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ルールを決める、運用する際に留意すべきこと

事業や組織の運営を続けていくと、何か問題や課題が明らかになる度に解決や改善を試みます。その際に、問題の根絶を目指して新たにルールや決まりを作ってメンバーにそれを守らせようとしがちです。運営側にしてみると「今後はこうすること!」と決めてしまうのは楽ちんで課題解決したような気分になってしまいます。しかし、安易にルールや決まり、もしくはマニアル等を作りまくって、がんじがらめになった組織は柔軟性も主体性も失ってしまうことになりかねません。ルールの策定が悪いわけではありませんが、いくつかの留意点に気を配る必要があると思うのです。

①在り方とシステム

最も留意すべきは決めたルールを組織を運営する側が遵守出来るかだと思っています。メンバーには「決まりを守るのは絶対だ!」と強くいっておきながら、自分は特別扱いでそれを守らないのでは、バカバカしくて誰もルールを守る訳はありません。運営側の真摯さ、在り方がルールを決める際の最低限の条件とも言えます。そして、その特別扱いは意識的なものだけではなく、システム的な側面もあります。例えば、出社時間を決めたら、スタッフが出社した際には必ず事業所をオープンしておく必要がありますが、それをたった一人が担っているとその人にイレギュラーが起こった際にスタッフはルール守っているのに結果的にルールを守れない状態に陥ってしまいます。運営側の在り方と共にこの様な属人的なシステムに寄りかかったルールはシステムとして機能しないことを念頭に置いておくべきです。

ブーメラン効果に注意

②打率と容易性

特別扱いがあればルールや決まりが蔑ろになってしまうのは運営側だけの問題ではありません。ルールやマニュアルを運用する際にイレギュラーは付き物ですが、その割合が一定量を超えた時点でルールは無かったものになるし、拠るべき原則を決めていたところで全く意味はありません。また、ルールを守ることばかりにこだわって他に負荷がかかる様になればせっかくの問題解決が新たな問題を起こしかねません。決定した以上、無理なくスムースにルールの運用が可能なものに限ってルールや決まりは作る必要があるのです。その観点から考えれば、問題が起こった際に新しいルールを作って解決を図る行為は随分と慎重に行う必要があると思うのです。

③効率ではなく効果性

3つ目に考えるべきはルールや決まり、マニュアルは人が考え、判断するプロセスを割愛し効率化を図ると同時に、人を思考停止に陥れる可能性がある点です。「人は考える葦である。」との有名な格言がありますが、考えるという行為は人間を成長させる上で最も重要な糧であり、考えれば考える程、無限と言っても過言でないくらいに思考の質は深まりを見せます。「企業は人なり」といいます。事業所や組織における最大のリソースはそこにいる人であることを鑑みれば、機械のようにルール通りに決められた作業をこなす人材を量産することは企業や組織にとって自殺行為と言っても過言ではありません。歴史に見ても効果を追求して人は幸せになることは無く、効果性は大きな価値を生み出しています。大きな付加価値を生み出す組織づくりを目指すなら、考える余白を残すことで思考力を高め、人の効果性を高める状態を心がけるべきだと思います。このように考えればルールや決まりは出来るだけ少ない方が良いとの見方も出来ます。

構造現しの「川沿いの家」

④ルール、決まりではなく構造化

ルールや決まり、マニュアル等の策定は安易に行うべきでは無い、出来もしないルールをむやみに作るとブーメラン効果で逆に信用や信頼、組織の心理的な安全性を失うことに繋がり兼ねません。では、問題が起こったり、課題が明らかになった際にどの様に対処すべきか?との問いがそこで生まれます。その答えは仕組み(構造化)にあると思っています。これは表面的な行動制限での縛りを策定するのではなく、自然な流れで問題が起こらない、課題が解消する状態を整える考え方であり、あらゆる成果(結果)は状態に由来するとの原理原則に基づいた考え方です。例を挙げると、例えば組織のメンバーが主体的、自主的に活動をして組織運営を活発にしたいと考える際に、綿密な行動計画を立てさせてその計画を守るルールを策定、細かく管理したところで表面的な上っ面、形式的な動きに終始してしまいかねませんが、計画立案の際に目的を明確にしてその実行に対して腹落ちすれば予実管理は当事者が行う様になり、本質的な行動に向く様になります。ルールもそれに対する管理も無くても大きな成果に結び着く可能性は大いに高まります。
予実管理については昨日のnoteを参照ください。

まとめ

事業所や組織に於いて問題や課題解決の為にルールを安易に策定するのは注意が必要であり、どちらかというと、ルールや決まり、マニュアル等は少ない方が良い。ルールを最小限まで減らすことで組織内のメンバーの主体性、自主性を高める可能性がある。問題、課題の根本的解決は表面的対処でのルールの策定ではなく、仕組み化、構造から組み立てる意識が必要で、状態を整える原理原則に則った思考を持つこと。全ての事業やプロジェクトは目的を明確にしてメンバー全員が腹落ちするまでのコミュニケーションが不可欠。以上、あくまで私見ですが、ルールを策定しようと思った際に留意すべき点でした。
最後に、全ての人が誰もが持っている良知を発現させるとルールなど要らなくなると私は思っており、良知に至る学びの場を創り運営し続けてることこそ最大の構造化だと思っています。

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良知を知る、良心を業務に映し出す研修を行っています。

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