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【アメコミ初心者必読!】映画『ヴェノム』続編に登場するヴィラン「カーネイジ」って何者?

アメコミ映画ファンが待望していた『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の予告編が解禁されました。このサブタイトルにある「カーネイジ」とは、前作『ヴェノム』(2018年)のラストで次回作への登場が示唆されたヴィランの名前です。今回はアメコミライターの傭兵ペンギンさんにお願いして、カーネイジの基礎知識を紹介してもらいました。アメコミ初心者の映画ファンは必読です!
文:傭兵ペンギン

殺人鬼クレタス・キャサディ=カーネイジ

先日予告編が公開された映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』。主人公のエディ・ブロック(トム・ハーディ)は前作にも増して陽気になったシンビオートのヴェノムの共同生活(?)にも慣れてうまくやっている中、二人の前に新たな脅威「カーネイジ」が立ちはだかる……といったストーリーのようです。

前作のラストでエディが訪れる刑務所のシーンで、ウディ・ハレルソンが演じるクレタス・キャサディが意味深な感じで出てきましたよね。彼が今作でヴィラン「カーネイジ」となる様子……というわけで今回は、カーネイジがコミックでは一体どんなキャラクターなのか、改めてご紹介しておきましょう!

カーネイジは、1992年の『The Amazing Spider-Man』誌に初登場したキャラクターで、スパイダーマンとの戦いに敗れて刑務所に入れられていたエディがシンビオートと再合流し脱獄した際に、シンビオートが残していった破片がたまたま同房にいたクレタス・キャサディに寄生したことで新たに誕生したヴィラン。

クレタス

▲発売中の邦訳アメコミ『アブソリュート・カーネイジ』より。牢獄の中で不敵な笑みを浮かべる殺人鬼、クレタス・キャサディ

パワーとしては基本的にはヴェノムと同じ能力を持ちつつ、透明になったりシンビオートを飛び道具にしたりなどもできるようになっているのですが、カーネイジの本当の恐ろしさは宿主(クレタス・キャサディ)自身の凶暴性にあります。

ヴェノムの分身

クレタス・キャサディは子供の頃に祖母を事故に見せかけて殺して以来、人を殺し続けてきた連続殺人鬼の狂人であり、そんな彼に人の暴力衝動を引き出すシンビオートが寄生してしまったことで、その名の通り容赦なく人を虐殺(カーネイジ)し続ける最狂最悪の存在となったという人物。

その強さは、スパイダーマンとの初対決の際には、スパイダーマンが本来は宿敵であるヴェノムと協力して立ち向かわなければならかったレベルの強敵として描かれました。カーネイジは形としてはヴェノムの子というか分身のような位置づけであり、映画第二作のヴェノムの敵となるのは当然の流れと言えるでしょう。

そんなカーネイジを、映画版では1994年の映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』で、連続殺人犯ミッキーを演じて人気となった俳優のウディ・ハレルソンが演じるというのは、もうこれ以上ないくらいのピッタリの人選で、映画ファンとしては本当に楽しみなところ。

フィギュアやゲームも発売された人気ヴィラン

ちなみに90年代当時かなりの人気キャラクターとなっていたヴェノムは、カーネイジの登場後にアンチヒーロー路線に転向(その様子は映画の原案となった『ヴェノム:リーサルプロテクター』に収録)して、一方のカーネイジは1993年のクロスオーバーイベント『Maximum Carnage』でメインのヴィランとして登場しました。

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▲ダークヒーロー・ヴェノムの誕生を描く『ヴェノム:リーサルプロテクター』https://www.amazon.co.jp/dp/4796877533/

実はこの『Maximum Carnage』はコミックだけでは収まらない大きな企画で、当時マーベルに買われたフィギュア会社のトイビズからイベントに合わせたアクションフィギュアが展開され、さらにはスーパーファミコンとメガドライブ(ジェネシス)向けのゲーム『Spider-Man and Venom:Maximum Carnage』も発売されたほど。

日本でもゲームが『スパイダーマン&ベノム カーネイジの逆襲』という題で発売されていたこともあり、タイトルは知らなくてもその絵はなんとなく見覚えがあるという人もいるかもしれません。

それからも、カーネイジは何度もスパイダーマンやヴェノムの前に立ちはだかり、時にはシルバーサーファーやノーマン・オズボーンなどを宿主にしてきましたが、やはりそれでもクレタス・キャサディ=カーネイジといったイメージですね。

アブソリュート・カーネイジ(完全虐殺)

また最近、カーネイジ/クレタス・キャサディはクロスオーバーイベントの『アブソリュート・カーネイジ』でメインヴィランとして登場。このイベントでは、死んだと思われていたカーネイジが復活を果たし、とある目的を持ってシンビオートの宿主たちの完全虐殺(アブソリュート・カーネイジ)を目論み、ヴェノムはスパイダーマンや他の様々なヒーローと協力して戦うことを強いられる様が描かれました。

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▲『アブソリュート・カーネイジ』より、カーネイジの痺れる決め台詞(翻訳:吉川 悠)。凶悪すぎる性格と高い戦闘能力でヒーローたちを容赦なく追い詰める!

そのメインのストーリー部分は『アブソリュート・カーネイジ』という題で邦訳版が本日から発売! カーネイジの恐ろしさが存分に描かれた作品であり、映画の前にどんなキャラか掴んでおきたいという人には抜群の一本でしょう。

また、このイベントはライターのドニー・ケイツが『ヴェノム』誌から始まり『シルバーサーファー:ブラック』など様々な作品を通じて描き続けてきた、シンビオートを創造した邪神「ヌール」をめぐる壮大な戦いの物語の一遍で、先日終わったばかりの最新イベント「King in Black」にも繋がっていく重要エピソードとなっています。最近のマーベルの雰囲気を掴みたいという人にもオススメです!

邦訳アメコミ『アブソリュート・カーネイジ』絶賛発売中!

210518_アブソリュート・カーネイジ

https://www.amazon.co.jp/dp/479687836x/

〈内容紹介〉
数カ月の間、マーベル・ユニバースから姿を消していたカーネイジが、ニューヨークに帰還しようとしていた。シンビオートの宿主を根絶やしにする完全虐殺(アブソリュート・カーネイジ)を目論む殺人鬼に、ヴェノムとスパイダーマンが手を組んで立ち向かう! 血で血を洗う激しい戦いは、他のヒーロー達をも巻き込んで泥沼化していくが……果たして彼らの運命は!?

〈収録作品〉
『Free Comic Book Day 2019 (Spider-Man/Venom) 』#1,
『Absolute Carnage』 #1 -5

〈著者情報〉
ドニー・ケイツ[作]……アメリカ、テキサス州生まれのライター。ディラン・バーネットと共作した『コズミック・ゴーストライダー』、 ライアン・ステッグマンと組んだ『ヴェノム』、ニック・クレインとの『ソー』などで知られる。

ライアン・ステッグマン[画]……2018年から始まった『ヴェノム』誌を担当したアーティスト。

吉川 悠[訳]……翻訳家、ライター。アメコミ関連の執筆を行いながら翻訳を手がける。訳書に『スパイダーマン:ヴェノム・インク』『ホワット・イフ? sideA』などがある。

傭兵ペンギン
ライター/翻訳者。映画、アメコミ、ゲーム関連の執筆、インタビューと翻訳を手掛ける。『ゴリアテ・ガールズ』(ComiXology刊)、『マーベル・エンサイクロペディア』などを翻訳。
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