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オアハカ滞在記録3【共同体として生きる】-滞在記録2の続き-

どうも。

今回もオアハカ滞在記録2の続きです。

前回の記事では、オアハカに住む人たち(僕が話を聞いた限り)では経済的な発展に非常に慎重な人が多い印象ということを書きました。

そして、彼らが生活する上で求めていることの一つに「Autonomy(オートノミー)」というキーワードが浮かび上がってきたことについて書きました。

その「Autonomy(オートノミー)」とは何か?ということについて
今回は滞在での様々な体験を記載していこうと思います。
日本語訳では、「自治(権)、自主性、自治団体」という意味を指します。

滞在中、案内してくれていたジャーナリストのJuanが案内してくれたのは「Center of Encounters and Intercultural Dialogues(異文化交流対話センター)」訳して、「CEDI(セディ)」という場所です。

CEDIの表札。

Juanが活動する団体の一つであり、NPO法人SETでも昨年一緒にワークショップを企画しました。

元々は「Unitierra(ウニティエラ)」直訳すると”大地の学校”という場所でした。

Unitierraの創設者のグスタボ・エステバさん。一昨年に亡くなっている。金融、官僚の経験を経て「開発(development)」への違和感を持ち、ポスト資本主義を打ち立て人生を通じて様々な活動を行ってきた。

この学び舎は「Autonomy」に関する様々な実験的な取り組みをしながら、市民に開かれた学びの場として、対等に対話を通じながら互いに学び合うこと(lerning)を大切にしています。

ここがワークショップなどを行う教室の一部、屋外と屋内の中間のような場所で
非常にリラックスできる場所

エネルギーや食、出版などの多岐にわたる、様々な取り組みをしていました。
経済的な開発を前提とした生活基盤ではない、ど自分たちの知恵や助け合いを通じた生活基盤に対して、様々な「Autonomy」を体験する実験をしていました。


地下に溜めた雨水を汲み上げる装置。メキシコは雨季になると水不足になるため、水を汲み上げる必要がある。その際に自分たちでこのペダルを漕ぎ、水を汲み上げる。
一応、これは実験の一つであり、体験機会のためのものであるそうです。
みんなで楽しく、健康的に汲み上げるそう。笑
メキシコの土地の植物たち。全て食べられるもの。
元々はメキシコでは植物性に特化した伝統食が主流であり、体にとてもいいとのこと。
こちらは自分たちで出版したという本の数々。
しかも、出版社にお願いしているのではなく、自分たちで印刷機を購入し印刷しているようです。

活動の話を聞いて感じたのは、「Autonomy」とはパッと見た感じの印象自給自足に近いのですが、考え方の根底が全く違う印象です。権力や経済からの自立的なことの方が強いように思います。そして、自立というのは個人での話ではなく、共同体(コミュニティ)としての基盤。
コミュニティというのが生活インフラを支える一つに位置付けられているように感じます。

そして、その「Autonomy」を支えていく上で大事になるのは
その共同体(コミュニティ)のアイデンティティであり、そのコミュニティではそのコミュニティの豊かさがあり、自治権があり、生活があるという前提のように感じます。

様々なことの合点がいったように感じました。
だからオアハカでは、土地固有の植物を活かした伝統的な食文化や生活様式を大切にし、共同体の範疇を越える経済的な発展ということに対して慎重なのだなと思います。
生活の基盤を支えてくれる共同体としてのコミュニティは最も重要な生活インフラである。だからこそ、その根本になる人と人の関係をとても大事にする。

歴史的には西側諸国の単一的な価値観で行われる政治や経済により元々住んでいる人たちの「Autonomy」が壊されてきていることは明らかです。
だから、「Autonomy」を守るために暴力ではない彼らの主張届ける一つの方法としてアート運動だったのだということがつながってきました。

ソカロに書いてあったアート。経済により私たちの様々なものが盗まれている。

もちろん、これら全てがオアハカの人がこのような考えを持っているわけではないですし、話を聞く人を変えればまた見えてくることも違うと思います。それでも、一つの見え方としては非常に学び深い体験でした。

グスタボさんのことについて調べていくと
多様な考えや生活習慣を持った人たち(先住民やカトリック等)がいる前提でその多様な共同体の基準を壊さぬ形での民主主義をどのように実現するのか?ということは創設者のグスタボさんが唱えていたことの一つのようです。現行の民主主義は開発を前提とした思想を中心にしており、それでは多様な人々の考えを尊重し合えないとのこと。(ざっくり)
非常に面白いなと思いました。

CEDI現在は休止中ですが、徐々に本格的に活動を再開する予定のようです。

滞在中Juanがこんな話をしてくれました。
「メキシコシティ等では、物価が上がり、家賃が上がり人々は生活を維持する上でより経済的な基盤が必要になってきている。そして、その結果、より長く働かねばいけない状況になっており、自分たちの生活の基盤を経済に依存している状況にある。その結果、公害や様々な問題が起きている。一方でオアハカは、特別なエリアで共同体(コミュニティ)の基盤がしっかりしていてとても生活しやすい町。だけど、そのオアハカもどんどん周辺の開発が進んでいて地価が上がり元々住んでいる人が住めなくなってきている。」

こちらもポートランドと同じような話です。

やはり世界中で似たようなことが起きている。
そんなことについて考えを巡らせています。

それでは!

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