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【都会と田舎どちらに住むべきか】考察する

割引あり

※文中の金融用語など、専門用語の意味を索引として最後に箇条書きで載せておりますので、併せてご参照ください。

はじめに

 結論からいうと、都会に住むべきです。

 民主主義において主権は国民に帰属し、国民は仕事や居住移転の自由を享受できる権利が保障されています。ということは、人口がその町の魅力に相関することは容易に想像できるでしょう。

 都会の定義をGoogleで調べると、「人が多数住み、商工業が盛んでいろいろな文化的設備がある土地」と出てきます。要するに、町の魅力が人口と直結し、それが都会の本質的な定義を捉えていることが分かります。

 その上、都会では人口増加がめざましく、対称的に田舎では加速度的な減少が浮き彫りになっています。とりわけ現役世代が都会に集中し、将来的な都会と田舎の生産年齢人口の格差はさらに拡大するでしょう。

 財政基盤はどうでしょうか。総務省は毎年各地方公共団体の財政力指数を公表しています。財政力指数とは基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値です。財政力指数が高いほど、自主財源の割合が高く、財政が健全であると評価でき、逆に低いと財源を自力で賄うことができず、国の補助金である地方交付税に依存しているといえます。

 日本では1を上回っている都道府県は東京のみであり、鳥取県や島根県など人口の少ない県では0.3を下回っているのです。つまりそういった田舎は毎年大赤字を垂れ流し、国の財政支援無くしては存続がままならない状況なのです(地方交付税を財政支援と捉えることが適切であるかは諸説ありますが)。

 つまるところ、田舎の人は港区のタワマン住人よりも、遥かに高い社会的コストで贅沢な暮らしをしていることになるわけです。失われた30年と揶揄される日本経済の長期低迷の元凶の一端に、国の公的資金投入により淘汰されずに無駄に長らえたゾンビ企業の存在が挙げられますが、地方はそういった企業と構造的に酷似していると言えるでしょう。

 今まではそれでもなんとか持ち堪えていましたが、あまりに弱体化した現在の日本経済にそれを続ける余力は多くありません。以前、北陸地方で被災地の復興支援をどこまで行うかが話題となりましたが、社会的コストに見合ったリターンが得られないと判断された場合、復興すらろくにされず、見捨てられた場所と化してしまうリスクがあります。

 都会と田舎、それぞれを投資対象として見ると、将来のリターンを織り込んだ現在の評価額は都会が圧倒的に高く、田舎に投資する利点は微塵も見いだせません

 自分は大学卒業まで田舎で過ごし、卒業と同時に都会に転居しましたが、その際に感じた具体的なメリットを8点にわたって詳述したいと思います。

【メリット①】魅力的な人が多い

 都会に移ることで、交友関係が格段に拡大しました。

 都会のコミュニティは広範で、異業種の人々と出会う機会が大幅に増加します。例えば、外銀マンや商社マン、財務官僚、ベンチャー創業者、芸術家などさまざまな友人ができました。都会では医師資格を持つ人々でも医療以外の分野で活躍している例が数多く見られます。

 私自身、現在不動産業や医療・経営コンサルタント業などを副業で行っておりますが、これらの情報は都会で築かれた人脈から得たものばかりです。

 多才で卓越した知識をもつ友人たちとの交流は、新たな視座をもたらしてくれ、多様な経験を得る結果となりました。

【メリット②】仕事の機会に恵まれやすい

 都会は職の流動性が高く、自由競争により、労働(業務)に見合った給与(報酬)が期待できます(医療関係者の場合、給与が見合っていないことが一般的です)。

 医師であれば、医局に属さずとも、働き口は容易に見つけられ、また、当直無しやオンコール無しなど、希望通りの働き方も可能です。自費診療など保険診療以外にも様々な仕事もあります。

 こういった働き方の多様性は医師に限らず、他の職種にも当てはまるでしょう。需要は人口の多いところに生まれ、そこに労働力が供給されるのです。

 下記に指摘した手法は、実際、都会でなければスポットバイトが極端に限定されてしまい、その再現性が著しく低下することは明確であります。医療以外の業務委託の案件を探すのも難しくなってくるでしょう。

 給料面においても、同様のことが言えます。需要が多いとその分、給料も上昇します。厚労省公表の2022年の給与額においては最も高い東京と最も低い沖縄の間には1.5倍以上の差があります。

【メリット③】物価が安い

 総務省の公表する消費者物価地域差指数をみても、家賃を除いて都会の方が物価が高いとは言えません(家賃の差に関しては下記に記載の通り、車を手放すことで、解消されます。持ち家の場合は次の項で詳述)。しかも、これは都会の富裕層が購入する高級品を含んだ比較です。

 同じ商品であれば、都会と田舎で値段が異なることはほとんどありません(たとえば、吉野家の牛丼を東京で食べても地方で食べても払う金額は同じです)。一般的に家賃と最低賃金は都会の方が高いですが、牛丼の価格が変わることはありません。

 美しいイルミネーションに彩られた丸の内仲通りのテラスで飲むコンビニコーヒーと真っ暗な田舎の夜を煌々と照らすコンビニのだだっ広い駐車場で飲むそれの価格に差は全く無いのです(味は丸の内の方が心做しか美味しいかもしれませんが笑)。つまり、相対的に田舎の商品は割高であるといえます。

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