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ミニバスからNBAまで変わらないバスケットの原理原則

三菱東京UFJがベア廃止し実力主義に舵を切り、日産が260憶円の赤字で、1万2000人のリストラ。大企業関連のニュースを見て、サラリーマンの「休まず、遅れず、働かず」が通用しなくなり、「思考し、行動し、価値を生み出す」起業家のようなことをしなければ、何もせずに富を得ることが難しくなるのだと感じました。

※ベア: 企業において基本給を全体的に 底上げすること、あるいはその昇給額・昇給率を意味する語。「ベースアップ(base up)」は和製英語である。

これにより、「窓際族」と呼ばれる「働かないおじさん」たちの給料は上がることがなくなり、45歳での早期退職など、会社も人件費を削る方向へ向かっていることをひしひしと感じます。

加えて超高齢化社会、人口減少、AIの台頭なども影響し合い、「今まで」の感覚で生きていては取り残されてしまうでしょう。

一方で、個人で発信でき、個人で信用を作れる時代にも転換しており、ここには少しばかりの希望が持てます。大きな企業が軒並み業績低迷する代わりに、個人で価値を提供し、自分の力で富を生み出すことができることは、不確定な世の中において大切な資産の一つだと思います。

自転車が、こぎ続け、走り続けるから「安定」するように、人生も思考し行動し続けるから本当の意味で「安定」するのだと思います。サラリーマン・公務員=「安定」というのは、一昔前の考え方であり、アップデートしていかなければならないと感じました。

ということで、本日も「発信」をします!

今回は、チーム作りの第2弾。チームのバスケットに対する共通理解について、私が実際にやってきたことをまとめてみました。

※サラリーマンが働かないというような表現をしましたが、「全てのサラリーマン」を指してはおりません。「働く」の定義は、「言われたとおりにこなす作業」を除外し、「自分で考えて価値を生みだし伝える」ことを「仕事」と定義しています。

「こめかみに銃を突きつけられた状態」でシュート打つならどこから打ちますか?

いきなり過激な表題ですが、要するに「外したら死ぬ」という究極の状況で打つシュートはどのシュートですか?ということです。

この状況で、ステップバックやディープスリーを選択できる人間は「死を恐れていない」奇人しかいません。私が知る限り、漫画の世界の「アカギ」ただひとりです。※アカギ知らない方はすみません。下記画像を見ていただけると、「ヤバい奴」ということが直感的に分かると思います。

アカギ

アカギのように「自分の死を1ミリも恐れない」常軌を逸した感性は持ち合わせていない、普通の感性の持ち主はどこからシュートするでしょうか?

おそらく、99%の人が、ゴール下のシュートを選択すると思います。

ダンクできる人なら確実にダンクを狙うでしょう。

ここの考察から、一つの真理が浮き彫りになります。

「ゴールに近いほどシュートの確率が高くなる」

文字にすれば当たり前ですが、分解練習をすればするほど忘れやすい真理です。

ノーマークが前提ですが、これはどのプレーヤーにも当てはまる原理原則であり、スリーポイントよりも、ゴール下のシュートの確率が高いことは

この圧倒的な事実を基に、バスケットの戦術面での共通認識を明確にしていきます。

1対0をつくる

ゴールに近いほどシュートの確率が上がるのは事実ですが、実戦ではディフェンスがいます。

ディフェンスがいるとなった場合は、先ほどの原則は成り立たなくなります。例えば、2m13cmの選手がゴール下にいたとして、ゴール下からシュートを打っても入る確率は極めて低いことが分かります。

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ディフェンスを想定した場合は、ディフェンスが待ち構えるゴール下よりも、ディフェンスがいない状況でのほかの場所からのシュートの方が確率が高くなります。

しかし、ディフェンスがいる状況でのシュート率など正確には測れず、状況や距離、体格差など変数が多すぎるので、複雑に考えず、先ほどの原理原則に当てはめて考えていきます。

シュートの期待値を基に考え、「ゴール下かスリーポイントを狙え!」という主張もありますが、期待値は「現状のシュート確立」から割り出したものであり、チームによって変わります。また、どのプレーヤーが多くシュートを打つのか、そのプレーヤーの特徴は何か、は考慮されていません。期待値を基にチームが打つべきシュートを決めてしまうと、逆に窮屈になるので要注意です。基本的にはプレーヤーの特性を基に、得意なパターンで点を取るようにする方がシュートが入ります。期待値はその結果を数値化しただけです。※NBAのように全員がある程度どのシュートもコンスタントに入る場合は有効な場合もあると思います。

