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2023年読了まとめ

読了だけじゃわからないと言われたので、最近読んだ本の感想をまとめてみることにした。2023年に読んだ本と、2022年の後半を少しだけ。

★は個人的なオススメ度の5段階評価

2022年

大局観(羽生善治)

★★★☆☆
勝負における思考や練習の在り方、羽生善治としての考え方に触れることができる。読んで損はないが、同じことができるかどうかは別の話である。MTGでも似たような感覚を持ったことがあるなと共感できる部分は多々あった。

Death「死」とは何か(シェリー・ケーガン)

★★★☆☆
「死」に関する哲学の本。死ぬとはどういうことなのか、様々な角度から分析する。明確な答えがあるわけではないモノに対して追求する学問の難しさを感じる。自分と違う意見を持つ部分について、直接聞いてみたくなるが、目の前にいるわけではないのが残念になった。

夏の災厄(篠田節子)

★★☆☆☆
社会的に非常にタイムリーな内容である「感染」をテーマにした小説。初版は1995年だが、今だからこそ感じるもどかしさがあった。

2023年

嫌われる勇気(岸見一郎、古賀史健)

幸せになる勇気(岸見一郎、古賀史健)

★★★★☆
『嫌われる勇気』はアドラー心理学に関する書籍。アドラー心理学について非常に簡単に学べる。因果関係の否定や、共同体感覚、自分と他人の課題の分離など、一般的な考え方から少し外れた視点を学ぶことができる。対話形式で読みやすく、アドラー心理学に触れたことがない人にはオススメの本。なお、続編として『幸せになる勇気』が発売されているが、前作のような真新しさはないので、『嫌われる勇気』だけ読めば十分かと。

エッセンシャル思考(グレッグ・マキューン)

エフォートレス思考(グレッグ・マキューン)

★★★★☆
こちらも2冊。Essential(意味:絶対不可欠、必須の)とEfforfless(意味:気楽な)という名を冠し、どちらも自分の生活の中で役立てられる考え方や行動について指針を示す書籍。特に『エッセンシャル思考』の方が面白く、要は「本当に重要な物を見極めて行動しよう」という話。自分としては「あーわかる!」という感じだけど、人によっては「そこまでして大丈夫なの?」と感じる人もいるだろう。『エフォートレス思考』は前作と内容が被る部分が多いので読まなくても良いかな。

六人の嘘つきな大学生(浅倉秋成)

★★★★☆
就職活動中の大学生を描いた小説。色々な布石やミスリードが散りばめられていて混乱するが、結末まで含めて非常に面白かった。情景をしっかり想像しながらじっくり読み進めてほしい。

トップ1%だけが知っている「お金の真実」(俣野成敏、中村将人)

★☆☆☆☆
知人の経営者にすすめられて読んだ本。ところどころおかしいことが書いてあるし、全体的に断定する言い回しや強迫的な書き方がされていてあまり好きではなかった。しかし、非常に読みやすく、お金の在り方について必要な知識を得ようとする第一歩としては良いと思う。

これからの「正義」の話をしよう(マイケル・サンデル)

★★★★★
この本を読むのは3回目。「正義」とは何か?哲学的観点から様々な考え方を体系的に教えてくれる一冊。この本か、NHKで放送された「ハーバード白熱教室」のどちらかは一度触れておくべきだと思っている。自分の考え方を客観的に見ることができるようになるし、自分とは違う考え方があるということを教えてくれる。友人曰く「読むと視点や考え方が変わる」本である。

白鯨(メルヴィル)

★☆☆☆☆
アホほど長いのに対して、ほとんど延々とクジラの生態の話をされるので、小説というよりは鯨の学術書みたいなもの。この当時ってこういう方法で知識の伝達をしていたのかな?

そして誰もいなくなった(アガサ・クリスティー)

★★★☆☆
不朽の名作ミステリー。結末までしっかり面白い。

ユーモアは最強の武器である(ジェニファー・アーカー、ナオミ・バグドス)

★★☆☆☆
参考にはなるんだけど、ユーモアが凄くアメリカン。日本で同じことやっても反応違うだろうなってのが一番先に来てしまう。

戦争は女の顔をしていない(ウヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)

★☆☆☆☆
延々と戦争に関する語りを聞いている状態。次に紹介する本を読もうとしたところ、この本からの引用があるということで先に読んでみた。戦争の語りを聞くのは良いけど少し長すぎる。もうちょっと編集が必要じゃないかな。

同志少女よ敵を撃て(逢坂冬馬)

★★☆☆☆
第二次世界大戦中のロシアを題材にした小説。リアルな戦争が描かれている。ハッピーエンドとかそういうの絶対ないじゃんって最初の方読んだだけでわかる。描写がエグい。

情報を正しく選択するための認知バイアス事典世界と自分の見え方を変える「60の心のクセ」のトリセツ(情報文化研究所)

情報を正しく選択するための認知バイアス事典行動経済学・統計学・情報学編(情報文化研究所)

★★★★☆
論理学、認知科学、社会心理学、行動経済学、統計学、情報学など、さまざまな学問的視点から人間の認識のズレをまとめてくれた一冊。まさにこういうの欲しかった!といった事例がまとめられている。

話し方で得する人損する人(五百田達成)

★☆☆☆☆
内容が薄い。参考にはなるけど、買って読むほどのことはない。

シーソー・モンスター(伊坂幸太郎)

