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デーモン大暴れ『エクソシスト 信じる者』

私、今では大のホラー映画好きですけど、30歳くらいまでは苦手だったんですね。理由は怖いからです。怖いもの見たさでポツポツとは観ていたんですけど、その夜は恐怖で眠れなくなったりしていました。

きっかけは『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005年)という、ゾンビ映画の第一人者ジョージ・A・ロメロ監督の作品でした。


このゾンビ映画のセンセーショナルな点は『知能を持ったゾンビ』が出てくることで、行動が素早かったり、道具を使ったり、仲間意識があったり、作戦を考えたりするんですけど、そうなってくるとゾンビもかなり生身の人間っぽくて、観ているうちに「これはただの怪我人なんじゃないか?」って見えてきて、生まれて初めてホラー映画を「恐れるに足らず!」って思えたんですよね(ある意味、私の人生を変えた1本なので好きな映画ではあるんですけど)。

それ以来、どんなショッキングなシーンもゴア表現も「まあ、所詮つくりものだし」って思えるようになって(30歳にしてやっと笑)、ホラー映画を娯楽として楽しめるようになったんです。

それがなんだかうれしくて、過去の名作と呼ばれるホラー映画を次々とTSUTAYAでレンタルしているうちに、ホラー映画好きになりました。『エクソシスト』(1973年)もそのころに観た1本です。

その初代『エクソシスト』から50年ぶりの続編。
これまでも何本かエクソシスト絡みの映画はあったのですが、今回の『エクソシスト 信じる者』が初代『エクソシスト』の正統続編であり新章、という位置付けだそうです。


悪霊に祟られる人が2人いる目新しさ、それが黒人と白人の子であったり、いろんな宗教家が集まって力を合わせて悪魔祓いをするダイバーシティっぽさ、さらに初代『エクソシスト』の主人公エレン・バースティン(なんて美しい91歳!)を登場させたり、見どころいっぱいの映画です。

だけど、私、個人的にエクスシスト系、というか『悪霊』が出てくる映画を観るたびに、どうしても気になってしまうことがあるんです。

外国映画は基本的に日本語字幕で観ますが、中途半端な留学経験があるので耳からも自然とそこそこ情報取り込んでるんですね。ですが、頭の中はまるっきり日本人なので『悪霊=Damon(デーモン)』っていうセリフを聞くたびに、脳裏にどうしてもこの人が浮かんじゃうんです。






10万とんで61歳


『エクスシスト 信じる者』でも「それは…デーモンのせいよ」なんていう緊迫したシーンや、神父さんが「デーモンよ去れ!」って命懸けで頑張ってくれるシーンなんかもあるんですけど、そのたびに私の脳内でデーモン閣下が「ハーッハッハッハッ!お前も蝋人形にしてやろうかー!!」とか言って暴れ出して、どうしたって映画に集中できないんです。

っていうか、なんか冷めちゃう。もうね、仕方ないんです。デーモンといえばこの人。そういう世代なんです。「デーモン」っていう言葉を真剣に囁かれるほど冗談みたいに聴こえちゃうんです。

そんな相性の悪さなので、私、エクソシスト系の映画は「どうせまたデーモン閣下を思ってしまうことになるであろう」と積極的に観ることはないのですが、50年ぶりの続編ということなので観てきました。

まあ、それにしても、若いころはホラー映画をあんなに恐れていたのに、こんなふうに茶化す時代が来るなんで、人生何が起こるかわからないものです。

よくできている作品ではあると思います。
皆さんも、よかったら、ぜひ。

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