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相手の質問にパッと答えられなかった私が見つけた、4つの解決策

先日、ある若手から「岡田さんはなんでクライアントからの問いかけにパッと答えられるんですか」と聞かれました。

言われてみれば確かに、私の仕事のほとんどは誰かとの「会話」です。例えば、クライアントとのディスカッション、ワークショップの司会進行、部下との1on1などなど。

そのような場面では、何かを質問された時に「うーん・・・」と黙り込んでしまうと、相手に不安を与えてしまいます。

もちろん、私もすべての質問に即答できるわけではありませんが、ある程度反射神経よくパッと答えられるように心がけています。

とはいえ、最初からそうだったわけではありません。若い頃はパッと答えられずに、失敗したこともありました。

そこで今日は、私が普段、会話の反射神経を高めるために工夫していることについて、書いてみたいと思います。

相手が一番困る返事


実は、若手の頃に、クライアントの問いかけにパッと反応できずに失敗した思い出があります。

あるクライアントの新人研修の企画・運営を担当していた時のことです。

新人たちが10チームほどに分かれてアイデアを考え、そのアイデアを、その企業の人事と我々が別室に入り、優秀なものを1つ選ぶという場面がありました。

アイデアは甲乙つけがたい良いものだったので、その企業の人事担当者が私にこう質問したのです。

「岡田さん、このアイデアって、どういう基準で選んだらいいんでしょうか?」

私は、そんな質問が来ると思っていなくて、うまく答えられませんでした。

「ええと・・そうですね・・基準は特に決めてなくて・・自由でお願いします」

苦し紛れにそう答えましたが、人事担当者は明らかに戸惑った表情でした。

その時、横にいた当時の上司が、パッとこう答えました

「今回の研修のテーマは『顧客視点』なので、最も顧客の視点に立っているアイデアを選びましょう」

すると、人事担当者の表情が明るくなり、アイデア選考もスムーズに進みました。

終了後、その先輩からこう言われました。

「あの場合は、なんでもいいから、何か基準を出してあげた方が良いよ。『顧客視点』でも、『ビジネス規模』でも、何でもいいけど、『自由』が一番困る答えだったと思うよ」

この一件を通じて、私は、クライアントに聞かれたらパッと答える反射神経の良さが大事なんだな、としみじみ思ったのでした。


反射神経を高める4つの方法


それがきっかけで、というわけではないですが、その後は、次のような方法を使いながら、パッと答えるようにしています。

1.相手の質問を確認する

何かを質問されて、すぐに返答が思い付かない場合は、質問された内容を確認するようにしています。これは、基本的に相手の言葉を使って聞き返すだけなので、簡単にパッと返せるはずです。

例えば、以下のような感じです。

人事:「岡田さん、このアイデアって、どういう基準で選んだらいいんでしょうか?」
岡田:「アイデアを、どういう基準で選ぶのか、ということですよね?」
人事:「そうです。何か基準がないと、選びにくいと感じたので・・」
岡田:「そうですよね。何か基準がないと、選びにくいですよね。」
( ↑この辺りで、頭の中で何か基準を捻り出す )
岡田:「例えば、今回の研修テーマが『顧客視点』なので、その観点で選ぶのはどうでしょう」

言わば時間稼ぎです。しかし、実際にやってみると、会話のやりとりの中から返答が来ているので、そこまで不自然な感じではありません。

すぐに答えられない場合は、会話のキャッチボールをしながら、流れの中で答えを見つけていきましょう。

2.他の人に先に答えてもらう

何かを質問されてすぐに自分の中で答えが見つからない時は、他の人に先に答えてもらうのも一つの手です。

例えば、以下のような感じです。

人事:「岡田さん、このアイデアって、どういう基準で選んだらいいんでしょうか?」
岡田:「たしかに、何か基準があった方がいいですよね。先輩、どう思いますか?」
先輩:「今回の研修のテーマは『顧客視点』なので、最も顧客の視点に立っているアイデアを選びましょう」
岡田:「たしかに、顧客視点はよさそうですね。人事のみなさんはどう思いますか」

