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私はつまらない人間です『テリファー 終わらない惨劇』


私はつまらない人間です。

『テリファー 終わらない惨劇』は「全米が吐いた!?失神者続出の超過激ホラー!ついに日本上陸!」というふれこみなんですけど、私は吐きません、吐けませんでした。

吐く人っていうのはあれですかね?
映画館で上映中に突然「オエッ!」なんですかね?
一度くらいそんなハメを外してお祭り騒ぎしてみたいものですが、 私はホラーを観て吐いた経験は一度もありません。
私が嘔吐する原因はつねに食当たり、飲み過ぎ、乗り物酔い。場所は主にトイレです。
本当にありきたりのつまらない人生です。

失神に至っては皆無です。
不謹慎なのは承知で告白しますが、年に数度は『タイのくじ引き徴兵』などの動画を観ながら失神への憧れを募らせています。
背後からギュッと誰かに支えられてみたい。誰かに支えられないと自分の脚では立っていられない、そんなか弱くも愛らしい人間に一度はなってみたい。


ついでに言えば、SEXで「頭の中が真っ白に…」という経験も、私にとっては夢のまた夢です。
うっすら霞がかったような、ようよう白くなりゆく山ぎはすこしあかりて程度のやつならあるのですが、痙攣混じりの完全ホワイトアウト!みたいのは皆無です。
っていうか、あれって実在するんですか?
それとも、大人のおとぎ話みたいなものなのですか?

その他、私が人生で一度でいいから体験してみたいこと。

・メンタルやられて気がついたら体重5キロも減ってた
・ソファでぼーっとしていたら夜中になっていた
・泥酔して目覚めたら知らない男が隣で寝ていた

どうやら私は、いつ、何時も、非常事態が起こる前に「ちゃんとしていなきゃ!」と、自分をコントロールするタイプのようです。
ホント、つまんない。

それから私は、ホラー映画にも一定量のリアリティを求めてしまうタイプです。
ほら、また、つまんない。
それ、ホラーに一番求めちゃいけないやつだから。

でも、全部じゃなくていいんです。

たとえばゾンビなら「死体の脳に微量の電気が残されていて動物の最も基本的な本能である食欲だけが…」なんていう程度の注釈のひとつも付け加えてくれれば、それだけで私は「もしかしたら、もしかするかも!」というリアリティを感じて、素直に恐怖に浸ることができるのです。

そんな私が一番苦手なのはいわゆる「夢オチ」です。
はなからリアリティを放棄しているやつです。

『テリファー 終わらない惨劇』は、夢オチというわけではないのですが、夢か現かみたいなところが多々あって、そうなると私の心はどうしても恐怖方向へスイッチされず、ねっちゃねちゃぐっちゃぐちゃなグロシーンがあっても「赤くしてみたところでスライムはスライムさ」と、どこか醒めた目で観てしまいます。

パート1が「ピエロの格好をした人がやみくもに人を惨殺していく」という作品だったので、パート2は「さらに多くの人を、さらに派手にやみくもに惨殺しながら、ピエロの正体や殺人の目的が明かされる」のだろうと勝手に推測していたのですが、それとは全く違う方向へパワーアップなさっていました。

アートといえばアート。
個性的といえば個性的。

こういう映画をあるがままに受け入れて素直に怖がれる。そんな自由な心の持ち主に来世は生まれ変わりたいと願います。
今回の人生ではちょっと無理そう。

興味のある方は、ぜひ。

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