は、米国市場を競合他社から死守し、巨大なアジア市場の攻略に向けて先手を打てるかに注目





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