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【普通の医師が最速で富裕層になる方法】を考察し実践してみた

割引あり



※文中の金融用語など、専門用語の意味を索引として最後に箇条書きで載せておりますので、併せてご参照ください。

はじめに

野村総合研究所HPより引用

 野村総合研究所が公表する日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模(2021年)によりますと、富裕層(純資産5億以上)は9万世帯(0.16%[偏差値80程度])、純富裕層(純資産1億以上)は139.5万世帯(2.5%[偏差値70程度])と案外多いことが見て取れます。

 一方、一般的に高収入といわれている医師ですが、私の同僚の医師たちを見渡すと、それほど富裕層が多い印象は受けません。原因は多岐にわたると考えられますが、そもそも、医師の過半数は勤務医です。医師とはいえ、給与所得のサラリーマン(労働者)であることに変わりはなく、大幅な給与所得の上昇は見込めません。

 参考までに、厚生労働省が2021年11月に発表した「第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告」によると、勤務医の平均年収(国公立・
医療法人など、すべての経営母体を含めた全体の数値)は、1,467万8,978円(平均給料年額1,314万7,020円+賞与153万1,958円)です。一般的な給与所得よりも高いことは言うまでもありませんが、富裕層を目指せるほどの高収入ではないことが実態です。

 また、金融知識の乏しい医師が多いことも原因のように思われます(医師は金融知識が無くともある程度収入が保証されており、生活に困ることはありませんし、もっとも激務に追われる医師は金融知識を身につける時間的余裕すら確保できないこともあるかもしれません)。

 トマ・ピケティ氏が著書『21世紀の資本』にてr(資本収益率)>g(経済成長率)を唱えたのは有名かと思いますが、高収入と呼ばれる医師が多少の金融知識を武器に資本収益を増幅させ、最短で富裕層到達を目指すとどうなるか。自分の経験を元に考察してみたいと思います。

中高編

 自分の投資歴は中学生まで遡ります。

 中学生の頃、海外旅行で使わなかったお金を日本円に戻したとき、わずかな利益(為替差益)を得たことが投資を始めたきっかけです。投資家である父親に、それはFXというのだと教えられ、ひょんなことから父親の口座を使ってFX取引を開始するのです。

 当初10万の資金を元手に1万円ほどの利益が出て、自分には投資の才があるのだと思い上がったものでした(ただのビギナーズラック)。しかし、さして勉強もしていない若造がそんな利益を継続的に出し続けられるはずもありません。

 朝起きたとき、チャートを見れば10万円全てを失ったことに気づきました(確かFOMCによる大きな市場変動があった時期だと記憶しています)。その上、証拠金が足らず、さらなる入金が必要と弱り目に祟り目です。

 300円のシャーペンを買ってもらっただけで一喜一憂していた中学生の頃の自分にとって、当時の10万は大金も大金です(今の感覚でいうところの1000万くらいの価値だったでしょうか)。このことを父親に伝えることができず、食事も喉を通らなかったのを今でも覚えています。

 最終的には父親も知ることとなるのですが、形容できないほどの悲しい表情を浮かべていたのです。「父さんが一所懸命働いて稼いで託したお金を、お前は易々と一晩で溶かしたのか…」と落胆されたのです。

 投資がいかに怖いものであるのか、そして無知がどれほど愚かであるのか、強烈に自責の念を抱くこととなりました。

 後に知ったことですが、自分が10万円を失った口座はデモトレード用の口座であり、1円も失っていなかったわけです。子供に投資の厳しさを教えるといった観点で見れば、ノーリスク超ハイリターンの投資に成功した一例でありましょう。

 痛い目にあった後にする行動は単純です。投資の勉強を開始するのです。しかし当時、学校の成績は芳しくなく、一旦、高校生活では受験勉強に集中することとしました。

 高校では政治経済(受験としては倫理政治経済)を勉強する程度とし、大学に入ってから本格的に投資を開始しようと決めたのです。

大学編

 大学に入学してようやく本格的に投資を開始します。

 目標は「贈与に頼らず、自分の力だけで20代で富裕層、30代で超富裕層」という壮大なものです。

 当時はまだ18歳の学生のため、親の承認を得て口座を開設したにも関わらず、口座をもったときは大人になったと感慨深く思いました。

 ネットではなく対面のみの取引が許された口座であったため、担当者の方に多くのことを教えていただきました。親と同じ担当者の方だったので、一定額まで上限を設けた上で、親の口座の投資提案なども行い、leverageを効かせずとも、初めからある程度多くの額を動かせたことは非常にいい経験となりました(当時はミニ株/単元未満株といった概念は、あまりメジャーではありませんでした)。

 大学は総合大学であったため、1、2年生の教養授業では経済学部の講義を多く受講しました。教授に保有銘柄を示して、インデックスに近づけるためにどのセクターを追加で買えばいいのかと相談した時にはとても面白がられたものです。

