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番外編① 映画『死刑にいたる病』~魅力的な悪役が作る、物語の勢いや流れ~

今回の映画は公開規模が大きく、ミニシアター系の映画を薦めるという自分のnoteの趣旨と違ってしまっています・・・。ですが、日本を代表する白石和彌監督のミステリー・スリラー映画ということ、そして自分の好きなジャンルの映画であるということで、観に行ったので薦めることに決めました。

また、片山慎三監督のスリラー映画『さがす』の脚本チームの一員である、高田亮さんが脚本を書かれているということも魅力に感じました。

(見出し画像参照 https://twitter.com/SIYmovie

あらすじ

ある大学生・雅也のもとに届いた一通の手紙。それは世間を震撼させた稀代の連続殺人鬼・榛村からだった。「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」。過去に地元のパン屋で店主をしていた頃には信頼を寄せていた榛村の願いを聞き入れ、事件を独自に調べ始めた雅也。しかし、そこには想像を超える残酷な事件の真相があった―。

(あらすじ参照 https://siy-movie.com/

私の感想

私は去年、この作品の映画化の情報を知り、櫛木理宇さんの原作『死刑にいたる病』を事前に読んでいました。映画では、シリアルキラー・榛村大和を阿部サダヲさんがまさに映像内で怪演、体現していて素晴らしかったです。

白石和彌監督は、色んな形の悪役を作ることに挑んでいる気がします。

例えば去年公開された『孤狼の血 LEVEL2』では、鈴木亮平さんが演じる上林というヤクザが登場しました。上林はとんでもなく超暴力的で、動き出したら止まらない。観ている観客を物語の中でグイグイ引っ張っていく、そんな激しい勢いを生み出す悪役という印象でした。

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(画像参照 https://www.korou.jp/#story

一方で『死刑にいたる病』のシリアルキラー・榛村大和は、はっきりと冷静でいて奇妙な足跡を残しつつ、面会に来る雅也、そして観客を物語の流れにジワジワとゆっくりと引き込んでいくという、そんな悪役だと感じました。

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(画像参照 https://twitter.com/SIYmovie

白石監督がこれからの映画作品の中で、どんな悪役を生み出していくのかも楽しみであります。

特に印象に残ったシーン

榛村大和と大学生の雅也が向き合う、面会室のシーンは印象的であります。
雅也を操るような榛村大和の雰囲気が面会室にも現れているのです。なので、長い会話シーンであっても飽きることなく物語に引き込まれます。

例えば、プロジェクションマッピングで榛村の回想シーンが浮び上ったり、榛村と雅也の互いの顔が重なるように映し出されたりするシーンは、観ていて榛村大和の世界観に巻き込まれているように感じます。

特に、貫通することのないアクリル板をスルリと抜け、榛村大和と雅也の指が重なり合ったり、榛村が雅也側に移動しに来る映像は奇妙でした。

どんな人に見て欲しいか

私はこの映画、ミステリーや犯人探しの映画は苦手だという人にもぜひ観に行って欲しいと思います。

白石和彌監督はパンフレットの中で、物語の流れや勢いが、回想や証言シーンで止まるのを避けたいとおっしゃっていました。

ミステリーの中で単調になりがちなところを、映像的なギミック、阿部サダヲさん・岡田健史さん・岩田剛典さんのこれまでとは違う一面で、退屈にならないよう作られています。ぜひ奇妙な物語の流れに乗ってみてください。

ぜひお薦めします🎬

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