すなわち、ディフェンスがいない1対0の状況を、なるべくゴールの付近で作り出すことを考えるとバスケットの形が見えてきます。

1対0の定義

さて、1対0をいかにゴールの近くで作るか?ということを考えるには、1対0とはどんな状態なのか?を明確にする必要があります。

まず、1対1を「ディフェンスがシュートを防げる状況」とすると、1対0は「ディフェンスがシュートを防ぐことができない状況」となります。

例えば、ステファンカリー選手は少しのズレがあれば、スリーポイントを決めてきます。見た目には1対1の状況ですが、ディフェンスが防げていないので1対0となります。

また、身長2m以上の選手に身長145cmの選手がゴール下でついているような状況も、見た目には1対1ですが、「ディフェンスがシュートを防げない」ので上記の定義から考えると1対0とみなします。

1対0と言っても、まったくのノーマーク、いわゆる「どフリー」だけではなく、選手の能力やスキルによって、1対0の具体的な状況は変わります。

しかし、「どフリー」に近いほど、シュートを邪魔される確率は高まるので、【より「どフリー」に近い状況を、よりゴールに近い場所で作る】ことが、バスケットを確実に有利に進めます。

そして、この状況を作ることをチーム全員で共有しておかなければ、そのあとに行なう練習の効力が半減してしまいます。

また、個人練習というのは、「1対0の幅を広げること」に費やすのが得策です。見た目には1対1だが、自分の中ではフリーと同じ感覚でシュートが打てる選手は「上手い」と表現されます。

1対0を作るには?

1対0をつくる方法は無限にありますが、大きく分けると2つ。

ひとつは、自分がボールを持ち、ドリブルで抜き去る、またはステップバックで離れる、または、ポストで押し込む、など、1対1を仕掛ける方法です。

もう一つは、オフボール(ボールを持っていない)の際に、ディフェンスを振り切って1対0の状況を作り、パスを受ける方法。

どちらの方法でも結果的にリングにボールが通過すればOKなのですが、「難易度」に差があります。

自分でボールを持った状態から1対1で崩して点を取るには、ある程度の「スキル」が必須です。また、相手のディフェンスもボールマンにしかシュート権利がないことを知っているので、予測されやすく、ディフェンスのレベルが上がるほどに、一人で1対0の状況を作るのは難しくなります。

対して、オフボール時に動く方法は、ボールがない分自由に動けるので、シュートが打てる状況をつくる難易度は下がります。体格を利用して押し込んだり、出し抜いて裏を突いたり、スクリーンを使うなど、方法がたくさんあり、ディフェンスもボールマンに集中しているので、出し抜ける頻度も上がります。一つ欠点を上げるとするなら、ボールを保持していないために、「シュート権利がない」ことです。いくら「どフリー」を作ってもボールが来なければ点数にはつながりませんので、「パサー」の協力が必要です。

総合的に考えると、オフボールでフリーを作り、そこにパスをするのが一番楽に点数が取れると私は考えています。

理由は2つ

1つ目は、ドリブルで抜き去るよりも、パスするほうが動作がシンプルだということ。ドリブルで抜き去るには、ドリブルコントロール、ステップコントロール、緩急など、様々な要素が必要です。しかし、パスというのは、ボールさえ投げることができればいいので、実戦のハードルが低いです。投げ方はどうでも、投げたい場所にボールを投げることができればクリアなので、バスケを始めたその日からでも習得できます。

2つ目は、ドリブルで移動する速度よりも、パスしたボールの速度の方が速い。どんなに反応速度や足が速い選手でも、人間が投げたボールよりも早く動くことはできません。ボールを運ぶことを例にとれば、ハーフコートまで1人でドリブルして走るよりも、一人がハーフラインを超えた状態を作り、そこにボールを投げる方が圧倒的に速度が速いです。スタミナ面も節約でき、ボールが速く移動するということは、ディフェンスにとっても嫌な印象を与えます。

コートでの優先順位

以上から、「ゴールの近くで、オフボール1対0の状況を作り、そこにパスを出す」ことを中心にバスケットを考えると、チーム全体にゴールのイメージが共有しやすく、「まとまり」が出てきます。

ひとつの例ですが、コートの場所に「優先順位」をつけると、細かなセットオフェンスのパターンを覚えなくてもフリーで良いオフェンスができます。

優先順位

上のように、優先的に狙う場所をチームで共有しておくと、パサーとレシーバーの協調が上手くいきやすく、「邪魔しない」「見る」などの、体系化して教えるのが難しい部分も自然発生的に現れます。

基本的には、オフェンスは優先順位1でフリーを作ること、そこにボールを投げることを考える。1番がダメな場合は、ほかの場所から狙うように意識する。1を狙うことで相手からしても「嫌な」オフェンスになり、結果的に優先順位3番、4番でのシュートが打ちやすくなります。また、全員にガードのようなパスの能力が付き、自分が攻めながらも、より優先順位の高いフリーのプレーヤーを見る力も同時に身についてきます。

