ジャズドラマーとしてのオシゴト
こんにちは。ジャズドラマーの浅井翔太です。今回はジャズドラマーがどうやって生計を立てているか、というビジネスモデルとしてのお話、ではなく、楽曲やアンサンブルの中でどのようなことをしているか、というお話です。ビジネスモデルのお話の方がウケそうですがそれはまた後日。(書くかわからんけど、、、)
まず、ジャズでは、どんな曲でもおおよそこのような順で楽曲が進行します。
・イントロ(テーマへの導入部)
・テーマ(決まったメロディを演奏する部分)
・アドリブソロ(1人ずつが自由に演奏する部分)
・後テーマ(最初のテーマと同じ場合が多い)
・エンディング(終結部。イントロと同じ場合もある)
そして、ドラマーがそれぞれの場所で求められるのは多分こんな感じ。
・イントロ→いい感じで叩きはじめる
・テーマ→いい感じでメロディを引き立てる
・アドリブソロ→いい感じで盛り上げる
・後テーマ→いい感じでメロディを引き立てる
・エンディング→いい感じで曲を終わらせる
もうお分かりでしょうか。これがジャズドラムの敷居を高くしている原因なのです。いい感じってどんな感じだよ。
では何故このようなことになるのか。実際にライブで使う楽譜を見て考察してみましょう。
ジャズの演奏で使う楽譜
このような楽譜をリードシートと呼びます。比較的少人数(4,5人くらいまで)で演奏を行うコンボという形態のバンドのときは、大抵メンバーそれぞれが同じリードシートを見ながら演奏します。もちろんドラマーも。
ちなみにドラムの楽譜というのは本来、こんな感じです。これはエイトビートというロック・ポップスでよく使われるリズムの代表的なパターンです。
つまり「ドラムはこう叩け」という具体的な指示がリードシートにはほとんどないんです。ドラマーはバンドに一人なので、そりゃ他の人に聞いたって「いい感じで」と言われるに決まってます。
ドラマーが行うべきこと
「いい感じ」な演奏をしたいので、私はこんなことを気にしています。
【1】周りの音を良く聞く
音楽を演奏する上で最も大切なことです。他のメンバーの音を良く聞きましょう。曲のテンポ、雰囲気はもちろん、ドラマーにとって重要な音量バランスやダイナミクス(強弱)が把握できるはずです。
【2】リードシートから必要な情報を読み取る
ドラムの楽譜ではありませんが、実はドラムの演奏に必要な情報がたくさん書いてあります。リズムパターン、フィルイン(曲を展開させる合図のようなもの)のタイミングを読み取れます。このリードシートの読み方に関しては今後の投稿でじっくり書いていきたいと思っています。
【3】たくさん曲を覚える
これは実際の演奏中にできることではないですが、ジャズミュージシャンはジャズスタンダードと呼ばれる有名な曲たちをたくさん演奏します。ある程度覚えると、似たような曲が多いことに気づきます。そうすると、知らない曲にも対応できるようになってきます。
ジャズを演奏をする上で必要な練習
では、前項で挙げたポイントを演奏に反映できるような練習とは何でしょうか?私の経験からいくつかご紹介します。
まずはルーディメンツ(Rudiments)。打楽器のフレーズの基礎の塊のようなもので、ジャズでは特にドラムソロで必要になってきますし、ルーディメンツをやるだけでスティックコントロールや音色が向上します。
次に4ウェイ・コーディネーション(4-Way Coordination)、四肢の独立です。リズムパターンを叩きながら、必要に応じてどこにでもコンピング(合いの手のようなもの)やフィルインを入れれなければなりません。それぞれの手足が干渉し合わないように訓練します。
最後にトランスクライブ(Transcribe)、偉大な先人たちの演奏を楽譜に表し、分析・考察して、最終的には真似して叩けるようにします。楽曲に対してのアプローチはもちろん、フィルインなどのフレーズ、ドラムソロの組み立て方などは一目瞭然です。しかしそれ以上に、楽譜では書き表せないものに気づくことが重要です。
普段私は主にこの3点の練習しかしていません。よっぽど苦手だったり複雑な曲を演奏する場合はみっちり練習しますが、そうでなければあとは基本現場でリードシートを読むだけです。(とは言いつつ、ライブではジャズ以外の曲もやったりするので、リードシートの情報だけではわからないことが多そうな場合は事前に曲を聴いて確認したりもします。)
というわけで、今回はジャズドラマーとしてのオシゴトのお話でした。最後は結構突っ込んだところまでお話しましたが、よく分からないイメージのあるジャズや、ジャズドラムについて少しでも理解が広まってもらえたら嬉しいです。特にドラマーの方は今後書いていく記事をぜひチェックして一緒に練習しましょう!
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