アイドルオタクと2歳の子供が借りてきた猫になった話し。
幸せな借りて来た猫は何匹いてもいい。
借りて来た猫と言えば「場所や環境が変化して、緊張したり用心するため大人しくなる様子を表す場合の言葉選手権大会1位」の実績がある、割とネガティブな言葉だ
しかし
「好きすぎる人に会ったときに現れる、借りて来た猫」は、幸せな猫だ。
あなたも、一度は飼った事があると思う、恋愛で恋しまくってる人と初めて会ったとき、仕事で憧れまくっている先輩と会った時、好き過ぎるアーティストと出会ったとき、、
好きすぎるが故に何も出来なくなり、何も言葉を発せなくなる、あの猫は、素敵な感情だ。
今回はその「幸せな借りて来た猫」の事例を2件紹介しよう。
事例1「私の場合」
私は「BiSH」というアイドルが好きだ、凄い好きだ。
この、日比谷野音でのライブ動画で毎回泣く、、そんくらい好きだ。
中でもメインボーカル的ポジションの、アイナ・ジ・エンドが推しで、ハスキーボイスの圧倒的な歌声と、半端ない表現力のダンスに、いつも胸を撃たれている。
昨年、そんな大好きなBiSHが新潟にライブに来た。
もちろん私も参戦し、アイナさんTシャツを着ながら、ヘドバンをカマしてライブを楽しんだ。
しかし、問題はライブ後の「チェキ会」だ、、
チェキ会というのは、オタクがアイドルとチェキを撮れる、夢のような時間のことを言う、もちろんペイしてのことだが。
そしてライブ後、BiSHのメンバーの前には、チェキ会の長い列が出来ており、私は迷わず、アイナさんの列に並んだ。
チェキ会において、推しとチェキを撮る時間は約10〜15秒くらいだろう、その中でオタクは、どれだけ自分を推しにレペゼン出来るか、試行錯誤する。
変なポーズをしてもらったり、思いを伝えたり、やり方はオタクそれぞれだ、長く居座ろうとすると「剥がし」と言われる、ヤンキーっぽい人に剥がされてしまう。
並んだ直後は「もう34歳のおじさんだし、ダンスをしていたので、それなりに人前に出る場数は踏んでいる、緊張する訳が無い」と思っていた。
しかし、列が進むにつれて、、
ドクン、、ドクン、、と心臓の鼓動が大きくなっているのが分かった、、
「この私が緊張しているだと、、?」
「ば、、ばかな、、、この、、、私が、、」
何を話そう?どんなポーズを取ろう?どう接しよう?頭の中が混乱する、初めてダンスバトルに出た時と一緒だった、、。
そしてついに、、自分の番が来た、、
「ニャ〜」
目の前に現れた、好き過ぎるアイナさんに動揺し
私は、猫を借りた、、。
ニャァああああああああああああ!!!
クソだせぇええ!!
この時の記憶は、ほぼ無い、ただ緊張していた、、
顔が硬直している、、
ちなみにこれが普段
もう一度、猫。
いや、、、
頬、、、
赤らめてんじゃねぇええええええええ!!
猫っていうかゴリラああああああああ!!