優先順位が高くても、1対0でないなら、優先順位を下げてでも、1対0を優先します。1対1でディフェンスがいるゴール下へ無理なレイアップで突っ込むなら、「どフリー」でスリーポイントを打たせる選択をします。あくまで1対0が最優先と考えると、シュートの確率は結果的に上がり、流れるようなオフェンスができます。

「ゴール下で強く勝負!」「リングにアタックしろ!」というチームのフィロソフィーもあると思いますし、否定する気は1ミリもありません。もちろんそれもできた方がいですが、ボールマンが主体のチームにするには、かなりのスキルと身体能力が要求されるので、万能の作戦とはいいがたいです。逆に、レシーバーが主導となり、そこにボールを落とす戦術は、どんなレベルでも通用しやすいです。

カンタンで確率の高いシュートに持っていくには、「パス」が大切です。私の考え方ではパスは逃げではなく、立派な攻撃です。シュートを徹底的に練習するのは、大前提ですが、「パス」によって、どれくらいのシュートが失敗するのか考えると、「パス」はもはや「シュート」の一部です。

ディフェンスが最強のオフェンス!

最後に、上記の優先順位が一番がら空きの状況を考えてみましょう。

ハーフコートでのオフェンスで優先順位1番でフリーをつくるのは至難の業です。歴が浅いバスケなら、ディフェンスが分かっていなくての「ゴール下がら空き」があるかもしれませんが、ディフェンスが分かってくるほどに、ゴール下は複数人に囲まれます。

優先順位2番も同様になかなか場所を取れません。場所が取れてもピッタリとマークがつくと思います。強いチームのディフェンスに当たると、優先順位4番でしかボールが回らないなんてこともあると思います。※高校時代は足立学園の1-3-1という未知のゾーンディフェンスに苦戦した記憶があります。

ハーフでがっちりディフェンスをセットされると、崩すのは難しいです。これは、ミニバスからNBAまで変わらない原則の一つです。

しかし、相手がオフェンスをしているときはどうでしょう?

全ての優先順位の場所が「ガラ空き」です。

バスケットはほとんどのチームが5人でオフェンスに参加すると思います。ルール上は1人でも3人でもOKなので、「2人を陣地にディフェンスで残し、残りの3人がオフェンスをする。」ような作戦も考えられます。しかし、オフェンスの効率が悪いので、全員がオフェンスに参加するのが99.9%のチームだと思います。※まれにオフェンス中に監督に呼ばれて、1人が監督と話していて、4人でオフェンスしているシーンなどは高校の練習試合あるあるだと思います。笑

ということは、ディフェンスで良い形でボールを奪うことができれば、簡単に良い優先順位の位置でフリーができます。

いわゆる「速攻」「ファストブレイク」です。

中高生は、「なんであんなに走るのか?」という疑問がここで解決しますね!スキルがないプレーヤーが一番確立高く得点する方法は、ディフェンスで奪って、走って、相手が戻る前にレイアップなんです。どのレベルのバスケでも、まずは、ファストブレイクを狙い、その次にハーフオフェンスということは変わらないです。

バスケットの区切りかた

ほとんどのプレーヤーは、ハーフコートでセットオフェンスし、次に戻ってディフェンスし、ボール運びを完了し、またハーフコートのオフェンスから始まる。このように、ハーフコートオフェンスからプレーが始まるイメージをもっています。

しかし、これでは、優先順位1番が狙いにくく、点数を取るためには、スキルと身体能力が高くなければ難しい展開になります。

強いチームはどんなイメージで区切っているかというと、

ディフェンス、リバウンド、速攻、ハーフオフェンス、ディフェンス・・・

というように、自分たちのオフェンスは、ボールを奪うところから始まるイメージを持っています。ボールを良い形で、狙い通りに奪えると、ファストブレイクがやりやすいですが、相手に得点された後は、ファストブレイクが出る確率が下がります。

ディフェンス=守りというよりも、ボールの奪い方を考えており、もはやオフェンスの一部と考えると、もっとシンプルなバスケットが展開できます。

弱小校でも強豪にかみつける

以上の基本的な考え方は、実際に私が中学生のコーチをしていた時に共有したことです。

1回戦負け常連の学校が、区内で優勝する学校と接戦をするようになりました。

細かなスキルや、戦術、フォーメーション、セットオフェンスなど、具体的な部分にフォーカスをする前に、バスケットの原理原則、誰が行っても変わらない普遍的な部分を抑えなければ、末端の練習の意味は伝わりません。

チームが上手くいかないときは、戦術をいじるよりも、このような原則を共有し、全員で理解するだけで、雰囲気がガラっと変わるかもしれません。

原則を抑えた中で、プレーヤーの「個性」が光ると、チームは上手く機能してきます。


最後までお読みいただきありがとうございました!

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