★★☆☆☆
小さなところで大きな争いが繰り広げられる。伊坂ワールド全開という感じ。気軽に伊坂ワールドを楽しむにはいい感じの小説。

聞く技術聞いてもらう技術(東畑開人)

★★☆☆☆
目新しい情報ではないが、「きく」という行為に関する様々な技術が書かれている。

未必のマクベス(早瀬耕)

★★☆☆☆
シェイクスピアのマクベスをなぞるように展開される小説。悪くはないんだけど、感情移入もできないし、色々としっくりこなかった。

本と鍵の季節(米澤穂信)

栞と嘘の季節(米澤穂信)

★★★★☆
米澤穂信の図書委員シリーズ。初めての米澤穂信作品だが、非常に読みやすく、細かい違和感が1つ1つしっかりと回収されていく感じが読んでいて気持ちが良かった。ミステリーの入門に最適。それほど長くなくてサクっと読めるので、気合を入れずに楽しめる。素晴らしい娯楽小説だと思う。

母という呪縛娘という牢獄(齊藤彩)

★★★☆☆
あの有名な事件を、インタビューを元に描いたノンフィクション作品。どギツい内容だが、あの事件についてしっかりと語られている。まさに事実は小説より奇なり。

20歳の自分に受けさせたい文章講義(古賀史健)

★☆☆☆☆
言葉や思考を文章におこすためにどうしたら良いかについて書かれた本。話すことはできても書くことはできないという人は読んでみても良いかも。

対話型マネージャー(世古詞一)

★☆☆☆☆
マネジメントにおいて必要な対話の手法を非常に具体的かつ実用的な内容でまとめた本。すぐに実践したい人には良いと思う。

容疑者Xの献身(東野圭吾)

★★★★★
現代ミステリーの名作。序盤の静けさのおかげで、最後の激流に耐えられないくらい衝撃を受けた。ドラマもあるが、小説の方が描写は細かく、感情移入のレベルが全く変わってくるので、とりあえず小説を手にしてほしい。そして、できればすべての解説が入る前にトリックに気付けるくらいしっかり考えながら読んでほしい。トリックに気付いた瞬間は本当にゾワゾワっとしたし、最後の咆哮は泣きそうになった。2023年に読んだ中で一番面白い小説だった。

氷菓(米澤穂信)

★★★★★
アニメ化もしたらしい小説。これを読んで、とりあえず米澤穂信の作品はドレ読んでも大体面白いんだろうなと思った。古典シリーズの一作目だが、図書委員シリーズ同様にしっかり伏線が回収されてすっきり終われる。気持ちが良い。2時間半で読み終わるくらいサクサクなので気軽に読んでほしい。ライトノベルというジャンルに属しないと思うけど、これほどライトに読める小説はなかなかない。

ウォーレン・バフェット賢者の名言365(桑原晃弥)

★★☆☆☆
世界一の投資家の言葉をまとめた本。良い言葉が並んでいるが、ところどころ自己矛盾していたり、同じような内容が連続したりしている。ただ、基本的な考え方には学べる点が多いので読む価値はあった。365じゃなくて30くらいで十分だったけど。

手紙(東野圭吾)

★★★☆☆
罪を犯した兄を持つ弟の苦悩を描いた小説。東野圭吾もハズレがないなと思った一作。『容疑者Xの献身』ほどの感動はなかったが、しっかり面白い。少しだけ『母という呪縛娘という牢獄』と同じような雰囲気を感じた。

三体(早川書房)

★☆☆☆☆
知人の中国人ママが見つけてテンションをブチアゲてた。中国で有名なSF小説らしい。ただ、読んでみたものの、何を言っているのか何を描きたかったのかよくわからず、思い描いた妄想をただ文章に起こしただけに感じてしまった。中国人なら違う感想が出たのだろうか?

傲慢と善良(辻村深月)

★★☆☆☆
結婚、というか婚活する男女を描いた小説。全体的なストーリーは突飛な感じがするが、細かい部分、友人たちとのやり取りや、婚活に向かう気持ちなどが非常にリアルに描かれている。人によっては自分のことを言われているようでドキっとするかもしれない。

道徳形而上学原論(カント)

★☆☆☆☆
読むには読んだけど、全然理解できなかった。訳が古い所為か、聞き慣れない文章すぎてダメだった。それでも、定言的命法や普遍的法則など部分的に「あ、これ知ってるヤツだ」となるような話が載っていて嬉しかった。多分、カント本人の著書じゃなくて解説本とか読んだ方が良かった。

白夜行(東野圭吾)

★★☆☆☆
人間模様や、様々な謎が散りばめられて面白い。ジャンルはミステリーなのだろうか?ただ、長いし、非常にモヤモヤする内容ではある。

人は話し方が9割(永松茂久)

人は聞き方が9割(永松茂久)

リーダーは話し方が9割(永松茂久)

★★★☆☆
話し方が9割というから、身振り50%・抑揚40%・内容10%みたいな感じでもっとコミュニケーションに関する学術的な視点から「話す内容よりも話し方が重要である」ということを説明する書籍だと思ったらそんなことなかった。もっと実践的で具体的な内容で、事実や経験に基づいたコミュニケーションについて書かれている。1冊2~3時間程度で読めるし、文章の読みやすさは◎。「学ぶ」というよりは、「知る」であり、実際に役立つ内容ではある。





読書量が多い方ではないが、環境に後押しされてそこそこの冊数読めた。一年で読んだ冊数なら人生最多ぐらい。なお、継続するかどうかは環境の変化次第。

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