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シックス・センスは遠くなりにけり『ノック 終末の訪問者』

ネタバレします。
嫌な人は即退散を!




M.ナイト・シャマラン監督といえば『シックス・センス』です。

死者が見えて声が聴こえることに怯える子と、その子を救いたいと願う小児科医の話で、実はその小児科医も死者だった(本人も気づいていなかった)という結末の大どんでん返しなオチが話題に。「この監督、天才!」と世界中でもてはやされ、アカデミー賞なんかにもノミネートされました。

それから年に1、2度は『M.ナイト・シャマラン監督最新作!』なんて謳い文句の新作が発表されつづけていますが「やっぱりシックス・センスは超えられないよねー」という感じで今に至ります。

この監督の作品は「ホラースリラーなストーリーで最後にどんでん返しのオチがくる」というのが基本型ですが、そのオチの衝撃度がどうしたって「実は主人公は死人だった!」を超えられません。

ここ10年くらいの作品に関しては本当に悪い意味で「え…?」という状況です。

そんなM.ナイト・シャマラン監督の最新作『ノック 週末の訪問者』。
何度失望させられたって「でも、今度こそシックス・センスを超えるかも…」という淡い期待を抱いてしまうのです。

中国人の養女を育てるゲイカップルが森の中の貸別荘で休暇を過ごしています。そこに武器を持った4人組の男女が現れ「これから世界が終末を迎えます。だけど、あなたたち三人のうちの一人が自ら犠牲者として名乗り出て殺されてくれれば世界は救われます」と訴えます。

ゲイカップルが断ると、四人組のうちの一人が自ら犠牲となります。すると世界のどこかで本当に悪い事が起こります。
この『ゲイカップル拒否→四人のうちの一人が死亡→世界で悪い事が起こる』の連鎖がしばらく続きます。

ですが、正直言って、そんなストーリーはどうでもいいのです。

私の興味はただひとつ。
これにどんなオチがつくのか?です。
それを見破るためにスクリーンの端々にまで目をこらします。ミスリードされてしまわないように集中して出演者たちの声に耳を傾けます。
私とM.ナイト・シャマラン作品というのは、そういう関係です。

で、ここで結論を言います。





オチ、なし!


結局、四人組は全員死にます。世界中で悪い事が同時多発的に起こり、本当に地球が滅亡してしまいそうになります。そこでゲイカップルの片割れが「やっぱり僕が犠牲になるよ。娘いるし」とか言って本当に死んでしまいます。そうして世界は危機一髪で救われます。

なーんだ、それ?

深読みをすれば、映画の中で起こる悪いことが「津波(東北の震災を想起)」「ウイルスの爆発的感染(コロナを想起)」「飛行機の同時墜落(アメリカ同時多発テロを想起)」ですから、今、まさに我々は地球の終末に直面していて、その中で他者のために、子ども達のために、自分を犠牲にするほどの思いが持てるかどうか?を問う映画なのかな…?と解釈できなくもないのですが、私、別に、M.ナイト・シャマランにそんな仰々しい説教をされたくて、わざわざ映画館に足を運んでいるんじゃないんです。

オチをくれ、オチを!
私のような凡人には一生思いつかないような珠玉のオチを!
『シックス・センス』の興奮を、もういちどだけでいいから味わせてくれ!

一応、エンドロールが終わるまでM.ナイト・シャマランを信じてはみましたがオチはどこにも見当たりませんでした。
帰りの電車の中で、ふと「あ、オチがないというオチだったのかも…」と、うっすら思いはしましたが。

ゲイカップル役を実際にゲイの俳優が演じているというのがダイバーシティで今っぽいのと、ルパート・グリントが出演しているっていうのが、ちょっとした見どころですかね。

ハリーポッターのロン。すっかり大人になっちゃって。


ご興味のある方は、ぜひ。

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