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時間の無い世界で、また君に会う 序章①時間と人の物語

電車の出発アナウンスがホームに鳴り響く。

「やばいやばい。遅刻遅刻!」

ドアが閉まる瞬間、忍びのように電車に飛び込んだ。

「セーーーフ!」と言いながら息を整えて目を開ける。

人、人、人。

360度人であった。

満員電車はまるで時間に縛られて生きている人々を乗せる貿易船である。

電車を降りて、学校に向かう途中にも似たような光景を見る。

遅刻しそうになると鉄砲から逃げるように全力疾走で会社や学校に向かう人。

まさにこの世界は"時間に支配された世界"なのである。


満員電車の人混みにもまれながら、僕はスマホで「時間 歴史」と入力した。

"大きな川の近くに古代文明が誕生した。

生きる上で必要な食料の確保のためか、農業をするようになった。

その農業の発展に欠かせなかったのが季節の概念と把握。

例えば、エジプトのナイル川は毎年夏に氾濫していた。

氾濫による洪水は多くの栄養を運んでくれるが、被害も多い。

その氾濫の時期を予測することによって、恵みの恩恵を受けつつ、被害は回避することが可能となったのである。"

「なるほど。衣食住のように生きる上で必然的に誕生したのか」

そう納得した頃にちょうどドアは開き、僕は降りた。


学校の授業は退屈だけど唯一楽しみな教科がある。

大好きな歴史の授業である。

「今日は天智天皇の話をするぞ!天智天皇は日本最初の時計を作ったんだ。それを…」

一人静寂な森の中にいるような気持ちで、時間ってないと困るものはあるのだろうか…と考えていた。

満員電車で調べていた時間のことが気になっていた僕は、先生の話が聞こえないくらいに夢中で考えていた。

「時間(ときま)!中大兄皇子とタッグ組んで大化の改新進めたやつわかるか?」

先生からのとっさの名指しに動揺して「なかとみのかたまり!」と答えた。

教室は笑いの渦に包まれたが、夢中になっていた僕にはなぜ笑いが起こっていたのかはわかるはずもなかった。

その夜、家に帰りながら相も変わらず"時間"のことを考えていると、一枚の紙が落ちているのを見つけた。

~to be continue~


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