言わば、会議の司会者のような立場になって、自分が答える代わりに、みんなの意見を集約するようなやり方です。

ただし、この方法は使い方注意です。場合によっては「何も考えていないやつ」「先輩に頼ってばかり」と思われる危険性もありますので、気をつけてください。

3.会話をメモしながら聞く

どんな質問も、その前に何らかの会話があったはずです。私は、会話をしながら相手の発言のキーワードをメモする習慣があるのですが、このメモは反射神経を高めるのに役立ちます。

特に、オンライン会議が増えてからは、ポストイットを愛用しています。会議中にポストイットにメモを取り、必要なものだけ写真で残して、会議が終わったら全部捨ててしまいます。気兼ねなくガンガン書けるので、とても気に入っています。

メモの活用方は、以下のような感じです。

人事:「Aチームの『シニアの困りごとに対応』っていい視点ですよね」
(岡田:『シニアの困りごと』をメモ
✍️
人事:「あと、Cチームの考えたこの仕組み、うまくいけば儲かりそうですよね」
(岡田:『儲かりそう』をメモ
✍️

人事:「岡田さん、このアイデアって、どういう基準で選んだらいいんでしょうか?」
岡田:「アイデアを、どういう基準で選ぶのか、ということですよね?」
人事:「そうです。何か基準がないと、選びにくいと感じたので・・」
岡田:(『シニアの困りごと』『儲かりそう』というメモをみながら)「今のところ、顧客の困りごとを解決することや、ビジネス規模などが、評価基準としてありそうですね」
( ↑この辺りで、頭の中で何か基準を捻り出す )
岡田:「今回の研修テーマが『顧客視点』なので、その観点で選ぶのはどうでしょう」

このような感じで、手元のメモを頼りに反応していくという方法です。

手は第二の脳と言われたりしますが、手を動かすと頭も動き、会話の反射神経も高まるような気がしています。

4.事前に準備しておく

会議の前に、5分間だけ時間を取って、会議のシミュレーションを行います。事前に想定質問を考えておくことで、反射神経を高めます。

例えば、以下のような感じです。

(頭の中のシミュレーション)
岡田:「アイデアを10個眺めたら、クライアントはどう思うかな」
岡田:「まず、それぞれのアイデアに感想を言うだろうな」
岡田:「その後、アイデアを選ぶのに困りそうだな」
岡田:「ということは、審査基準があった方がいいかな」
岡田:「基準を設定するとしたら、研修の目的に立ち戻って、『顧客視点』がいいかな」

これが最も有効的な方法だと思います。もちろん、ビジネスの現場はだいたいシミュレーション通りにはいきません。しかし、その通りにならなかったとしても、事前に考えておくことが準備運動になり、反射神経を高めます。

とはいえ、すべての会議で事前準備をするのは大変なので、大事なクライアントとの会議など、ここぞという時に5分間のシミュレーションタイムをとるようにしています。

他にも色々なやり方があると思います。例えばこちらの記事なども参考にしてみてください。

良いことを言おうと気負わない


今回は、会話の反射神経を高める方法について書きましたが、本当は、全員が常に反射神経が良い必要は無いと思っています。

反射神経は遅いけれども、じっくり考えて、みんなが抜けている視点を投げかける、そんな人も必要です。

ただ、ビジネスの現場では、テンポよいやり取りが信頼感を作るのもまた事実です。

多忙な経営者に「これはどう思う?」と聞かれて、「よくわからないので、会社に戻って検討します」という返事をするようなコンサルタントは、次から呼ばれないでしょう。

ですので、ここぞという時には、会話の反射神経を高められる状態にしておいたほうが良いと思います。

とはいえ、最初から良いことを言おうと気負う必要はありません。

会話はキャッチボールです。相手の質問に対して豪速球で返すよりも、まずはリズム良くパッと返して、徐々にスピードを早めていく。

そんな感覚で、突然の質問に対しても、いきなり良いことを言おうとせず、まずは気軽に発話することから始めるといいと思います。

※Twitterでは気になる記事にコメントをつけて毎日投稿しています。


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