 学生として問題になるのは自己資本の低さです。投資自体は親の口座の運用の手伝いもしていたため、さまざまな銘柄を購入できましたが、自分の口座では一向に資産が増えません。親の扶養を外れない範囲(103万以下)まで家庭教師をしながら、稼いだ全額を投資に回しました(個人契約など、給与所得以外の所得は20万以内に抑え、確定申告を免れるように工夫しました)。

 20歳を超えてからは、ネット証券の口座を開き、信用取引にも手を出しました。学部の授業中は一番後ろでMacbookを広げチャートにへばりつきました。

 ところが、学生生活の多くの時間を短期投資に費やしたにも関わらず、リターンはインデックスと大差ないものであり、自分に短期投資の才が皆無であることを自覚しました。

 経済学部の講義で学んだ現代ポートフォリオ理論を中心とした株式(インデックス)と国債、コモデティなどに分散する王道の堅実な投資手法が一番コスパが良く、長期的に利益が上げられるとの結論に至り、卒業後はただひたすらにインデックスと国債のETF(コモディティは現物)を買いあさることとなりました。

 医師国家試験は受験生の9割が受かる試験であり、難易度はあまり高くありません。病院実習が終わり、時間的余裕のできた6年生の秋に簿記とFPの資格を取得しました。

 年100万を投資に回し、6年間運用すれば、純資産が1,000万を突破するのはさほど難しい事では無いでしょう(ちょうどアベノミクスの上層相場に乗れたということもあるかもしれませんが)。

研修医編

 親の扶養を外れ、やっと人並みの給与をもらえる段階になりました。医学部は一般学部に比べ、2年も社会人になるのが遅く、効率的に資産形成を行わなくてはいけません。

資産 = 前年資産 × ( 1 + 運用利回り ) + ( 収入 - 支出 )

 資産は上記で示されるため、資産を最大化するためには、変数である収入を上げ、支出を下げることを徹底するしかありません(自分の場合、運用利回りは年利10%程度であり、これ以上の利回りの上昇は投機的な投資に頼らざるを得ず、自分には短期投資の才能が皆無であることを自覚し、その選択は早々に諦めたため、ここでは定数として扱っています)。

 一方、ようやく医者になっても研修医のバイトは禁止されています(医者はバイトのほうが本業より割がよく、副業のため社会保険料がかからない)。

 ただし、コロナ禍においては、コロナワクチン接種に関連するバイトは限定的に許可されておりました。しかも、自治体によりますが、契約形態が業務委託になることが多く(おそらく雇用契約だと急な日程変更などで休業補償の必要性が出てくるためと思わます[過去の判例からは一般的に労働実態に鑑みて給与支払いになると思われますが、自治体が報酬支払いを堅持しました])、念のため、法人を設立しそちらで業務委託を請け負うという体裁をとり、法人に資産をプールし、自分への給与を支払わないようにすることで、副業ではないと反論できるように対策を行いました。

 法人経費を使うことで結果的に節税にもつながり、後々非常に役立つこととなります(個人でも小規模企業共済の活用等によって節税範囲が拡大する手段があります)。

 研修医は比較的時間のある病院が多いため(当時はちょうど働き方改革の導入が始まった時期でありました)、法人設立を行うのには適したタイミングかと思います。

 コロナワクチンのバイトは非常に割がよく、一回10万円を超えるものもざらにありました。当直明けなども駆使し、月に最低5回はワクチンバイトを行うことで毎月50万以上追加で収益を得、またそれは法人税で20%程度のみ課税されるため、非常に効率よく貯蓄を行うことができました。

 しかもバイトはワクチン接種後の患者さんの経過観察をするだけで、勉強時間として非常に有用で、堂々と医学書を広げ、ローテート中の科の勉強に勤しむことができました。研修医のころは月50万の投資を目標にし、年平均500万は投資に回すようにしておりました。

 また、ちょうどgo to eatが開始されたタイミングで3〜4ヶ月ほど、ほぼ食費がかからず、支出が格段に抑えられたことも非常に幸運だったと思われます。

 現在はワクチンバイトの収入も低下し、全く同じ環境の再現はなかなか難しいですが、産業医業や教育業、コンサル業、有料人材紹介業など業務委託契約は探せば存在するため、難易度は上がったものの、特段不可能でないでしょう。

 コロナ後の金融緩和に後押しされ(円安も重なり、2年保有するだけでも資産が倍になる)、この2年間で純資産の伸びが一気に加速しました(保有している法人の株式は100%自分の出資であるため、ここにおける純資産は法人と個人の貸借対照表を足し合わせた、連結決算においてのものです)。

 論理的にはここで、純資産が4,000万を超えてもおかしくないのですが、研修病院の場所柄、遊ぶところが多く、また服や旅行(go to travelをフル活用しましたが)に散財してしまったので、最適な資産運用ができませんでした(後悔はしてますが、若い頃の経験はお金では買えないと自分で言い聞かせています)。

専攻医編(現在)

 ここからさらに投入金額の上昇を狙います。

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