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台湾1人旅行⑭ 救いのデパート

台風のせいで店は閉まり、フライトは遅れ、僕自身も観光する意欲を失いつつあったのですが、ふと台北車駅の横に、デパートらしきものがあることを発見しました。


1 営業していない

せめてデパートの中で何か食べたり、買い物をしたりしようと思いました。そうでもしないと、この一日を無駄にしてしまったと後々考え、後悔してしまう自分が見えたからです。

急いでスマホでそのデパートを調べると、京駅時尚廉場というショッピングモールであることがわかりました。旅行中にイオンのショッピングモールをメインの観光地に設定する、と考えると、些か貧相な感じもしますが、電車をただひたすら乗り継いで雨に打たれるよりかはマシです。

僕は早速そのショッピングモールに行ったのですが、何やら怪しい雰囲気です。ショッピングモールというにはあまりに暗すぎます。一応グーグルマップで営業時間を確認しますが、当然やっていると表示されます。グーグルマップは台風の影響を受けないのです。恐る恐る入り口に近づくと、台風の文字と、休業の文字の張り紙。やはりショッピングモールは台風接近に伴い、営業していませんでした。なんてことだ。

2 奇跡の光

諦めて帰ろうとしました。ですがすぐに異変に気が付きます。暗いショッピングモールの中で、どうみても従業員ではないだろうという人々が群れているのです。というか、営業していないのに店内に入れるというのは、どういうことでしょう。警備がざるすぎやしませんか。

僕はこれらの現象を不信に思い、改めて中国語の張り紙に目を凝らすと、なにやら、数字の14という文字が見えました。そこではっとしました。なんと、台風の影響で休業ではなく、台風の影響で14時まで休業ということがわかったのです。その時の時刻は13時50分。ここにきて、ようやく僕に些かの運が回ってきたようです。

他のお客さんたちと一緒にじりじりと攻めるように開店を待ち、やっとショッピングモールの明かりがついた時、僕は真っ先にフードコートに飛び込みました。朝ごはんも昼ご飯も食べていないのです。

3 ラーメンとかき氷

店内はそれこそイオンで、フードコートの雰囲気や、テナントの雰囲気も、非常に馴染み深いものでした。

恐らく台北市内での最後の食事となるとわかっていた僕は、空腹にも関わらず、お店を決めるのに難儀しました。この一日を有意義だったと納得させられるのはどんな料理かを考えていたのです。一日の成功をフードコートの昼ごはんにゆだねるのも馬鹿な話ですね。

結局、考えすぎて結論が出せなくなってしまい、そして空腹も限界に達した僕は、日本食を食べるという安直な選択を選んでしまいました。
海外でえせ日本食を食べて文句を言うのは、意外と海外でしかできない贅沢な体験だと言える、と自分を慰めておきましょう。

らーめん火頭山というお店で、醤油ラーメンと餃子を頼みました。

しかし、写真を見て貰えばわかるように、確かに醤油と言ったはずですが、出てきたのはどうみても豚骨の色をしたスープです。そして何故か中心には紅ショウガではなく梅干しが乗っています。こういうおかしな日本食を見ると、楽しくなってきますよね。
お腹もすいていることですし、早速食べてみました。

なんとも言えない不味さです。吐き出す程の不味さではありません。美味しいか美味しくないかと問われれば、美味しいとはいえるかもしれません。けれど、やはり何かが足りないというか、ずれているというか、お子様ラーメンを食べているかのような、パンチのなさとちゃっちい印象を抱いてしまうのです。不味いならもっと不味く、美味しいならもっと美味しければいいのに、と強く強く思いました。餃子は文句なしで美味しいです。

ラーメンを食べた後には、甘いものが食べたくなるので、同じフードコート内のスイーツ店に行きました。フードコートをぐるっと一周した時に、台湾の甘いかき氷を帰国前にもう一度食べようと思っていたのです。しかし、日本人の僕が言うのも何ですが、台湾では英語も通じるとはいいながらも、全員が全員英語を喋れるというわけではありません。比較的若い人は英語を喋れる印象でしたが、スイーツ店の中年女性は、英語が全く喋れませんでした。それだけならともかく、自国の言葉がつかえない客がくること自体に慣れていないようで、僕の言うことを全く理解してくれません。僕もまた、英語がだめだったらどうしようもありません。翻訳アプリを使いたくない謎のプライドもあるので。

結果、タピオカが入ったマンゴーのかき氷を食べたかった僕の前には、巨大な黒糖のかき氷が登場しました。黒糖も好きなので、まぁ結果オーライと言っておきましょう。

味は、甘すぎます。甘いのが大好きな僕ですが、半分くらい山を崩したところでくどくなり、底の方には黒糖のドリンクが出来上がっていました。

4 ショッピング

かき氷のせいで些かお腹が痛くなってしまいましたが、体にエネルギーがいきわたると、生き生きとしてきました。そのまま空港に帰るのではなく、ショッピングモールを探索する力が湧き出てきました。

ショッピングエリアもまさしくイオンやアウトレットといった感じで、馴染みのあるブランドばかりが並んでいました。ナイキ、アディダス、アメリカンホリック、ダイアナ、、、、、、。中にはセカンドストリートもあり、僕はそこでナイキのエアジョーダンのスニーカーを買いました。僕はサンダルで台湾旅行をしていたのですが、26日にフライトが変更になったことで、直接仕事に行かなければならず、仕事はサンダルが禁止なので、靴を買う必要があったのです。

かっこいいよね

台湾っぽさがあったかと聞かれたら、全くありませんでした。けれど、移動と放浪以外の何かをしているという充実感は間違いなくありました。このショッピングモールでの数時間のおかげで、25日という一日が、完全な無駄に終わらなかったのだという前向きな思い出になっているのも事実です。

5 空港へ

やることもいよいよなくなったので、空港に戻ることにしました。台北車駅から直通の電車が出ていて、それに乗って一時間程、うたた寝を挟みながら台北桃園空港に戻りました。

さて、ここから最後のセクションに入ります。二日前にお金を降ろせず彷徨っていた思い出の場所に戻ってきて、もう帰ってしまうんだと悲しい気持ちになる反面、フライトは翌日の朝五時で、今はまだ夕方の六時過ぎです。空港で一晩を明かす必要があったのです。

続く

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