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国際協力NGO職員が鬱になったはなし

はじめに

私は、大学院卒業後、国際協力を行うNGOの職員として働いてきました。2023年4月で、NGO職員生活は7年目に入ります。そんな私のNGO生活3年目後半、コロナ禍に突入する少し前、メンタルがズタボロで、常にどん底状態にありました。

同じ状態に陥ってしまう人もNGOや国際協力をやりたい人には多いかもと思います。そしてもちろん業界に限った話ではなく、誰にでも起こりうることかと思うので、ここでお話します。

私に起きたこと、鬱状態って?

まず、私に何が起ったのかを詳しく見て行く前に、その当時の状況について振り返ります。当時は、NGO生活3年目。

国際協力事業もなんとか一人でこなせるようになってきて、他にも広報活動などさまざまな取り組みに目が行くようになり、仕事の充実感を感じるとともに、もっと結果を出さなくては、このままでいいんだろうかと焦りの気持ちが大きかったです。

同じ団体内の他の人や、他団体で状況が似ている人の仕事ぶりと自分を常に比べてしまい、なんでもっといろんなことができないんだろうというのを考えていた時期でした。

NGOとして働くと、周りの友人から活動の応援などをしてもらう機会も多く、あまりこうした仕事の悩みを周囲に受け開けることができないまま、仕事で達成したこともあるはずなのに「できない」「できていない」という感情ばかりを積み重ねてしまっていました。

その結果、何が起きたかというと、
①夜眠れない
②勝手に涙が出てしまう

という2つの症状が私の身に現れました。

体も頭もヘトヘトに疲れているのに、全然眠れない。そして夜ひとりの時や、職場に人がいない時、仕事の行き帰りの電車の中など、泣きたいと思っていない時に突然涙が止まらなくなってしまうことがありました。

感情のコントロールがうまくできておらず、仕事の会議中に感情が昂ってしまうこともたまにあり、明らかにこれまでの自分ではないなというのに気づきはじめました。

異変に気付いてからやったこと

その後の行動について、どのようなアクションを起こすのが適切かについては、原因やその人の置かれている状況によって、本当に一人一人違うアプローチが必要だと思うので、参考程度に聞いてもらえればと思いますが、私がこの状況を自覚してから行なったことは以下の4つです。

①友達に相談する
②メンタルクリニックに行く
③仕事を休む
④コーチングを受ける

私の場合は、まさに①から④の順番に実行していきました。

①友達に相談する
まず、一番大きかったのが信頼できる友達に話を聞いてもらったこと。私の場合、家族や職場にはあまり相談できず、友人に話を聞いてもらったのがとても大きかったです。

グジグジ、メソメソした話を日々聞き続けるのは、友人にもきっと辛いことだっただろうなと今考えると思いますが、そばで寄り添って「病院行ってみたら?」「それは頑張りすぎだよ!」「休んで」と声をかけ続けてくれたおかげで、次の一歩を踏み出すことができました。

②メンタルクリニックに行く
友人の勧めもあって、メンタルクリニックへ。やはりここで鬱状態という診断をもらい、薬を飲むことになりました。鬱を抑える薬と夜眠るための薬2種類を飲んでいました。

メンタルクリニックに駆け込んだ時期は、寝られないことがますます悪循環を引き起こしていたので、薬で状況を緩和することができ、少し体や心が軽くなったのを覚えています。私の場合、長く薬を飲むのは、それ自体がプレッシャーになってしまったため、相談の上、すぐ薬はやめて様子を見ることになったのですが、応急処置的な感じではとてもよかったです。

③仕事を休む
次に、薬で少し落ち着いた後に、2週間ほど仕事を休みました。有給目一杯使ってしまった感じで、休んだことで職場にも迷惑をかけましたが、今となってはこの思い切って休んだ時間がとてもよかったと思います。

正直な話、2週間では足りなかったのですが、ちょうどこの後からコロナによるリモートワークが始まったので、仕事はしますが、出勤自体は減り、状況が変わったことで、段々と調子がよくなってきたと思います。リモートワークがなかったら、もしかしたら、傷病休暇などを申請していたかもなあと思います。

④コーチングを受ける
その後、少しずつ前を向いて行くためにコーチングを受けました。コーチングを受けたことにより、自分の気持ちや目標を整理できたことが、結果的に私にはとても良く、このプロセスを持ってやっと状況を落ち着かせることができたと感じています。

鬱状態を自覚してからのこれまでとこれから

鬱状態を自覚してから、すでに2年以上が経過しました。メンタルクリニックへの通院や薬はとっくにやめてしまったのですが、今のところ、以前より断然調子よく過ごしています。この2年はそれまで以上に意識して自分と向き合う時間が増やし、自分の気持ちに無理をして物事を詰め込むというのがなくなってきたので、我慢せずに過ごすことができているためだと思います。

ただ、すぐに万全な調子になったわけではなく、1年、2年とゆっくり回復してきたような気がします。

鬱を自覚してからの1年は、仕事で誰にも迷惑をかけずにきたかというとそういうわけではなく、謝りながら、できない自分を受け入れながらの1年間を送りました。この間に学んだのは、「やりたい!」「頑張りたい!」だけではだめなんだということ。やりたいをやり続けるために、頑張りたいを無理せず続けるために、限界を超えすぎないよう自分の気持ちや働き方にも向き合いながら、「私がなんとかしなきゃ」とがむしゃらに頑張りすぎるのではなく、もっと自分自身も働きやすくなる仕組みや組織のあり方を考えなくてはいけないなと思うようになりました。

鬱状態を自覚した時は、常に仕事をやめることを考えていて、今も全く考えないわけではありませんが、やっぱり好きではじめたこの仕事を続けていきたいという気持ちが大きくなっています。NGOや国際協力の現場で、頑張りすぎて鬱になってしまう人ってあまり表には出てきませんが、きっと多いだろうなと思っているので、今後は業界のこうした状況にも目を向けて、みんながより働きやすい業界になるように考えていきたいと思います。

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