もはや、借りて来たゴリラ、私はこのチェキを見るたび、自分の顔面があまりにもダサくて胸が締めつけられる。
ただ、この10秒かそこらの、アイナさんとの時間はとても幸せな時間だったと思う、34歳では中々味わえない感覚、、覚えて無いけど。
事例2「息子の場合」
前前前世回の記事で取り上げた通り、私の息子は、TUTAYAから気まぐれで借りて来た映画「カーズ」にどハマりした。
朝起きたら「カージュ見る」保育園から帰っていたら「カージュ見る」夕飯を食べながら「カージュ見る」寝る前「カージュ見る」
狂ったように「カージュ」を欲した。
そんな中、息子は丁度、2歳の誕生日を迎えた。
プレゼントはもちろん「カージュ」関連のおもちゃにしよう、そう決めていた、もしアナタの彼女がハイヒールモモコのように、狂ったようにシャネルを欲していたら、プレゼントはシャネル一択だろ?そんな感じだ。
しかし、よく考えると、息子が欲しているのは「カージュ」のおもちゃではなく、「カージュ」の映像だ、TUTAYAのDVDをずっと借り続ける訳にも行かないし、、
そこで、私は最初の「カーズ」と「カーズクロスロード」のDVDを購入することにした、「カーズ2」はスピンオフ的な話なので除外。
そして、申し訳程度に「ライトニングマックイン」のトミカを添えた。
八百円かそこらで、この、ありえんクオリティーをかましてくるタカラトミーさん、さすが過ぎる。
誕生日当日、地元の焼き鳥屋で、姉家族、私の母も参加し、誕生日会が開催された。
妻も上機嫌で、息子も皆んな居るせいか、ぐずりもせず、最高の状態で、プレゼントを渡すタイミングを迎えた。
「誕生日おめでとう〜!」
私は、大袈裟に息子を祝い、用意していたプレゼントをカバンから出した。
まず、DVDを2枚息子に見せる。
「カージュぅ!!!」
満面の笑みを浮かべ、喜ぶ息子、私は追い討ちを掛けるように、カーズのトミカもカバンから出し、
「ほら、マックインだよ!」
と、箱に入った状態でトミカを息子へ渡した。
「カージュう!!」
更に息子は喜び、テンションもぶち上がる。
「ちょっと待ってね〜」と息子がガン見する中、私はマックインを箱から出した。
「....。」
「ん?どうした?」
「ニャ〜」
ね、、
猫借りてきてるぅううう!!!
小さいながらも、精巧すぎるタカラトミーさんの、リアルマックインの登場で、さっきまで、満面の笑みだった息子の顔は一瞬で硬直した。
周りの皆んなは「気に入らなかったのかな?」などと言っていたが、私は瞬時に分かってしまった
これは息子が生まれて初めて体験する、、
好き過ぎる人に合ったときの、借りてきた猫だと!!
こいつ、、カーズ本当に好きでいやがる!!
そんな中、あろうことかカチコチの息子を見た姉が、悪ふざけで
「あれ〜気に入らなかった?じゃあ、私もらっちゃお〜」
と、マックインのトミカをおもむろに持ち上げた、、
「違う!!違うんだ姉氏!!好きすぎて硬直してるだけなんだよぉ!!」
そう思い、息子を見る
みるみる歪んでいく顔、、
後は、お察しの通り、ギャン泣きに継ぐギャン泣きで、誕生日会は幕を閉じた。
この日は結局、マックインと一定の距離を保ち、目を合わせないStyleで息子は寝た。
次の日、1日経てば猫もいなくなっただろうと思い、上機嫌だった息子に、マックインのトミカを差し出した、、
「ニャ〜」
顔ぉ!!
まだ飼ってるぅうう!!
警戒が半端ねぇな!!
勘違いしないで欲しい、これは好きすぎるが故の表情なのだ。
もはや借りてきた猫を通り越して、キレてる猫。
結局、好きすぎるマックインに慣れるまで5日掛かった。
一週間経った今はこんな感じだ
愛に溢れてやがる!!
いい顔してんな!!
5日掛かってマックインと遊べるようになった息子は、もはや片時もトミカを離さない、風呂に入る時も一緒、もちろん寝る時も一緒だ。
まとめ
アイドルオタクのおじさんだろうが、2歳の子供だろうが、好き過ぎる人に会うと借りて来た猫になる。
緊張し、思考停止する。
しかし、この猫の存在は「好き過ぎる人がいる」という事の証明だ。
それはとても幸せな事だ。
あなたも好き過ぎる人がいるなら、会ってみるといい。
心臓が飛びてるくらい緊張して、何も出来なくなるはずだから。
猫を飼うはずだから。
それは幸せな借りてきた猫だ。
ぽやしみ。
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