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世界の幸福度ランキング:北欧 vs. 中南米




はじめに

前回の投稿では、日本が身体的に安全だけれど、精神的に危険な国であることを説明しました。

この観点は、非常に重要だと私は思っています。
それでは、幸福度が高い国に共通することはあるのか?
そんなことを、幸福学関連の論文等を基に考察しようと思います。



前回のまとめ

日本は身体的には非常に平和であり、2019年における殺人による死亡率は世界で3番目に低い0.05%でした。

しかし、精神的には非常に危険な国です。

日本は、残念ながら年間約2万人が自殺し、世界の自殺率ランキングでワースト25位に位置しています。戦争が起こっているのと同じような被害です。

このため、身体的には安全でも精神的な苦痛が多いことから、平和の定義を身体的・精神的な傷害のない状態と見直す必要があります。

日本は長寿で教育が行き届いており、経済力もあり、治安もいいです。しかし、自殺率にしても幸福度ランキングにしても、それに見合っているようには見えません。

この大きな課題に目を向け、改善することが必要です。そのヒントを幸福学の研究は提供しつつあります。


幸福度の高い国


では、幸福度の高い国はどこがあるのでしょうか?

実は、ここ数十年の間、幸福について、統計学、心理学、社会学など、科学的なアプローチで研究する動きが活発になっています。

この学問分野を「幸福学」と言います。

幸福学の研究で特に注目されるのが、「世界の幸福度ランキング」でしょう。多くの人の注目を引くランキングとなります。


人生満足度と一人当たりGDP(2022)


こちらは、国連が毎年発表するWorld Happiness Reportと、世界銀行のデータを図にしたものです(Our World in Dataより)。

幸福度が特に高い国としては、フィンランド、デンマーク、スウェーデンなどの北欧の国々が挙げられます。

これらの国は、「何となく幸せそう」というイメージはたしかにあるかもしれません。

実際、次回の投稿で説明する通り、北欧の国々には、幸福度が高くなるのに納得できる理由がいくつも見つかります。

一方で、それらの国より何倍も経済力が低いわりに幸福度が高めの国々があります。

コスタリカやメキシコなどの中南米諸国です。

※中南米でも幸福度の差は大きいので、あまりカテゴリーでくくるのは良くないですが、ここでは便宜上中南米諸国という言い方をさせてください。

上図からわかる通り、日本の半分程度の経済力しかない中南米諸国は、日本と同等かそれ以上の幸福度を誇っています。

さらには、日本と比較すると、中南米は教育水準が低く、治安も悪いとされます。

それなのに幸福度が高めなのは、とても不思議ですよね。

※ここで一言付け加えるとすれば、日本はよく「幸福度が低い」と言われますが、けっしてそんなことはないことが図からもわかります。ただし、「経済力を考えると低め」だとは言えるかもしれません。

そして、幸福度についての研究を見ると、実は、これらの国の幸福度を高めているであろう理由も見つけられます。

特徴も地理も大きく異なる北欧と中南米諸国

なぜ、これらの国々の幸福度は高いのでしょうか?

関連の論文も参照しつつ、次回の投稿で、それを解説します!



【加藤の詳細について】

―加藤将馬:著者、講演家、幸福学&ビッグヒストリー研究家

・加藤将馬のウェブサイトはこちら

【著書の紹介】

宇宙と人類、138億年ものがたり ―ビッグヒストリーで語る 宇宙のはじまりから人間の未来―

紙の書籍:1260円→電子書籍版:0円(変更の可能性あり)


本書は、宇宙と人類の歩みを考察する一冊です。
「宇宙が生まれた頃はどのような姿だったのか?」「なぜ19万年間も狩りをしていた人間は、今では宇宙進出を始めているのか?」「気候変動やAIなど、これからの人間社会はどうなってしまうのか?」といった大きな問いについて説明します。
 そして、本書の最大のテーマは、「人間は文明を発達させて地球の覇者となったのにもかかわらず、なぜ世界には数多くの自殺者がいて、不幸が消えていないのか」というものです。
 138億年にわたる壮大な物語を堪能していただくと同時に、人間社会のあり方にまで思考を巡らせてもらうことを本書では目的としています。そして、私がなぜ本書を書き、ビッグヒストリーを通じて何を伝えたいのか。ぜひ、最後まで見届けていただけると幸いです。



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