五十肩が良くなるにはどれくらいかかるのか
こんばんは。
今日も開いてくださりありがとうございます。
今日は、みなさん気になる五十肩について。
五十肩はいわゆる専門的には凍結肩(Frozen shoulder)と言ったりします。
五十肩というのは病名ではなくて、総称です。
凍結肩も病名ではなくて、状態を表す言葉ですけど。
ということで、本日は五十肩がどのように状態変化をするかといった、論文のご紹介になります。
抄読論文
要点
【目的】
凍結肩は重度の肩の痛みと能動的及び受動的な肩の運動制限を特徴とする症状です。40歳から60歳の間に発症し、女性に多く見られます。
1年から3年で症状はほとんど回復するとされているものの、その期間はまちまちで、回復の度合いも差があります。
また、疼痛が強い時などは可動域制限によって、肩甲骨の上方回旋の角度が増大するといった代償も見られます。
一方、直接の起因ではないものの、肩周囲の筋力も低下するといった報告も見られます。
本研究は、これらの状態を踏まえて、凍結肩の経過を調査することにあります。
また、どのような症状が関連しているかを調査することも目的としています。
【方法】
凍結肩の患者は以下の包含基準で集めました。
Hannafin と Chiaiaの凍結肩のステージで1または2
屈曲と外転など2つの動作面で25%の可動域制限。外旋で50%の可動域制限を有している
痛みと運動制限が少なくとも1ヶ月以上持続し、継続もしくは悪化している
スペイン語またはオランダ語を理解できる
測定項目は上記の図のような項目であった。
測定はベースラインの時と、3ヶ月後、6ヶ月後、9ヶ月後に測定した。
【結果】
期間中に149人の凍結肩患者が参加し、88人が9ヶ月後までのフォローアップを終えた。
各項目のベースラインから3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月の変化を示す。
これらの項目で、ベースラインに比べ3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月で改善が見られた。
多くが3ヶ月後に比べて9ヶ月後の方が改善している結果となった。
次に、各項目の相関を示す。
肩機能前半を表すDASHと痛み、外旋・屈曲可動域、外転筋力、60°外転時の肩甲骨上方回旋角度といった項目にそれぞれ相関が見られた。
【考察】
ベースラインに比べ、3ヶ月後ですでに改善が得られ始め、9ヶ月ではかなり改善しているという状況であった。
特に可動域や痛みの軽減は強く見られた。
これらより凍結肩の痛みの管理の重要性と早期から可動域の改善を図っていくことの重要性が示された。
どのように活用するか
今回の研究は前向きに調査した、コホート研究として、有益なものであるとは思う。
しかし、経過の比較と、項目の相関ということで、明確な因果が仮定できるわけではないし、理論的に組み立てていくことは難しい。
ただ、9ヶ月経過した時点で多くの症例が改善が得られているという事実は確認できる。
今回の症例のうち、42%は理学療法を受けている。
この理学療法を受けている症例と症状経過の関連というところが示されていないのが残念である。
それがあれば、理学療法の有効性と結びつけることができるのに・・・
と思うが、これは仕方がない。
「五十肩は1年から2年かかりますよ。」
とついつい患者さんには言ってしまう。
これは経験からのものもあるし、実際本論文のIntroductionで紹介されているように、1〜3年とされている。
それに対して、本研究では9ヶ月という比較的短い期間で改善が得られるという結果となった。
これは注目すべきところで、患者さんに対してポジティブに伝えられる面であると思う。
また、これを読んでくれている五十肩に悩む方にも少しは朗報になるのではないか。
9ヶ月程度で一定程度の改善を得られる。
これは安心材料になる。
理学療法としては、いかにこの期間に疼痛を増強させることなく、肩甲骨のオーバーアクションをコントロールし、肩甲上腕関節の可動を維持していけるかというところがポイントになるだろう。
ぜひ、挑戦してみましょう!
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今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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