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本物の子どもの方が怖いよ『M3GAN /ミーガン』

こんなこと言ってみたところで「所詮オカマの強がり」と思われそうなのであまり言わないようにしていますが、私はストレートに生まれていたとしても、子を持たない人生を選んだんじゃないか、と思っています。

私にとって「可愛い」とは

坂口健太郎くんであるとか
山田裕貴くんであるとか
冨永愛さんとこの息子さんであるとか
三苫じゃなくて伊藤純也くんの方だとか
石川祐希くんだとか
ゴールデンレトリバーやら
ミニチュアシュナウザーも
おしゃべりなオウムとか
あと、それからやっぱりラスカルとか


…であって、人間の子どもの順位はかなり低いんです。

遊んだり、一緒に時間を過ごすなら、気の利いた冗談のひとつも言える大人の方が断然に良いですし、人間の赤ちゃんを見て「癒される~」と言う感性も持ち合わせていません。子犬のなら持ってます。

人間の子が5年くらいで巣立つなら、一度くらい経験として育ててみてもいいとは思いますが(子供側が大迷惑)、20年とかは、ちょっとゴメン無理。

その間、やりたいことができなかったり、欲しいものが買えなかったり、うるさかったり、反抗されたり、「パパ臭い」って言われたり、もちろんそれらを凌駕するほどの大きな幸せが子育てにはあるのでしょうけど…私の人生にはちょっと要らない気がするのです。

私の妹はシングルマザーなのですが、彼女がシングルマザーになりたてのころ「お兄ちゃん、私に何かあったらこの子をお願いね」と言われました。
雰囲気に飲まれて「わかった」と了承しましたが、のちのち冷静になって考えれば「いやいやいやいや…ありえないって」と一人で尻込みするばかり。

嫌いではないんです。
可愛くないわけでもないんです。
たとえば、自分が死ぬか、姪が死ぬか、という瀬戸際に立たされたなら私は喜んで自分の命を投げ出すでしょう。
だけど、そんな瀬戸際に立たされない限りは、それなりの距離感をもって接したいわけです。月に一度くらい会ってお小遣いをあげる。ちょっと多めにあげる。それを私からの愛情であると受け取っていただき、騒いだり、駄々を捏ねたりするのは、少し離れた場所でやっていただきたい。子どもとはその程度の距離感を希望しています。

だけど外面の良い私ですから、もしもの時が来たら、私は腹をくくって姪を引き取るでしょう。心の隅っこで「私の人生、終わったな…」と深いため息をつきながら…。

『M3GAN/ミーガン』も、両親を亡くした娘が叔母に引き取られることから話は始まります。


玩具メーカーでロボット開発をしているキャリアウーマンである叔母は、子どもとの接し方に慣れていません。なので自分の代わりに姪の面倒を見てくれるAIロボを開発するのですが、そのロボが自我を持ち始めて暴走して…という、まあ、よくあるストーリー。

私にしてみればそんなことより「姪を引き取る」というリアリティの方がホラーでした。この叔母も私と同じようなタイプらしく、両親を亡くした姪に同情しつつもカレンダーを眺めながら「来月のスキー旅行は…無理…か…」みたいな切ない表情を垣間見せたりします。思わず「わかるー!」と心の中で叫んでしまいました。

ホラー映画としては

こんな可愛いロボがこんな動きしたら怖くない?
こんな表情したら気持ち悪くない?

そんな発想ありきで、なぜそこで踊るのか、なぜ突然四足歩行なのか、などの具体的な説明は一切ないまま、ビジュアル重視で話が進んでいきます。良いと思います。パーンと見て、ポーンと楽しんで、スーンと忘れられるような映画です。

TOHOシネマズ西新井(足立区)という渋めの地域で鑑賞しましたが、若いカップルがたくさんいました。蒸し暑い初夏のデートにはちょうど良い作品です。

よかったら、ぜひ。

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