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「シェアのゆくえ」奇妙で不思議な5分ショートショート短編 vol.4 (4/7)

気がつくと、大企業や研究所のような信頼できる雰囲気のページがたちあがっていた。一番上には、自分のやりたいことにむかって輝いていそうな笑顔の人々の写真が掲載され、その下には、誠実な印象の文字で

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〈ようこそ、潜在能力研究所へ。あなたは特別な選ばれた人です。だれもが幸せにくらす、すばらしい世界には、あなたの協力が必要です〉

と表示されていた。

〈潜在能力研究所は政府に認定された機関です。この能力診断テストは、ある役割を担う人を選抜するために開発されました。このテストで満点をとった、あなたのような人を私たちは求めています。すばらしい世の中を作るため、あなたの協力が必要です。次回開催される特別な催しに、あなたは招待されました。ぜひ、ご参加ください〉

説明文を読み終わる頃、スマホにメッセージが届いた。研究所からだ。メッセージには、催しの集合場所とその日時が記載されていた。へんてこな模様の画像も添付されている。

集合場所は、だれもが知る大都市の一等地、しかも、その地域で一番高いビルが完成したと最近話題になっている高層ビルの最上階である。

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「今話題の有名な場所じゃないか。ばかげた占いサイトかと思っていたが、政府に認定もされているようだし、まっとうな診断を提供している機関なのだろう。やはり、おれの能力のすごさを理解できるのは、こういうすごい場所で働く、すぐれた人たちだけなのだな。これまで、親や先生や上司、さらにはおれよりも、よっぽどできのわるい同級生や同僚にも、だめだしばかりされてきたが、あいつらの目がふし穴だったことが、ついに証明されたな」

若者は、ほこらしい気分で、にんまりした。

催しの日程は、明日。明日は平日。あたりまえだが、出勤しなければならない。しかし、若者は少しも迷わなかった。今の職場では、新しい学びも気づきもない。あんな環境では、おれの能力を最大限に発揮できやしない。つまらない会社にでむいても、時間をむだにするだけだ。

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これは自分のやりたいことをやるチャンスなのだ。ここでおれを認めてくれた人たちのオファーに応えないのは、失礼というものだろう。

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「シェアのゆくえ」 (5/7)につづく

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